はち ないぞう
いつでもないぞうを取り外して遊ぶことが出来ます。
休憩室に置いてあった人体パズルは誰にも触られない。なぜなら、わたしが来た時にはホコリが積もっていたから。
ふと、取り外そうと肺に手を伸ばす。行き詰まっていたから、時間がないのを承知で休憩室にやって来た。
気管が邪魔をして外れない。部屋はほとんど暗いままで、足踏み運動器具やバランスボールが無造作に置かれている。
いつでもとはいったけれどどれでもとは書いてない。リフレッシュできますけど、その後の遅れは自分で取り戻してくださいね。とは言わないものの、気管は簡単に外れない。
喉が邪魔をしている。無理矢理押し込んだせいかこじれて取れない。だから時間を使うしかないってわかっていて。
みし、ぱき。
嫌な音がして気管は外れる。外したのだからそれは成果ですよね?
喉もとの部分が欠けて、落ちてくる。内側に爪が噛んでいて、押し込んで外すタイプだった。ねじれば外れると思っていたから、壊れてしまった。
ぴるる、ぴるる。
社用携帯が鳴る。質問か確認か相談か、何にせよ仕事をしないといけない。
「はい、お世話になります」
ないぞうはそのままで、気管支だけ手に持って受け答えをする。いつでも自我を取り外して仕事ができます。
「ふふっ。……あっ、すみません」
休憩室の電気を落として、考える。
この後に溜まった仕事、問い合わせ、回答、調整、目まぐるしく時は流れる。
ないぞうはまたホコリが溜まるんだろう。
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