さんーご まちがい

 後ろにはためく世界

 季節外れのこいのぼりはためく

 つばの切れた帽子とそこから覗く白

 

――切られちまってさ。


 薄くひかれる傷跡

 帰省終わりにこいのぼり萎む

 珊瑚の折れた先とどこから話そうか


――子が二人いたんだ。


 青くしずんだ海底

 仕事終わりに見えた人歪む

 腕の軋む古傷とそこから延びた幻痛


――手折られその手は届かない。


 過去にのみこむ嫉妬

 慰霊終わりにふうせん飛んだ

 色恋破れた影とどこから違えた


――生きてもそれだけ、それまでさ。


 世界は後ろ、はためく幟

 季節外れは、停止の定め。

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