第19話 発症期⑤ 要塞攻防戦

「今日もカワイイですね。一体どんなものを食べたらそんなに肌艶が良くってキレイな状態を保てるんですか?」

「はいはい。なんか欲しいのね?食事はお昼ご飯以外、あなたと一緒よ。」


テストが終わり、中一初めての夏休み前の休日。今日僕はスマホを手に入れる為に難攻不落の要塞を攻略していた。ちなみにまだその要塞は【怒りの】状態にはなっておらず慎重に攻めている状況である。


「母さん今回僕、結構ビビってたけどまぁまぁテストできたじゃん?」

「小テストも中間テストもできてたじゃない。心配しすぎよ。」

「いや、期末テストが本番って聞いてたから中間テストはジャブかと思って、ってそんなことは良いんだけどそろそろスマホ欲しいんだよね?」

「んん~どうして?」

「えっ、どうして?そうだね、僕が欲しい訳は、ん~【みんな持ってるから?】。」


「あのねカガミ。そうゆう答えはダメよ。名前の見えない【みんな】とか【知り合いのみんな】って言うセリフはズルい。【不特定多数】って事だよね?母さんのイメージでは大体トラブルが起きる時に使われやすい言葉なの。」おっと、コマンドの選択ミスで失敗。ライフ‐1


母さんは続ける

「スマホを持っていても【自分を持っていないと】何の為にどうする目的で買ったかわかんないよ?」なるほどうまい事言うね。

でもそうか、目的をはっきりさせないから武器や凶器になるんだ。って思った。


「それに中学生だからって親が毎月お金を払うものに無頓着なのは良くないよ。そんなんじゃプロのサブスクリプターにはなれない。」ライフ-2

「えっと、サブスクリプタ―って何?」

「あ、いいの母さんが今作った言葉だから。」たまに勝手なこと言うよね!母さんとの親近感を感じるけど。


しかし要塞攻略 GAME OVERまでの残り残基があと1個になってしまった!

プレゼン資料作るべきだったかなぁ。


じゃあ「竜二と、ヒカルと、ネネちゃんと連絡を取る為。」素直に言ったよ。屁理屈をこねくり回しても母さんには勝てないし。


母さんは悩んだ結果「本当は10月まで待ってもらって13歳の誕生日に買ってあげようかと思ってたんだけど。色々と約束を付けるけど買ってあげようかしら。」

「やったー!」ん13歳で持たせてくれる予定だったのか?なんで?


「ちょっと待って!テスト結果まだよね?」「えっ、はい。」ヤバい!ライフ消滅か?

「1学期の通信簿で結果とさせてもらいます。」

「はい。」


日曜の昼、ご飯を食べてダラダラしていると家のインターホンが鳴った。

画面を見て竜二を確認しボタンでドアロックを解除し「どぞー」っと迎え入れる。

「おっじゃましまーす!」

「あら竜二君こんにちは!」

「これどーぞ!かーちゃんからです」竜二は佐井寺家に手土産で持って行った【ようかん】の入ってた紙袋を携えやってきた。

「森竹堂のフルーツ大福じゃない!ありがとう!嬉しいわ!!」

竜二は「カガミの母さんの笑顔がみたくて。」と言い、僕は言い終わる直前に竜二の頭を叩いて「ネネちゃんに人妻好きって言うからな」と言って部屋まで引っ張っていった。

母さんは全然聞いてなくって「キウイとマンゴー味もある!」ってリビングで喜んでた。


「で、やっとテスト終わったけどまずゲームの前にT-SADティーサッド関連の情報整理と今後知りたい事をピックアップしよう。」と言って新品のスマホを出してきた。

「!いいなぁ、ほしいなぁ、忘れていかないかなぁ?」と僕が言うと嬉しかったのか照れながら

「カガミはスマホ買ってもらえそう?」と聞いてきた。

「僕は終業式以降かな。通信簿次第ってとこ。」と話し紙とペンを準備したが、メモとして準備したもののスマホのメモ機能と紙とでは時代差がありすぎて、まるでパピルスに文字を書いている気分になった。


竜二が「Wi-Fi繋いでいい?」って聞いてきたから

「いつもゲームの時はリビングで繋いでてあんまり部屋でしないから僕の部屋まで届くかなぁ」って答えたら

「いやいや届いてるよ」っていやに自信満々に言った。

「あ、そうだ学校のタブレットも繋いでたわ。届くと思う。」って言ってリビングにパスワードを調べに行って部屋に帰って来ると

「この辺が一番拾いそう」って言ってスマホを持った手で電波を探してる竜二がいて笑いながら

「いやいや見えないでしょ!超合金か?」って言ったら

「え?この触れない浮いてる線っぽいの、いや・・・カガミも見えないんだ。」って返された。


「え、竜二!まって!マジで言ってるの!?」

「・・・うん。小さい時、兄貴に嘘だっていわれた。」竜二は嫌そうだった。



一体どうなってる!?どんな風にみえてるんだ?僕は竜二の奇妙な点に真剣に考えだした。

竜二は「こんなこと言ってる奴、怖くないのか?」と心配そうにしている。

「や、だから僕は怖さが欠落してて」

「あ、そっか。」と笑顔が戻った。良かった。

「でも何かは知りたい。あ、とりあえずこれWi-Fiアドレスとパスワードね。」紙を手渡した。

竜二も「センキュー!」とスマホに入力、無事登録し接続となった。


「竜二君、さっきの話詳しく聞こうじゃないか。しかし君には黙秘権がある。」といいながら僕は後ろで手を組み部屋を刑事のごとくうろついた。竜二は

「金の為に、、、僕がやりました。」とシチュエーションに沿って行動してくれた。応用力がある奴は嫌いじゃ無いよ。

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