【第三章 王女の帰還】
【第三章 王女の帰還】
バネンシア王国を出発してから七日が過ぎようとしていた。ガーランド帝国の首都ランドまで半分と少しを踏破した事になる。あと三日辺りで目的地に到着するかな?
ランドに行くには、バネンマイト山脈を抜けてマイト、ポルネジアの2カ国を通れば直ぐだ。但し今は両国とも帝国に王家を滅ぼされて、国ではなく、帝国の一地方となっている。
ここまでの道中でふと気になった事がある。どうして帝国はバネンシアを攻めたのか? だ。
バネンシアは背後は海で、正面にはバネンマイト山脈で他国と阻まれている。放っておいても帝国の脅威にはならないはずである。
「ねえ、フィル? 不思議に思ったんだけど、聞いてもいいかな?」
「何だ、シレン? 何故帝国は王女を連れ去ったか……とかか?」
「うん。それもある。どうして帝国はバネンシアを攻めたのか? どうして王女を連れ去ったのか? バネンシアの立地を考えたら、得になる事ってあまり無い気がしてね……」
「そんなの決まってるだろう! 帝国の目的は世界征服だぞ? 遅かれ早かれ攻め入ってたさ!」
バランの意見は偶に参考になる。だけど今はその偶には適用されないかな。バネンシアは確かに帝国に侵略された。しかし、マイトやポルネジアとは少し扱いが違う気がしてならない。
「それは俺も思っていた。なかなか鋭いじゃないかシレン?」
フィルの上目線は今更の事だけども、バランはスルーですか? しかし、僕もスルーしてるので、少し寂しそうなバランの横顔に胸がチクリとしたのを覚えている。
「バネンシアと、マイトやポルネジアの帝国の扱いの決定的な違いが分かるか?」
「え……と。王家が存続してるかどうか……かな」
「そう。その通り。マイトやポルネジア王家は滅亡させられてるのにバネンシア王家は存続している。理由は知らないが、そこに帝国の真の狙いがあると俺は睨んでる」
「何なの? その真の狙いって?」
「そこまでは俺もまだ分からん。ただ、帝国が発祥してから七年の内に五十以上の王国が滅んでいるが、存続が許されているのはバネンシアだけだ。シレン? お前、帝国の謳い文句を知ってるか?」
「王家の奴隷となっている人々の真の解放……だろ?」
「ああ……俺はな、シレン。最初この謳い文句は自らを正当化する為の偽善だと思っていた。けどな? マイトの人々のあの輝きに満ちた笑顔を見ると、あながち偽善でもない気がしてならないんだ。むしろ本気で取り組んでるかもしれない」
「うん……」
確かにそれは一理ある。道中のマイトで過ごした人々は皆、活気に溢れて生き生きとしていた。勿論、帝国兵が常駐しているのはバネンシアと変わりはないが、敵対心などカケラも無い程に打ち解けている。それどころか、寧ろ感謝されている程だ。
「偽善なのか、正気なのか、真意の程は分からないが、結果だけを評価すると、帝国に取り入れられた王国の国民にとっては帝国は正義だ。少なくともマイト国民にとってはな」
「もうすぐでポルネジアに入る。ポルネジアの国民達の暮らしぶりで分かるんじゃないか?」
「そうですね。どうしました? バランらしくない発言じゃないですか?」
「ふん。帝国はバネンシアの敵だ。マイトやポルネジアの人々は関係ない。そいつらに敵意が無ければ敵じゃない。俺だってそれぐらいは冷静に分析してる」
このフィルの上から発言にもう慣れたのか、バランもサラッと流していざこざを起こさない。初めの頃はよくぶつかっていたけど、バランも扱いが分かってきてるな。
バランの敵か味方かでしか物事を見ない性格は、兵隊特有の気質なのだから特に気にはしてない。味方は全力で守り、敵には容赦しない。そうでなければ味方は守れない。特に今回の同行にはバランは不可欠な存在だ。前線に立つ指揮官としては、兵士達も全幅の信頼を置いている。敵か味方かは、僕やフィルが示してやればいいだけだしね。
「ねえ? バランやフィルはさ、バネンシア以外にも色々と行った事はあるよね? 僕はバネンシアしか知らないから分からないんだけど、他の国の人は、そんな奴隷みたいな扱いされてるの?」
「シレンはお坊っちゃんだからな。知らねえのも無理はねえ。バネンシアが国民にどれだけ優しい国かは、多分世界一なんじゃねえか? 税金は軽いし、国民に何の得も無い施設も無えし、王家だって贅沢してる訳じゃねえ。他の国が国民から搾取してるだけってのは間違いない」
「そうですね。バランの言う通り。バネンシア王家は搾取してない。それどころか逆に、お願いしてないのに国民からどんどん献上品がやって来る。バネンシア王家が国民から深く愛されている証拠だ」
「それだ! フィル! 帝国の目的は国民の奴隷からの解放だろ? バネンシア国民は、言わば帝国の掲げる理想の国民だ。それを討ったら自分達の行いを否定する事になる。だからバネンシア王家を滅ぼせなかった」
「でもさ? バラン。だったらバネンシアに侵略する意味って無いんじゃない? ほっとけばいいんじゃないかな? バネンシアにも一応は軍はあるけど、弱小だよ? とても帝国の脅威にはならないと思うんだよ」
「シレン。俺達が弱いってのか? お前も近衛騎士団だろ?」
「そうじゃない。バラン、シレンが言う事は違う意味合いだ。個々の戦闘力で奮戦したとしても、大局を動かす程の影響は無いって事だ。バランだって、一人で五百人の相手は無理でしょう?」
