第17話 発症期③ 生き返った理由
「だから奇跡の双子って言われてるんだぁ。」僕は納得したが、いくつか疑問も残ったので早速手を挙げて質問コーナーだ。
「質問①
結局、何でネネちゃんは息を吹き返したの?
質問②
その背広の誘拐犯は捕まったの?
質問③
2人はまだ一緒にお風呂に入っ%€$ぐはっ。」
竜二!話の途中に水平チョップはマナー違反だ!!
「カガミ君、今関係ないよねそれ!」と竜二
「質問を欲張り過ぎました。時間も無いので質問は2つだけとさせて戴きます。」と丁寧に謝る律儀な僕がいた。
そんな僕にネネちゃんはゴミを見るような目だった。
その後ヒカルは
「せっかく要点だけ説明して話ボカしたのに、詳しく聞いちゃう?さすがカガミだよ。」と言いながら笑って
「今から言う事は、4人の内緒にしたい。良いかい?」
ネネちゃんと竜二、それからコンビニ弁当の隅に入っているお漬物の様に扱われた僕でも一応、釘を刺される形で3人の頷きを確認してから、ヒカルの話が始まる。
余談だが、お漬物は釘で美味しくなるんだぜ。味わからないけど。
「先に、背広の犯人に関してはまた親に聞いておくよ。」
「本題だ、ネネの状態を急に回復させた原因として【僕の涙】から血を作る為の一種のホルモンが出ていたって言う仮説が浮上して、ちょっと前にそれが立証された。ネネはそれを飲むもしくは吸い込むか、何かして失った血液を急速に体内で作り出したんだ。」
ん?難しいな。何となくわかるような?竜二わかる?僕は首を傾げて竜二を見たが竜二は少し何かを考えている様子。ヒカル、追加説明プリーズ!
「ネネは意味わかる?」
「んんー何となく。」
「カガミと竜二は?」ヒカルが質問した
「ネネちゃんと同じく何となく。」竜二の返事にうんうんと頷く。
ヒカルに見つめられてドキッとした。
「そうか、みんなこれわかっちゃうんだ。話は変わるけど、この話が中1でわかるのは
「集団生活が中学から始まって少し経つけど、僕らは同じ学年の生徒と比べてかなり頭が良いし、気が回る。何だったら会話だって大人に近いレベルだと思う。カガミ以外。」
「最後の一言いらなくないですかーー!」僕は差別反対と書かれたプラカードを持ってデモの先頭を歩いている人をイメージして体が動いていた。
そこで竜二が、思いついた様にハッとなった後、言葉を選んでこう言った。
「そういや
竜二も相当頭がいいのか、
僕がT-SADである事は、僕らの秘密である。
恐らくヒカルの嘘発見器に引っかかってはならないと考えてくれたんだろう。が、しかし!
チキンマンの
もっと早くから打ち合わせておけば良かった。
ダンドリが悪く、仲間から絶好のタイミングでパスを受けたがオフサイドしてゴールを決められず、良い所で
タンドリーチキンマンと呼んでね。
ヒカルは「カガミ大丈夫?どうしたの?」と、心配そう。
すぐわかるのね精度高いんだから。
僕は
「エアデモ隊をしてて血が登ったみたい。」と言った。我ながら情けない。
「そうか、知能指数が高い。か、でも合点がいく事が多い。続けるよ、さっき言ったホルモンってのは焼肉屋のそれじゃなくって、体の中で自分で作られる【お薬】の事だと考えていいと思う。
赤ちゃんのカワイイ僕が、ネネの近くに行った時にネネの体内でその【僕のホルモン】が影響して、血液を急速に作り出した結果、出血死を避けられたって言うのが現段階でのアティウスの研究者達の見解だ。」
竜二は
「うん。ヒカルじゃ無い。カワイイのはネネちゃんな!」
「竜二!よく言った!ちょうどツッコミの人数が足りないと思ってたとこだったんだよ!」と僕も感謝を込めてそう言いお互い右手で親指を立て合った。
ネネちゃんはちょっと照れてほっぺたを赤くしてたけど切り返すように
「でも何でそこまでわかるの??」って聞くと、
ヒカルは
「僕だけ検診の時、採血多いだろ?
新生児の僕の涙がサンプリング、あ、採取の事ね、サンプリングされてまだ保管されてるのもあるけど、その中に【エリスロポエチン】に似た赤血球の産生を促進するホルモン、簡単に言うと血を作る為のホルモンが見つかったんだけど、僕のは尋常じゃ無い効果があったらしいんだ。今はそのホルモンが出なくなったけど、現在薬で販売されているのは僕のホルモンを解析して出来た劣化版らしい。」
わぁお。ヒカル薬使っちゃったの?救世主じゃんか。
「そのおかげでネネちゃんが、急回復して、息を吹き返したんだね。」
僕もここまで説明してもらえるとギリギリだけど納得出来たよ。
「おっと、とりあえず」竜二が公園の時計を見て
「そうだね、この後の事は期末試験が終わった後に遊びながらでも考えよう!もうすぐ夏休みだ!!」ヒカルはカバンを肩に担ぎそう言って、みんなお互いにバイバーイと言いながら二手に別れた。
僕は勉強で3人に置いてかれたく無いなぁと思いながら歩いていたが、竜二は何だか嬉しそうで
前に回り込んで下から顔を覗き込む様に
「あなた。熱でもあるの?」って保護者目線で聞いたら竜二は
「んんーそうかも。最近ネネちゃんと話す機会が増えたから学校楽しいよ。ありがとな」っ言ってきた。
僕にしては純粋に
「人を好きになるってのはどんな感じなんだ?」って聞くと、かなりショックを受ける返事が返ってきた。
「嫌われる怖さがわからないカガミには、わかんないかも知れないなぁ・・・。」
僕は「・・・嘘でしょ。」と呟く。
愕然とした。確かに
もし本当だったらヤバいぜ!恋愛も出来ず家族にも恵まれず、仕事にも付けずに母さんと一緒に父さんの遺族年金を食い潰して生きていくんだ。
でも、
「でもさぁ、竜二も【痛み】は感じないからフラれても平気じゃね??」
悔しいから出た言葉に対して、脳みそ上位互換の彼の答えは
「フラれる痛みって違うくない?俺さぁ物理無効だけど、精神攻撃、劇弱なんだよね。」なるほど。論破されましたすいません。
あれ?まてよ?僕って誰に見とれたんだっけ?僕の脳裏に青い何かが一瞬映った様な気がしたが、その時は思い出せなかった。
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