第16話 発症期② ネネが死んだ日

僕が言った

「二人は【奇跡の双子】って言われてるの?」っていう何気ない言葉はアボリジニーがガチで狩猟で使うブーメランの如く大きくて殺傷能力を孕んだ状態で僕に帰ってきたんだ。



佐井寺兄妹はびっくりした顔をして。

ネネちゃんが

「お兄ちゃん話したの!?」

「え、ネネじゃないの!?」

「やだよあんなカッコ悪い呼び方!誰が教えるのよー!」

僕はカッコいいと思うんだけどなぁ。何だったら双子のお互い閉じてる目も眼帯とか付けたら渋いと思う。


「お兄ちゃんでしょ!3人仲良いじゃん!女子たちから噂で聞いたよ!プールの女子更衣室で裸で踊ってる一年生がいたって!」


ヒカルが不自然に目を反らす。


ネネちゃん誤解だ!!ただのエアヌード撮影会だ!いや、誤解ではないかもしれないけど、

今言う話ではない!その罰は僕たちは十分に受けた!!無実の罪で懲役100万年(相当)を味わわされてやっと更衣室から出てこれたんだ!フリーダムになる為の戦争ウォーだったんだよ!!

クソゲーだったけど。


あっ、そうだ! 僕は咄嗟に竜二を守らなくては!!と言う想いに駆られたが、竜二はワールドカップで負けた試合の選手みたいに疲れ果てた顔で空を見て、既に諦めモードだった。

お前の強みは【諦めない!】だろぉーーーーー!!


「いや、母さんから聞いたんだけど・・・。先に言えば良かった。」てへぺろ


ヒカルと竜二に左右から頭を叩かれちゃいました。ブーメランここにて無事帰還。



ややあって


「カガミんとこの母さんがまぁまぁ詳しくってさぁ、それ俺も聞いていい??」ちょっと!なんで竜二半笑いなの?そんなに【奇跡の双子】ってカッコ悪い??


「別にいいけど。」ヒカルは恥ずかしそうに言って4人で近くの公園に寄って木陰で少しだけ会話をした。

ネネちゃんは恥ずかしそうに付いてきてくれて、竜二も何だか嬉しそうな気がしたよ。


「僕たちが生まれた時の話。両親から聞いた話だから嘘かもしれないよ。」


「10年以上前の誕生日の話だよ、覚えてるわけないよ。今更掘り返されてもー。」ってネネちゃん。


「当然だけど僕が兄だから先に生まれた。ネネはそれから約6時間後、結構長かったらしいよ。まぁもっと長い人もいるだろうけど、ネネは瀕死だった。」HP1ってやつね。


「それで!?ネネちゃんはどうなったんだ?」いやいや生きてるでしょうにバカか?竜二さん!喰らい付きすぎだよ!バカ釣りNo1か?


「逆子じゃなかったけど、生まれた時は僕の方が小さかったらしいからかなぁ 肩か胸が引っかかって、出れなかった。


やっと出れた時、血胸って言ってかなり肺に出血していたみたいなんだ。」ヒカルは肺全体を触らないくらいの距離でぐるっと反時計回しに撫でた。


「アティウスメディカルセンターはすごく小児医療、特に新生児のチアノーゼ関連疾患に力を入れてて、世界的にも有名なグループだったんだけどスタッフさんたちのおかげで初めのうちは何とか循環は保てた。でも」


「でも?」僕も先が気になってきたよ。母さんにチアノーゼって言葉を教えてもらったから何となくわかった気がするし。


「輸血が足りなかった。」


「取り急ぎ母親の血液型が合うか確認したり、多くの人に使える【O型】の人の血液を院内で探したりして青十字からの輸血を待つ間できる限りの事をしたみたい。


氷枕みたいなものを当てられ、すごく冷たい【超低体温】って状態にされたらしい。そこで ネネの命は脈が無くなって一旦終わったんだ。」


「「え?」」僕と竜二はビックリして口を開けたまま同じ言葉をつぶやいてしまった。



「あははは!」とヒカル。

「もぉ!お兄ちゃん!」とネネちゃんが言った時には僕らは

「なんだ、冗談か!」って思ったけど、


「本当なんだけど、竜二君をからかいすぎ!!」って言った。


気になった所をかいつまんで言おう。


(竜二君)【たち】って言った。


「なるほど僕は外野扱いか。ツッコミの【肩力】は【A】なんだけど、【人気】が最低の【1】なんだよね。ってどこのファミリーのスタジアムでの話だよ!」っと口に出してしまった。


若干ネネちゃんが引いていた。


「ま、カガミのゲームネタ話はスルーで続きどうぞ。ていうかホントなんだ。」竜二覚えとけよ!


「うんホントらしいよ。その後キンキンに冷えたネネを」何それビールみたいな言い方、他の言い方なかったの?

「抱きかかえて出産後の母さんのベッドに運んだがいた。隣に父さんもいたんだけどまぁ居てるだけの空気だったって。


母さんはすべてを聞く準備が出来ていた。女の人ってそうゆうとこ凄いよね。出産後の顔元にネネが来た時、母さんは泣きながら謝ったんだって。それを制してその背広のスタッフは「兄ちゃんも連れてくるね!」って言って、センター長以外の他のスタッフが止める中、僕を母さんの元へ連れてきたらしいんだ」


ネネちゃんはこの話が照れくさいのか、下を向いてモジモジしていた。ヒカルはそれを見て微笑んでから話を続けた。


「生まれたてで猫みたいにニャーニャー泣いている僕が保育器から連れ出されて、泣いてる母さんの顔元にきた時」いやこれ下手したら誘拐だよね?その背広のスタッフ


「ネネの顔色が急によくなったらしい。輸血もしていないのに採血データの数値上昇がみられて、無理やり動くかの様に心臓が再び動き出したらしいんだ。そこからは良くなる一方でまぁ雑に言うと、現在に至るって感じ。」


「最後の加速やべーな、もっと聞きたかったよ。」って竜二が言ってた。

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