第37話 遭遇期② 京介の必殺技

合宿2日目 朝7時、僕はヒカルを連れて海岸線を走っていた。竜二は朝弱いから置いてきたよ。

「ヒカルー遅ーい!」

「カガミー!結構走ったよ!帰ろう!!」

「良いじゃん朝ごはん8時って春日さん言ってたし。今日は何するんだ??」

「何するかもわからずに朝一からエネルギー使うのは得策じゃないよ!」


「わからないから走るんだよ!ヒカル!今日も一日何が起こるか分からないんなら尚更、今出来る事考えてやるんだよ!ほら走れ走れ!!」ちょっと戻ってヒカルのおしりをぺちぺち叩いて昨日のプライベートビーチを大回りで回った後、行けなかった川コースも下見して、朝のランニングは30分ほどで終了となった。

「カガミ凄いな~ゲームばっかりかと思ったら長距離得意なんだ。」


「そうだよ、長時間ゲームをする為にエネルギーとスタミナの管理は怠って無い。」

「ヤバいプロ意識だな。」

「今回の強化合宿はその殻をもう一皮剝くために参加したんだ!」

「あ、そうゆう設定ね。」いうないうな!設定って。



「ヒカルこそ何かあった時にどうする事もできないようじゃ情けないぜ!僕みたいにスタミナとLUKにステ振りするか何かしないと、きたるべき日に彼女にも愛想つかされて逃げられちゃうよ。」


「それはやだなぁ。でも僕は目もあんまり見えないしいいとこ無いから彼女なんてこの先出来る気しないけど。」


「受け身になっちゃ一生いっしょうできないね。こっちから行くんだ!ヒカルに好きな人が出来たらおせっかいだけど全力で応援するよ!その代わり付き合えたら、その子の一番魅惑的なブラジャー1個くらい寄こせよな!」


ヒカルはゲッ!って顔して

「なんて下衆な交換条件!!カガミには絶対に頼まないよ!」

「冗談だって~~。ネネちゃんには言わないで~~。」


そんなこんなで別荘の近くまで戻ってきた。朝食のいい匂いがしてるからもうすぐ朝ごはんかな~~。


別荘に帰って汗だくだったからシャワーに入りスッキリとした気分に。

佐井寺両親と朝ごはんを待っていたら、ようやくネネちゃんが下りて来て

「ほはよぉごらいまぁ~す。」とあくびをして目を擦ったまま洗面所に消えていった。


僕は携帯ゲーム機の電源を入れて時間をつぶそうとして


「しまった!ソフト入れ替えてくるの忘れた!」と気付いてしまった。暇つぶし専用のモンスターをゲットするパチモンピンボールのソフトを忘れた事に後悔していたが


そうだ!いい事思いついたぞ!!

ネネちゃんお祭りのピンボール好きって言ってたし、ゲームの方も好きなんじゃないかな?

今度聞いてみよう、いや待てよ、竜二に貸してから竜二経由で盛り上がってもらった方が僕なんかよりもいい感じになりそうだ。

僕からのゲームを素直に受け入れてくれそうにないし。あ、自分で言ってて傷つくなぁ。


今日も今日とて竜二の恋路を応援するべく考える。彼らの恋路は長いかもしれない。途中でパンクするかもしれない。タイヤ交換も必要だ。そんな時必要なのは修理屋。僕の役目はやっぱり恋のカーピットなんだろう。 キューピットだっけ? 



そんなことを考えてたら

佐井寺パパが「カガミ君はゲーム大好きなんだって?」と話しかけて寄って来た。

「はい!サンドの飯より好きです!」って答えた後、いや待てよサンドの飯って事はライスバーガーか?

とまた妄想スイッチが入りそうだったので無駄なことを考えないようにした。


「しかも懐かしいねその本体!私も若い頃持ってたよ!何のゲームだい?わかるかなぁ?」ハハハと言って二人で盛り上がって入れっぱなしのゲームが始まった。

「あ、これやったことあるよ!」

「え!?ホントですか?どうでしたか??僕はすっごく面白かったです!99点ですね。」と答えた。

「だいぶ前だから曖昧だけどタイトル覚えてるくらいだし面白かったんだと思う!確かような・・・。」


「そうです!6文字まで自分で決めれるんで俺は【ダンゴムシ】にしました。」って竜二かい!起きてきたのね。

「カガミは?」

「ん?僕はキャラ名と一緒だよ。 PK(サイキック)さ。」頭文字は必ず【PK】という超能力の略が付くが竜二の言う通り残りの6文字は自分で決められる仕組みだ。


「なんか強そうだね。」と佐井寺パパ

「ヒカルのお父さんは技名 何にしたか覚えてるんですか?」って竜二が言って聞いたら

たしか~と言いながら小さい声で

「当時好きな子の名前だったよ。」って教えてくれて2人で

「「なるほど~~~」」と妙に感心してしまった。竜二、おまえ結婚相手ダンゴムシな。


「あ、そうだ父さんのデータがあるんだよ!」

「え?借りてたスーハミの方にもあったぞ!見てみよーぜ!!」

「見てみたいね!京介の必殺技名!」

世代の違う男達がこうやって昔のゲームでワイワイ出来るのもお父さんのおかげだね。


でもここで母さんの名前じゃ無くて他の女の名前だったら速攻メールでチクってやんよ!

「僕の名前でキャラデータ作ってたからきっと結婚後にプレイした奴だよ!さぁーて6文字で収まるかなぁ〜?外人だったりして(笑)父さんのはしたない過去が!今!暴かれる!!!」二人は「ハハハハハ!」って笑って

ゲーム画面をのぞき込んだらステータス画面の右上に表示されてたのは


【PK 】 


「えっ?イチゴサイダー??」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る