第25話 接触期① お金の話

現在の状況は・・・絶賛みんなに僕の事をディスられ中。


「カガミ君のチャットアイコン見た時にお兄ちゃんが「魔法陣って!!」って笑い転げてて何かと思ったの。私は別に気にしてないよ!!絶対治るから!大丈夫だから!」

ネネちゃんその優しさが逆に痛いよ。


そう僕はやや早めの中二病を発症してしまったみたい。


竜二は「カガミは昔から素質あったよ!」っと笑ってる。なんだよ!みんな別にいいじゃんか!人それぞれ趣味も好みも違うんだから、そんなんで笑われてもなぁと思いつつ。魔法陣のアイコンを消してデフォルトに替える僕。足並みをそろえるのも、生きていくコツだよね。

まぁそんな事で落ち込む僕じゃ無い。


ヒカルが「まぁいいよ、カガミはカガミだ。それでね、父さんにT-SADティーサッドの話を聞いてたら、【竜二君も併せて3人いっぺんにお話しするよ】って言われて、とりあえず友達連れて別荘行かない?ってなったんだよ。どう?この夏うちの別荘に一緒に来ない?」ネネちゃんも

「いっしょにいこー!いこー!」とワクワクしてピョンピョン跳ねてる。もーカワイイんだから。あ、竜二はもう行くなコレ。

「俺も行きたい!」 ほらね。

でもちょっと待った!!こういう時は挙手だよね。僕はトンボが止まりそうなくらいのキレイな挙手をして。

「はい!ヒカルさん!聞き違いかもしれないけどって言わなかった??」ってありのままの疑問をぶつけたんだ。


そしたらヒカルは

「カガミもだよ!!もちろん。」と言ってくれた。ほっと一安心。でも、じゃあ何でよ!僕の疑問の顔を読み取ってか、ヒカルは続ける。

「カガミはT-SADじゃない一般枠の友達でいく予定だよ。実は父さんは。」

竜二は「え?なんで?」ってなった。「それも別荘で話すって。」とネネちゃん


「カガミのがT-SADだったって事は、家の親に内緒にしようと思う。」「あ、そっか。ん?」

「カガミよく考えろよ、君の母さんが何か知ってるのは間違いないんだろ?その母さんが信用のおける人以外に話すなって言う事は何らしかの意図があるはずだ、今の所、僕とネネの曖昧な予想だけど

①カガミの手術を隠したい   これは倫理面での隠し事か何かだろう 

②カガミのT-SADだった事を病院以外の何者かから隠したい   これについては思い当たる節がある

③カガミの父さんの死を隠したい  ①と似た理由かと想像してる。

が考えられるんだけど、むしろこの中の一つと言うよりはこの①~③全部なのかもしれない。2人はどう考える?」

ヒカルとネネちゃんは僕と竜二を交互に見て意見を求めてきた。


佐井寺兄妹が夏休みに入って二人で色々議論し合った貴重な結果を聞かせてくれてるんだろうけど

あいにく僕たちときたらダラダラとゲームしてキャッキャしてただけだった。情けないね。お前のせーだ竜二!! だから母さんとの18禁の話でセツナに閃いて生贄に使ってやったんだよ!


「うーん考えたことなかったね」「ああ」

「2人がそこまで考えないの当然だよ。」とネネちゃんは言ってくれたが、少し暗い顔になった。

まぁ二人ともバカだから先の事に危機感が無いのは当然として、佐井寺兄妹が何に警戒してるのか気になったから尋ねてみた。

「何か気になる事でもあるんだね?」

「あぁ。大きなお金が動くんじゃないか?って思ってる。」

「「お金?」」僕も竜二もピンとこなかった。


「お兄ちゃんから抽出された赤血球を爆発的に産生するホルモンの話は覚えてる?」

うんうんと僕らは一緒になって首を動かす。


「あれね、元T-SAD患者からも何か得られないかアティウスで研究してるらしいの。きっとこの事は、みんなの親も研究協力の時に説明を受けてるはずだよ。」


ヒカルは

「この研究によって日本の国もしくは内資系の製薬会社は何億もの利益を生んで、海外に対しては日本は新薬を持って政治的優位に立てる手札にするんだと思う。」

ヒカルの眼差しは真剣で話のスケールは大きいけど、冗談を言ってる風には聞こえなかった。


「僕から作られたESAイーエスエ―製剤、これはこの前言ってた赤血球を爆発的に作る薬の総称なんだけど、それは新しい段階に既に研究が進んでいて、もう既に米軍に試験的に販売されている。軍人が使う出血性の治療薬としては異例の効果みたいらしい。いままで出血を止めるだけだった止血剤と新薬のESA製剤を組み合わせられれば治療自体が革新するからね。ちなみにこの話は、僕らと父さんしか知らない。気を付けてね。」


 やべーな俺たちすぐ漏らしそう。何だったらこの公園で3分もあれば漏らす危険性グッとUPだ。

これぞ【モラシックパークⅢ】だね。

あのゲームは資金が無くなって凄く困った印象だよ。


ヒカルは僕の妄想を無視して

「日本は軍隊を持たないからアメリカに甘えっぱなしだけど、こういう後方支援をして、何とか世界から引き離されないようにがんばってるみたい。」


「そーかだから研究所と病院がくっ付いて半分は国が管理してるんだ。金の為ねぇ・・・。あの地下の施設も俺たちだけの為って事?どんだけなんだよ!」と竜二

「まぁそれは一度センター長に会えたら聞いてみたい事だよね。」とヒカル


ヒカルもネネちゃんもスゲー、きっとこういう人が日本の未来を背負っていくんだろうな。

んで僕や竜二みたいな人が古き良き日本のゲーム文化を伝承していく。うん。いらないね僕ら。


「あと僕らが知っとかなきゃいけない話がもう一つこれはネネが父さんから聞いた話だけど、僕は自分の部屋で聞いてしまった話だ。ネネ話していいかい?」 

僕と竜二は「エッチな奴め!」 「お巡りさん盗聴犯がここにいまーす!」って言ってやった。


ヒカルは「いやいやまってまってよ!【超聴覚】で拾っただけでつい気になって聞いただけだよ。」

といったので、またしても僕と竜二は

「それを盗聴って言うんだよ!言い訳はやめろ!みっともない!」

「大体みんな初めてって言うが、お前は何回目だ?」と犯人扱いした。


ネネちゃんは兄がたじたじなのを見て笑ってた。よし!今日のネネ様ポイントはノルマ達成だね竜二!

そのまま「良いよ話そう!」って言った。何の話だ??


「まぁ聞いてよ。お金のはなんとなく理解したと思うけど、元T-SADの存在を嗅ぎ取った悪いやつらにT-SADだった人たちは拉致らちられる危険性が出てきてるんだ。」ネネちゃんの表情がまたしても暗くなる。


「今、世間でテロ活動をしてる【ハイドラ】って過激派集団知ってる?」

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