第34話 接触期⑩ 殺意の海原
目をキラキラさせて「もう食べるの?」とネネちゃん
「夕食後にどうだい?せっかくロウソクもあるし日が落ちてからでもケーキは逃げないよ。」と佐井寺パパが言って冷凍庫に無事しまわれました。
ケーキは逃げなくても【たくさん食べた方が勝ち】の走り食べするグルメなレースでは デデデっと走って先に食べられる可能性もあるのになぁ。
ヒカルが「じゃあ海行く?川いく??」って聞かれて僕と竜二は「えぇっ!?」ってなった。
選べる2タイプ。どっちも行けるのか!?すげ~~ まるで両陣営を【S】セレクト【D】出来る 国盗り物語じゃん!
「今年はお友達もいる事だし危険な事しなければ子供達だけで行ってみてもいいんじゃないかしら?」
と佐井寺ママが言ったが、
「わたくしが荷物を運ばせていただきます。」とメイドの春日さんが言って、僕らに付いてきてくれることになった。春日さんも水着かな?今回の旅行はメイド服じゃないもんね。落ち着いた普段着、か~ら~の~。
各自部屋のドアからプールバッグを持って出て来てヒカルが
「水着着替えてきた??」
「ばっちし!」
「定番のサンオイル忘れた。」
「浮き輪あるんだよな?」 みんな好き好きに話しながら階段を下りて行ったら春日さんは
荷物を作ってて、変わらぬ服装。普通に泳ぐ気配がありませんでした。しかも視線を感じたのか僕を冷たい目で見てきてるような、、、期待し過ぎてごめんなさい!もう胸見ませんので怒らないで!
とことこと歩く5人。水着にUVカットパーカーを羽織った佐井寺兄弟と Tシャツを着てどっちに行くか話し合ってる僕と竜二、
「この道をまっすぐ行くと2手に道がわかれてて右が海、左が川だよ。分岐までにどっちか決めよう!」
ヒカルの問いに真っ先に僕は
「海でしょ!!いつ行くか?今で 」食い気味に
「川がいいなぁ~!」と竜二泳げないもんな。
でもネタは最後まで言わせろよ!
ネネちゃんは
「私も川が良いかなぁ~。」と竜二をちらっと見た。合わせに来たな。
ヒカルも「僕も川かな。砂浜暑いしベトベトするし。ネネは虫多いから川は嫌って言ってなかったっけ?」
「言ってないし、お兄ちゃんと一緒でベトベト嫌だし。」ややオコプン状態だぞ!!
ヒカルが悪い。空気読め。
かといって、僕は川に妥協する気はサラサラ無い。100%無い。コットンは関係ないよ。
実は僕は目の前に見える分岐点で【海で念願のスイカ割りが出来る!】って喜んでる ビジョンを見ちまったのさ!
ここからが僕の
「でもさぁ分岐点に行ったら説明するけど海の魚は腹に、川の魚は背中に
言われた通り3人がマヌケに一列並んで海に向いてくれた。ここで僕が
「これを【
ネネちゃんは「なるほどー。じゃあ海行く?」
ヒカルは「知らなかった。四字熟語か?詳しいなカガミ。」
「どーせゲームだろ。」とそんなことを言っていた竜二はネネちゃんがほんとは海に行きたいって気づいて
「まぁ、海もいいなぁ」と言った。
僕は
「やった!!これで夢にまで見た 海で念願のスイカ割りが出来る!」って叫んでジャンプしたついでに、持ってきたシャチの浮き輪の尻尾を枝に刺してしまって、パンクさせてしまった!!
「
ココだよ!ココのビジョンが欲しかったんだよ僕のポンコツめ!!
