第28話 接触期④ 第4次大戦

ヒカルは僕の言った言葉に補足する形で

「カガミの予想ではアザレア教ってのは【ハイドラ】の前身だったって事だよね?つまり僕達みたいなT-SADティーサッドだった人間を見つけ出す目的でアティウスメディカルセンター付近の図書館にあの【得体のしれない本】を置いたって事は考えられないだろうか?」


竜二は

「そうか、佐井寺兄妹みたいに病院から具体的な注意を受けた親が居たらハイドラを警戒するな。それで親もしくは子供達本人がアザレア教について興味を持った事をきっかけに、歴史関連の情報を図書館に探しに来る。そこで本が撒き餌で使われて、釣られたら行動範囲か人物を特定されるって事だな。」


ネネちゃんは

「え~こわいんですけど。」と言って兄とリンクした。僕としては【僕を触った方が怖さはなくなりますよ!ネネさん!】と心の中で思いました。


あ、そうかって顔して寄ってきた竜二、お前は触って来るな!!暑いし。


その後、周辺の計4つの図書館に【僕と竜二チーム】そして【佐井寺チーム】に分かれて調べに行ったが再集合する時には夕方になっていた。



「佐井寺チームはどうだった?」とコンビニで棒アイスを買ってきたので配りながら聞いたら

「気持ち悪いくらいばっちり撒き餌だったよ~。」とネネちゃん。え~マジかぁ~触らなくてよかった。

「そっちは?」とヒカルが言って

竜二が「ヤバいね恐怖を感じたよ。2つとも同じ本がひっそり棚の奥に隠れてた。」と返事をした。


袋を開けてアイスをくわえ、みんなのゴミも回収する。当然の様に僕が・・・。


「そうかぁ。うちの父さんに言って同時に排除してもらうか、この街にはアピールで無視を貫くか、どっちがいいと思う?」と聞かれ僕は

即答で「無視で。」と答えた。

「波風立たせない方がいいと思うし、動きに出たら逆に探索に人員投入される気がしない?あくまで知らん振りしつつ、こちらが先手を打てるように出来たら理想だけど。」


竜二が「ここはカガミのゲーム脳の意見に乗ってみようぜ。」と言って肩を組んできた。はいはい、リンクしたかったのねどうぞ。怖さが伝わってきたよ。


「ネネもひっそりしてた方がいい気がする。でも、図書館はもう行ったらダメ?」


ヒカルは「いや、あの本に近寄らなければ無害だし、一応ハイドラ関連の被害は今の所 日本では起きてないからなぁ、急に行かなくなるより普段の生活を続ける方が目を付けられづらい。図書館は行っていいと思うよ。」


竜二は

「でも関係者が本を置いたのはほぼ確定だろ?何も知らない人がお金をもらって指示されたって線もあるかもだけど、近くにいるかもしれない怖さは拭えないな~。」と言った。


「そうか、ネネが本好きなのは知ってるんだけどなぁ~。」と悩む兄。

僕は

「じゃあネネちゃんが図書館行きたい時は僕ら使っていいから呼んでよ!」


ぱぁ~っと明るい笑顔で「良いの??」って聞いてくるネネちゃんはさぞ可愛かったんだろう。ただし話し手の僕の方さえ見てくれていれば・・・。


「OK!時間合わせてくれたら付き合うよ!!」と笑顔をもらった竜二は嬉しそうだ。もういっその事付き合えばいいのに。ヒカルは竜二に信頼があるからか「ありがとう。」と任せてくれた。




竜二が「ちょっと聞きたい事があるんだけど。」と言い出した。僕といる時はこんな前置きしない奴だ、いったい何を聞くんだ??


ヒカルとネネちゃんも「なになに?」と言ってる。

「【I-AMSアイ エーエムエス】って何かご存じですか?とこちらにいらっしゃる変態紳士が聞きたがってる。」


やっちまったね竜二君!今ここでブッこむ話じゃ無くない?変態紳士って付け加えたことで

ヒカルも呆れた顔して僕を見てるよ。と言う事は僕と同じ系の考えだな!エッチな奴め!!!


