第11話 成長期⑦ 色のない世界
「りんく?」竜二はそそくさと足水から出てメイドさんが用意してくれていたタオルで足を拭いている。ネネちゃんも接続して恥ずかしかったのか水から出てきた。
もーなんだよー青春しちゃって、おじさん焼いちゃうぞ!。。。父さんに似たのかな?どんな芸風の芸人だったんだろう。
ヒカルが「【リンク】ってのは僕達兄妹が感覚共有してるその接続の事を言うんだけど。ついさっきまで双子だから出来たのかと思ってた。いや、竜二と入ったプールの時も違和感は感じたけど。」
「僕がネネを、ネネが僕を必要とする理由は【超視覚】と【超聴覚】その2つがお互い効果半減になってでもリンクして使わないと、普段の生活に支障が出るんだ。」
ヒカルはノートのページを使って現状の説明に詳細を加える。
非リンク時
光【超聴覚】15【視覚】1
ネネ【聴覚】1【超視覚】15
リンク時
光 【聴覚】8【視覚】8
ネネ【聴覚】8【視覚】8
「現に学校でリンクしていないとお互いに移植した目や耳では生活しづらい。移植して情報のインターフェイスがあるだけマシなんだけど借り物の目や耳は普通の人と比べて性能が落ちるんだ。」
竜二は「難しいな、カガミわかるか?」と僕を心配して確認をしてきた。大丈夫、全然ワカラン。
とりあえず親指を立てて、ドヤ顔で竜二を見返す。
「じゃ、続けよう、それってカガミにも見えるのん?」っと竜二。
おいおい!進むんかい!周回遅れのレースゲームでアイテムはバナナの皮しか持ってない気分だよ!
ヒカルは「残念だけど、胸の傷が無いカガミは
「何人かの人と手で触れ合ったり水でリンクしようとしたけど最近までリンクを感じることは無かったよ。」ヒカルは首を横に振り話を続ける。
「いや、この場合は残念じゃ無いか、むしろ喜ぶべきだね、まず
竜二は んん~人と「違った点かぁ」と考え出した、考えている間
ヒカルが
「ネネは【怒り】が無い。」
ネネちゃんが
「お兄ちゃんはね【驚き】が無いの。リンクは感覚だけじゃなくってこう言った感情も共有しちゃうんだよ」と言われた。
竜二は「そうか。怒りも半分か、、、ネネちゃんさっきは【リンク】で落ち着かせてくれたんだ、ありがとう。」と照れている。
僕は え?怒らない人なんているの?ビックリもした事ないの?と兄妹の記憶を辿るけどやっぱり言ってることは間違っちゃいなかった。
竜二が「あ、そうだ!俺触ってる感覚ないっポイ!気がついた時からだからあんまり気にした事ないけど」
って言ったけど2人して「いやいやいや!」と言い
「それはヤバくない?物とか持てないじゃん!」ってツッコむ。
「えぇーそうかな?生まれてからずっとこうだからわかんないや。あとカガミから言われるんだけど全然【諦めない】し目の色も人とちがう黄緑色だよな?【アオ】と【ミドリ】って色は一緒に見ると気持ち悪くなるから見れないんだけどこれは病院でも気をつけるように注意された」と言ってハハハと笑った。
そうそう、産まれた時からだから僕も【コワさ】が無いって言われても気にならないんだよね。
ヒカルは悩むポーズをとり「諦めないかぁ、【諦め】が欠如してるって考えるべきなのかな?」とつぶやいた。
ここで僕も自己アピールタイムだ!
「僕は【怖い】って感情普段は無いよ!色も幾つか見えない。」言ってやったぜ!
すると竜二は僕に「あー普通の怖いもの知らずですね、お薬出しときます、次のかた~」って言われた。
ネネちゃんはそれに笑いながら「色については私たち自身が解らないから聞いたことないよー
実は、【色】ってのも私達見えないみたい。」と、サラッと爆弾発言を落とした!
