第21話 発症期⑦ 最強の盾

T-SADティーサッドの関連の話が落ち着き気付けば1時間ほど経過していた。


オバケの話もしてたしこんな会話が始まった。

「ネネちゃん肝試ししたいって言ってたけど、ほんとかなぁ?女子ってあーゆーの怖いって言うんでしょ?」と聞くと

竜二は

「いや、あれは・・・。まぁいいとして。」 え?あのキモって言われたやつ?

やっぱり?!やっぱり僕の被害妄想ではないのね?! そこははっきり言ってくれ!!

竜二は

「俺も肝試ししたいよ。気になってる場所があるんだよな。」と深堀ふかぼりせずでした。

知らない方が幸せって事もあるよね。


僕は返事を返した。

「どこどこ?って言うかネネちゃんとドキドキしたいんだけじゃねーだろうな。」 と言って

竜二の脇腹に手刀を「ズボシッ!」って効果音付きでくらわしてやったけど。触覚が無いため無反応。

「いや、図星ズボシじゃないんだけど。あのさぁアティウスの横の旧市民病院あるじゃん?」


「ああ、病院から見える立ち入り禁止のテープの先ね。ずいぶん経つのにまだ解体されてないよね」と僕は病院と旧病院の風景を思い出す。


「あの長ーい渡り廊下はアティウスが出来た時に市民病院と繋ぐために作ったらしくってキレイなんだけど、なんであんな構造なんだ?いつも気になってて。」

「そりゃ市民病院を閉める前に入院患者さん移動用に作って、新病院のアティウスメディカルセンターに搬送したかったからじゃないの?」

「その一回の為に、わざわざか?暫くなんかで使ってたのかも。」

「そりゃすぐには全部移動できないし何かしら使ってたでしょ。」

「そうかー、俺なら廃病院ってだけでチビリそうだから一気にボンッ!って解体したいけど。」

僕は(爆弾で解体?海外か!)ってツッコもうと思ってたんだけど、ふと


「旧市民病院?爆発事件?あ、思い出した。竜二に大切なお知らせがあります。」思い出した。

「急にどうしたんだ?!なんか危険ワード聞こえたけど。」

「僕の父さん、僕らが5歳くらいの時、そこで爆発事故に巻き込まれて死んだ事になってる。」

「!!!!はぁ!?」

「投棄された機械と酸素ボンベが原因で爆発したんだと言うこ」話途中で竜二は

「いやいや、続けんなよ!カガミその話、場所が近いだけにむっちゃ怖いんだけど!!」って言って低めのテーブルの下で【怖さのリンク】をする為に足を踏んできた。

僕は

「やめろよ!人の感情に土足でがって!」と言い、スタスタと立ち上がって靴下と言う最強の盾を身に着けて防御力を90に上げてやった。


竜二がビビりながら「じゃあ副センター長だったカガミの父さんがいたって事は、旧市民病院は一時いっとき研究所だったって事?」

「そうなるよね。」

「旧市民病院って入れないのかなぁ?今、俺たちが検診受けてる病院の場所も地下4、5階だろ?人目につかない場所?普通の検診じゃ無い気がしてきた。」

「そうかなぁ、考えすぎじゃない??僕は並ばなくていいから結構好きだけど。」

「カガミはのんきだなぁ。。でもおかしいと思わないか?現に定期検診の時スタッフ以外誰とも会わないし、看護師も先生も技師さんもみんないつもの人だよ!俺たちが検診してる場所は病院じゃなくて旧市民病院から事故で移ってきた遺伝子研究所なんじゃないか?」


「まぁこの先は佐井寺兄弟とも話し合って、肝試しがてら潜入調査してみても面白いかもね~。」

「カガミの怖いもの知らずが時々すっごく羨ましいよ。」

「いいだろ!へへ。」竜二は呆れて笑ってた。


「じゃあそろそろゲームでもしますか!」って言って竜二が家から持ってきたゲームソフトが僕の貸してるRPGロープレだった。

「人の家に来てまでロープレかい!!」ってツッコんではみたもののそう言えば僕も竜二の家でよくやってたよ。ゴメンね。


「だってさぁ兄貴の家庭教師も夏が受験の勝負時だから竜二君もよろしくねって、笑顔でプレッシャーかけてきてさぁ。目が笑ってなかったんだよー。」とぼやいていた。

そうかこのまま行くと2年後には僕らも受験が来るのかー。・・・実感湧かないなぁ。


僕は「竜二はRPG好きだよなぁ。」って言うと

「コントローラーの効き具合を考えるゲームよか、ゆっくりじっくり考えて操作する方が性に合うんだ。」と。触覚ないもんね。そういえば昔対戦ゲームで初めて竜二にぼろ負けした事を思い出して、おや?あれは何かでリンクしてたのか?と気になったが自慢されるのが嫌なので、もう忘れることにしました。


竜二がテレビを占領したので、僕は

「まだやって無いゲームでもディグりますか!なんせ良ゲーからクソゲーまで50本もあるし。」って言ったら

「ディグりってどうゆう意味?」と聞かれた。

なんだ頭いい癖に英語もできないのか教えてやろうじゃん!


「え、知らないの?だっさ、僕みたいなヒップホッパーが使ってる言葉さ、【Dig】 つまり掘る、掘って探すんだ次に出会うゲームはどの子だ!ってね。掘って進むんじゃないぜ。ドリドリドリ!」っとドリルをもってブロックを【掘り進める】男の子の真似をした。

ちらっとこちらを見て「・・・。」

竜二は基本集中したら話を聞いていない。まぁ僕もだけど。でも無視はいけないよ。まぁ今回も集中して聞いてくれなかったのね。【沈黙の竜二】なんか響きがカッコいい。


「なぁ ミスター。」ドリルの話聞いてたんかい!!


「何?」


「これどうやって進めるか教えてケロリン。」

「え?このゲーム僕が貸したよね?」

「そーだけど。」

「僕やった事無いんだけど。。。」

「??そうなの?キャラ名【カガミ】のセーブデータ3つあったけどカガミのじゃ無かったんだ。俺のセーブデータの為に一個はデータ消してしまいました。ゴメンナサイ。」特に謝罪の感情も無く、別に問題なかったので

「いえいえ。でも僕はキャラ名は基本【ドスコイ】にしてるよ。」と言う。

竜二はそこは気にならずに、

「あ、パッケージが赤だからやりたくなかったのか?わかる!俺もミドリのパッケージのアクションRPGした事ないし。」

「なるほど、だからプレイしてなかったんだ。」と妙な納得をしてしまった。

「で、話戻るけど、手詰まりの進め方を竜二のスマホでググってみない?」

「その手があったか!」


竜二と僕はゲーム画面が映ったテレビとスマホを見て攻略サイトで進め方を調べたが、

「滝の裏で実時間ただただ待て。だって。」

「こんなのわかんないよー!」「ホントそれ!」っと同時にツッコミ

ある事をこれもほぼ同時に思い出した。


それは先ほど喉元まで来ていたが思い出す事が出来ず、思考放棄した内容だった。

通常、人はやっと思い出せた時、スッキリしたり、もやもやからの解放感が得られるはずなのだが、僕らは違った。

「永遠の3分。。。あの日、竜二さぁ電気見えてたんだよね。」

「おぉ。」

竜二の能力が分かってすっきり!はせず、ただただ苦い思い出が蘇るだけだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る