ネネさんの表情もほら、え?悩んでらっしゃる?ヤバい!ネネさん!純粋過ぎて隠語が分からないタイプのお嬢様か???


と思っていたら

「それ最近企業に一般販売しだした インタラクティブ アーカイブ メモリー システムじゃない?」

と言われた。

ヒカルと僕は、若干自分を恥じていたが、竜二は元々何かの略って言ってたし冷静に

「凄いねネネちゃん。どこで知ったの?」と質問する

「お父さんの読んでる経済新聞をたまに読むの。科学技術の所がおもしろくって!私たぶん発明家になりたいんだと思うの。特に何のってわけじゃないけど・・・。あ、なんか恥ずかしいね。。」

「ネネは昔から科学者か発明家て言ってるからなぁ。」

「俺もいいと思う!一番賢いし!」

「あの~一番奴からの質問良いですか??」とここでもきれいに挙手する僕はきっと模範生なのだろう。


「結局インタラクティブ アーカイブ メモリー システムってなんなの?」

「そうそう知りたかったんだよ僕も!」嘘つけ僕と一緒にエッチな想像してた癖にヒカルめ!


「たしか・・・。」ここから始まるネネちゃんの政治・科学技術への関心は目を見張るものがあってちょっとわけわからない言葉が多くて疲れたんだけど、内容がたぶん中学生の話じゃ無かった・・・。



「【3位じゃダメなんですか?】って知ってる??」

「何それ?ヒロイン?」と僕

「や、それ3時だから。ネネちゃん、なんなのそれ?」竜二ツッコミ早くなってきたね。


「古いから知らないよね。 私も元ネタが気になって調べた口だから知ってるだけなんだけど。」

頭をポリポリ書きながらネネちゃんは続ける

「結構の前の次補正予算会議の論議がスパコンに国家予算をどれだけつぎ込むか?って話だったと思う。」


「要はこんなに国家予算つぎ込んでスパコン技術が世界2位だったらもう世界1位なんて目指さずに、ちょっと国家予算削って3位でも4位でもいいんじゃない?どうせ1位にはなれないんでしょ?みたいな論議の一幕。」

他の2人が「うんうん」と納得している中で、僕だけは違った。


「いやちょっと話に横槍を入れさせてもらって良いかな?僕としては機械ロボットは性能重視だと思う。マップのどこに強化パーツがあるかを把握して移動にコストをかけてマシンを強くする。当たり前の事だけどそこにコストをつぎ込めない程、日本の政治家たちはバカなのか?1位じゃなきゃやられるんだよ!戦争なんだ!」


やや怒り気味の僕の発言にみんな少し緊張感を持った沈黙が流れた。


が「お前!それ第4次スーパー機械大戦な!!」って竜二に頭を叩かれた。え?ネネちゃんがロボット系のレトロゲーにだけ詳しいと思ったのに!違うの?


ネネちゃんたちは僕を蔑んだ目で一瞥したのち、その場に僕を置いて話を進める

「予算の明確化をした時、そこでスーパーコンピューターの目的がはっきりしたんだよね。国のスパコン事業を最前線で走る方の一社は、いつかは誰でも買える世界で最も高速で個々人の目的に見合ったAI搭載の対話型の記憶・記録式高速演算コンピューターシステム


 インタラクティブ アーカイブ メモリー システム略して【I-AMS】。確か10年後をメドに一般普及をって言ってたけど。」


「その中でもインターネット接続型と、スタンドアローンタイプがあってスタンドアローンタイプがやっと今年企業向けに販売開始だって新聞でみたの。」


「おぉ~すげ~」パチパチパチ。三人で拍手をしました。

「で、スタンドアローンって何??」

「据え置き型で敢えてネットと繋いで無いものだよ。」

「あえて?なんで?」

「企業情報の流出防止だと思う。」「へ~~。」普段ヒカルより話さない子だけど、ネネ様との脳みその違いを痛感してしまった。

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