よんーしち ざくり

 野菜と一緒に出てきた青虫に驚いて刺し、ざくり。音はしなかったけど、血は出た。気がついた時に出血を始める。

 青虫は身を捩ってまな板からの脱出し、

くしゃ。

 紙に包んでゴミ箱に、見えなくなる。気にしなくなったから、死んだ。

 

 まだ生きてるのにね。

  生きていると出てきそうです。

 

 うねる砂虫に驚き釣り針を指に刺し、

ぐさり。

 取るのに苦労しながら、血は出た。そんなことは気にせずに早く投げないと。

 砂虫は水溜りで自由に伸び縮みする。

ぴっ。

 半分にしたけど、またまだ動く。針につけて竿の先へ飛んでいく。


 魚の餌はまだ生きてるよ。

  釣り上げた魚の中で生きてます。


 ざくり、まだ苦手なんだ。

 ぐさり、もう慣れたんだ。

 くしゃ、ぴっ。

 

 切るたびに流れ出たもの。

 その全てが一瞬輝く。

 不健康な文字列と光で、流れ出たもの。


 そこにいたいのに、それを体が許さない。


 まな板の上でキャベツをざくり、ざくり。

 火を吹いて、断面からは白い粘液が溢れる。

 粘液を摘んでみれば、ざくり。動かすたびに聞こえる。

 音の正体はこれだ。

 ざくりもぐさりもくしゃもみんなそう。

 

 では、本当の音は?

 気が付かない。意識のせいで音が鳴るから。

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