あとネネちゃん竜二のボケには笑うのね。
【色のない世界】神さまはどんだけこの兄妹に試練を与えるのか。竜二も同じ思いだったらしく、
竜二も「ごめん、2人について知らなかったことが多すぎて、自分が嫌になっちゃうよ。」
「僕も・・・。」と同調した。
「いや、僕もネネも、気にしないでいてくれる友達が出来て嬉しいよ。色は見えないけど、赤外線と、紫外線が見えてるんじゃないかって言われてるし完全にモノクロの世界じゃないよ心配しないで。」と微笑んだ。
僕も竜二もその言葉で凄くホッとしたと思う。
「さっきからって言うか最初から思ってたんだけど二人はすごい詳しいけどどっからその話聞いたの?」と竜ーが聞くと
「「お父さん」」と一緒に返事をされた。
ヒカルは「お父さんが本好きなんだけどアティウスメディカルセンターに入ってる遺伝子研究所の副センター長さんが昔からお父さんの蔵書を見に足をよく運んできてて、仲良かったんじゃないかな?自分の子供の事だし心配性だからたくさん聞いてたんだよ、そういえば副センター長さん僕らが手術で退院した後からずっと来ないね。」
「うん。優しそうな人だったよ、ネネは声を聴いたことないけどカッコよかった。」
「うんうん、僕も見たことは無いけど落ち着いた心音で優しい音がする人だった。」
え?心音聞こえるの?ドキドキする時バレちゃうよ(焦)
「あ、やばっ!もうこんな時間!帰んなきゃ!!カガミ帰ろうぜ!」と急いで帰り支度をする羽目に
夕焼けは空一面の色を変えようとしていた。
「ごめんごめん!春日さーん!!送って行ってもらえるかな?また明日!!」「また明日ねー!」
メイドファイターの春日さんは「かしこまりました。」と言って僕たちを車で送ってくれた。
車内で竜二は
「プールの時さぁ、俺たち佐井寺兄妹とリンクしてサーモグラフィーみたいな見え方しなかったか?」って言ってきた、僕は
「やっぱり竜二もなんだな、なんで僕にも見えたんだ?でもはっきり覚えてるよ、あの時のネネちゃんのボディラインを。」
と、言ったら目にチョップを繰り出されたが【事前に見えたビジョン】によってさらりと回避。
今やLUK極振りのステータスで回避率99%だ!
「カガミについては調べる必要がありそうだな」
車内は大人のお姉さんのシャンプーの匂いでいい感じだった。二人とも男子中学生なのでほわほわした気分を楽しんだ。
先に家の近い竜二を送り、竜二ママに春日さんと挨拶をして、次に僕のうちに帰って母さんに挨拶をするって言いだしたので、
「春日さん今日はありがとうございました!マンションだし玄関まで来られると恥ずかしいよ(メイド服が)ここで大丈夫です!」って言ったら、安全の為と言いごり押しで玄関まで付いてきた。やだ!強引なんだから!
玄関が見えた時、お母さんがあんまり見たことが無い厳しい目つきで会話しているビジョンが見えて あ、怒られると思った。
チャイムを鳴らすと母さんがエプロン姿で手を拭きながら玄関に出てきて、
「今日は息子がご迷惑をおかけして、ありがとうございました~」といい春日さんから
「佐井寺家メイドの春日と申します。本日はご子息様の帰宅が遅くなってしまい申し訳ありません。お父様にもよろしくお伝えください。」と言った。
母さんはそーゆーとこで変に真面目で「わかりましたー」で済ませて良い所を
「うち、主人がいなくって、防犯の為、表札はそのままにしちゃってるんだけど勘違いさせちゃってごめんなさいね。」って言ったんだよ。まぁそうなるよね。
さぁ春日さん帰ってください!匂いが良すぎてこのままじゃ好きになっちゃいますよ!と思ったその時、
春日さんは見落としていた表札の名前を見て少し間を置いてぼそりと「天道 京介」って言った。
へい!メイドさん!さっきまでの丁寧語はどこいったんだよ、死んだ父ちゃんの呼び捨ては良くないぜ。と思っていたら、
「あの、失礼ですが
母さんは明らかに警戒レベルを引き上げ僕を家にまず入れ
「そうですが、どうしてご存じなんですか?」といつもとは違うシャープな声で質問をし返した。
さっき見た母さんが怒っているビジョンは実際にやってきてしまった。
今日の佐井寺家の話した内容を考えるとこれが見えるのが普通だとはまさか思っていない。
【超聴覚】や【超視覚】の様に僕も何か違うモノを持っている確信があった。自分の見えるビジョンをまずは理解しよう、そして使いこなそう。そう心に決めた。
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