春日さんは「OMGとは何ですか?」唯一僕の無駄な略語集に興味を持って聞いてきたので
「あ、それはアメリカのヤングなキッズがSNSで使ってる オーマイガット の略です。」
と答えたら
春日さんは「玄関の所に防水テープがあるのですぐ持ってきますね。」と言った。やっぱ興味ないのね。
荷物も多かったので「僕が行きます。」と反省の意味も込めて立候補したら
ヒカルも
「僕もついてくよ、走ろう!」と言って走り出して僕も急いで付いていく羽目に。
ヒカルは大きな声で
「荷物多いからシャチはそこに置いて、春日さんはネネと竜二と先行ってて~! 竜二達~!先に海に入っててくれ~。」と言った。
別荘までは角を曲がったら見えるはずだからすぐだな、と思って角を曲がったら急にヒカルが止まって
「2人で海に入るかな??」イヒヒと聞こえんばかりのイタズラな笑顔で僕に聞いてきた。
最初「は?」って言ったけど。言われて分かった。そうか、落ち着いて
「竜二たぶん気付いてないよ。ネネちゃんは賢いから気付くだろうけど。」と返した
ヒカルは
「ネネは竜二の事前から好きだよ。」
「前から?まぁそう思ってた。でもヒカルにネネちゃんを奪わないでって現状維持を希望されたし、竜二なりに割り切ってんだよね。あいつ自分よりも他人。みたいなとこあるじゃん?好きな気持ちは全然隠してないけど、いざネネちゃんに付き合ってって言われたら、それこそ佐井寺兄妹の気持ちに板挟みになっちゃうよ。だから、早く戻ってあげよう!と言うのは建前で。」
ヒカルは途中まで僕が正論を話していた事に意外な顔をしていたが【建前】と聞いてまたニヤケ出した。
僕は「何としてでも二人を海に
ヒカルは
「
「僕の予想だと【好きな感情が小さい方が、相手の好きの大きさに気付く】んじゃないかと思ってる。」
僕は2つのコップに入った量の違うハートチョコが【リンク】で均等になるイメージをして、そうか、少ない方が相手の【好き】って感情を
「なるほど、なるほど。考えたねヒカルさん。」と彼の悪知恵に敬意を払った。
防水テープを取って分岐点まで戻ると元気を無くし陸に打ち上げられたシャチが横たわっていた。
「まだ息はある!人工呼吸だ!ヒカル!」と言うと早速空気を入れ始め、僕は防水テープを患部にはって空気漏れが無い事を確認し、
「貴重な海洋生物の命を繋ぎとめた!よくやった!」と褒めてあげた。
ヒカルは急いで息を吹き入れたからか、少しだったにもかかわらず顔を赤くして、声を出さず、敬礼するだけだった。
自分らの荷物とシャチをもってヒカルに先導されコッソリ砂浜に近づいていくと、小ぶりだったけどたぶんプライベートビーチだった。佐井寺家ヤバいな。
しかも
既に2人は海に入ってビーチボールで楽しく遊んでいた!
ネネちゃんは可愛らしいフリル付きの水着でキラキラ光って見えた。
隠れる意味もなくなって顔を見合わせた僕らは春日さんのいるパラソルに荷物と服を投げ入れると
2人に近寄って行った。
そこにはすっごい嬉しそうなネネちゃんと苦手な海でボールに振り回される竜二がいて。僕らはがっかりした。
竜二に「何も無かったのか?」って聞いたら
「カガミ~待ってたよ~~海こえーよ~。」と涙目で言って質問の意図を理解してなかった。
と言う事は竜二の好きがネネちゃんを上回ったって事か??ネネちゃん喜んでるし。あとは密偵に任せよう。
佐井寺兄妹のリンクで使えるサーモグラフィの使い方もわかり、水中の魚を見たり、水の温度差が分かったりして楽しんでいたんだけど、やっぱりヒカルは視界が見えにくくって、ネネちゃんは聞こえづらいみたい、僕は慣れましたよ。
砂浜で本をお読みになってる春日さんのボディーラインはなかなかのものでした。
適度に遊んで「あがろっかな~」とヒカルが言うとみんなもぞろぞろ陸にあがって春日さんの元へ。
春日さんは
「先ほどは防水テープありがとうございました。空気まで入れてもらって、また入れましたのに。」
と言って僕は
「いえいえ僕のせいですから」と言いつつシャチの救助における配役を間違えた事に気付いてヒカルを睨んだ。
目を不自然に反らすヒカル。あ~なるほど知ってたんだな、春日さんと間接キスしたんだよねヒカルさん。後悔と少しの
その後、春日さんが準備してくれたスイカとパン作り用の綿棒でリーチは短いながらスイカ割りを楽しんだ。そして。とうとうスイカを食べる時が来た!!
竜二にスイカがどうしても味わいたいと伝えてたので暑いけど足でリンクしてもらって
食べたスイカは
ついでにヒカルのまだ食べてないスイカも全部食べてやった!種はもちろんマシンガンにしてヒカルに吐いたが緑の恐竜の様に上手にタネをマシンガンできず、一つも当たらなかった僕はノーマルかあくタイプであって、草タイプではないんだろう。
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