第15話 発症期① 軌道
隣に歩くのは
「なぁハラモン。」
「なに?竜二でいいけど。距離置いてんの?あとデジタル世界の住人みたいな呼び方やめろ。」
「昨日はエヴォリューションしたんだね。恋って楽しい?良いよ僕も心は広い方だ。竜二が幸せなら僕も幸せだ
「わかってるよ!調子に乗りましたすいません!!」
謝ればみんなハッピー、そう!囲碁・将棋なら投了、戦争なら白旗、女騎士なら「くっ!殺せ!」。時代や場所は違えど負けを認めて早めに謝って損は無い。
きっとあの有名なラムネも、クッコロしたからハッピーになった。略して「クッ○―ラムネ」って事じゃん?
あの幸せそうな絵、材料のコンスターチって何なんだろう。ダメだ悪い癖が出た、一旦話を戻そう。
深呼吸だ。OK! 一度航路を外れた惑星探査機ハヤ○サよりは早く軌道修正できた。
言いたかったのは
「お前の軌道は見えてたけど甘んじて受けてやったのさ。」だ!
竜二は「あのさぁ! ネネちゃんは別に今は良いんだよ・・・。」とやや不機嫌だった。
とことこ歩く二人、学校以外でも歩きが多いのは竜二が自転車に乗れないからだ(笑)
でも触覚が無いのが本当なら自転車も水の中もやっぱり苦手なんだろうか?
「で、新たな情報、得たか?」
「いんや全くだ。かーちゃんは
「結構詳しかったよ。」
「ほんとか?カガミの母さんムギ薬局の薬剤師だもんなぁ~。賢いよ。」
「そんな竜二君に~朗報です!!」
「え、なになに、このブルーな俺の気分を上げてくれるものとわぁ~?」お、いつもの竜二だ乗ってきたな!
「やっぱ僕もT-SADだったんだけど、T-SADだった患者は知能指数的には結構頭いいらしいよ。」
「やっぱり!!これで俺たちのリンクの説明はつくな。でも知能指数か。確かに自分で言うのも何だけど俺たちマセてるよな?中1の会話じゃないって兄貴によく言われるよ。」
「そうなのか?兄弟どころか友達あんまりいないから気づかなかったよ。」
「ぉ、おお。」残念な目で見るな。
竜二は考えながら疑問を口にする。
「アティウスって国が一部経営してるよなぁ、俺たちをどうしようと考えてるんだ?実験体とか、軍事利用か?」
「ずいぶんぶっ飛んだ考え方するねぇ。それならこんなに自由にできないんじゃない?施設にまとめて収監されるとか。監視がついててピンチの時助けてくれるとか。ソースはゲームですが。」
「うーんワカラン。カガミはT-SADだったのになんで手術無しで生きてんだ?」
「手術はしたけど、5歳だからどんなのか覚えてなくて、竜二のとは違うんじゃない?胸の傷は絶対条件じゃないと思う。」
「で母さんには、僕のT-SADはそのまま内緒にして人には言うなって。・・あっ。」
「あ、・・・なぁ ホントに俺らって頭いいの?」
「ははは・・・。どうだろね。」と僕は苦笑いした。
「じゃあ一旦カガミの件は二人の秘密にしておこう。カガミの場合怖さとか警戒心が無いのが痛いよな。」
おっしゃる通りです。
「気を付けるよ。」
学校に着くと
ネネちゃん今日もかわいいね。人が好きだって言うと急にかわいく見えてくる説。まぁもともとかわいいんだけど。
まず二人に昨日のお礼をと思ってカバンを机の横にかけてふと思ったんだ、ヒカルの【超聴覚】って実際どのくらいの声で聞こえてるんだろ?って だから自分にしか聞こえないくらいのもの凄ーく小さな声で
「竜二の事、朝、怒らしちゃってお
そしたらホントに聞こえてて!笑いを堪えて見てたんだ、ヒカルが指示してネネちゃんが席を立って歩きだし、竜二にコソコソはなしに言った。ネネちゃんの手は竜二の耳に当たってるぞ!やったぜ竜二!僕は今日 親友の恋のチューペットになったんだ!キューピッドだっけ?
そのあとネネちゃんに「わざとらしいからやめて」って
ヒカルには「心音で嘘かわかる時もあるんだよ」って
極めつけは、竜二には「次やったら○ロス!」て言われてさんざん叱られましたとさ。
一言だけ言わせてもらえば、雪原は○゛ラル地方であって ○ロス地方ではない!
そうか、自分の力よりレベルの高いやつは言うことを聞かないシステムね。
今日も仲良く4人で弁当を食べました。許してくれなかったら3人のすぐそばの床で正座して食べる予定だったんだけど、3人とも嫌な予感がするって言って最後には招いてもらったよ。彼らは僕の中のゲザリの境地を垣間見たんだ。
学校が終わり、ヒカルに「テスト勉強今日もする?」って言われたけど
「色々と情報整理したいし、昨日迷惑かけちゃったから今日はやめとくわ。」って竜二が断った。きっと僕もセットだね。決定権ナシ。
帰る下駄箱までの廊下で、僕はふと思い出して質問したんだ。
「ヒカル、ネネちゃん、二人は【奇跡の双子】って言われてるの?」
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