「む……まぁ確かに」
「それにバネンシアは世界から隔たれてる立地にある。俺は帝国の狙いは王女自身か、または王女に発見されては困る何かがバネンシアにあるんだと睨んでる。王女の能力は探し物マスターだからな」
「その何かって何だよ?」
「それが分かれば苦労しないさ。てんで情報が無さすぎる。マイトでも聞き込みしてたけど、それらしい情報は得られなかった。ポルネジアで有力な情報があればいいけどな」
いずれの理由があるか知らないけど、ミレーユ王女は帝国にとってのアキレス腱になり得るから、王女をバネンシアから引き離し自分達の管理下に置いたんだ。その真意を探る事が打倒帝国の1番の近道かもしれない。急がなければ……ここまでにもう2年の月日が経っているんだ。
目の前の小高い山を越えればポルネジアの街が見えて来る。ここまでの急な丘陵を越えてきた僕らには簡単な行程だ。もう間も無くです王女……。
♦️
「こっちもマイトと変わらずに人々の顔は明るいな……」
ポルネジアの首都に着いたら早々にシレン達と別れ、情報収集に着手している。バランの部隊もニ、三人1組で聞き込みに回っている。必要な情報はただ1つ。帝国がマイトやポルネジアから何を得ているか……だ。
「ねえフィル? 情報収集ったって、どんな人に何を聞けばいいんだ?」
「ああ。マイトやポルネジアは帝国が最初に侵略した王国だ。ただランド王国の隣国だからって意味だけで攻めたとは思えない。何か理由があるはずだ。王家を滅ぼした後に、帝国が利する何かを両国から得ているはずだ。その何かを正体がバレないように探ってくれ」
「正体がバレないように……難しい事言うなよ?」
シレンは多分大丈夫だろうが、バランは不安だな。頼むから目立つような事はしないでくれよ。集合時間は明日の朝。それまでに有益な情報を得られないと、軍師としての名が廃る。
しかし……こうして街を歩いていても、反帝国の匂いなど微塵も無い。日々の暮らしに笑顔が絶えない。一般の人々では有力な情報を得る事は難しいか……となれば。旧王宮の方へと足は向かった。
旧王宮も建物は半分解体され、貿易センターと行政センターが併設するらしい。“らしい”と言うのも見た事は無く、聞き及んだ程度だから仕方ない。税金も十分の一程度まで下がり、貿易で得た利益も国内に還元されてる“らしい”。
旧王宮の建物が見えてきた所まで来た道中で、その“事故現場”は現れた。道の真ん中で、馬車が倒れて積荷の木箱が放り出されて、更にその周りには小さな白い石が散乱している。この木箱の中身の積荷だろう。塩か、鉱物だろうか。
バネンマイト山脈地帯は豊富な鉱物資源が埋蔵されている。マイト、ポルネジア、バネンシアの3国はその天然鉱物資源を発掘して商売して生計を立てているので、山脈からの道中では、こうした馬車は度々すれ違っていた。この馬車もその1つだろう。しかしこの白い石は初めて見る。何の鉱物だろうか?
「すみません。事故ですか? ケガ人とかは居ないですか? 通りすがりの医者ですが、お役に立てればと思いまして」
馬車を引いていた馬を馬車から外して近くの民家に仮留めしている男に問いただす。医者ではないが、医者の知識はある。それに見たところケガ人は居ないようなので、こいつから情報を引き出せないかの探りを入れてみる。
「あー? 子供が飛び出してきてよー。慌てて止まったらコケちまったよ! ケガ人は居ねぇな」
「それなら良かった。馬車も壊れてる所は無さそうですね。引き起こすのを手伝いましょう」
「そうか、助かるぜ! すまんな」
男と2人で引き起こそうとしてる時に、周りの人達も手伝う為に6人位集まってきた。せーの! の掛け声と共に馬車は無事に立ち上がる。車輪も大した歪みも無いので、走る分には問題無さそうだ。
続けて積荷の鉱物を木箱に拾う作業が始まったのだが、目を盗んで懐に仕舞う人は誰一人として居なかった。大した価値の無い代物なんだろう。しかし、触った感じは塩では無い。何だろうか……。
結局、盗っ人は現れずに全ての積荷は木箱に仕舞われてしまった。たった一つ俺の懐に入った物を除いて。
「やー助かったぜー! ありがとうな!」
「とんでもないです。ケガ人が居ないのが幸いでした。ところでコレは何ですか? 塩かと思いましたけど……初めて見ました」
「あ〜これか? えっと……
硝石……? なる程、初めて実物を見たが、これが硝石か……。
「あ……そ、そうなんですね! へぇ……ハムに使うんですねー。へぇー」
「すまねえな! 急ぐんだ。じゃ、ありがとな!」
「いいえ! お気をつけてー!」
行ってしまった馬車を見つめる俺の目は燃えてるだろうか? それとも冷たく光ってるだろうか? どちらにせよ、獲物を見つけた猛獣の如き目をしているのは間違いないだろう。
見つけた………。そう言う事だったのか……。帝国の真の狙いはこれだ。
♦️
「おーい! フィルー! こっちこっち!」
ポルネジアでの翌朝、集合場所での合流は残るはフィルだけだった。河原でハイキングよろしく、皆んなで朝食を食べながらの報告会を行う。外から見ても怪しまれないだろう。ただのハイキングと思えるはず。ただ……屈強な男だけのハイキングが不気味と映らない人が居ないだろう事が唯一の不安だ。
「何だ、皆んな来てたんですね? 俺が最後ですか」
「時間が勿体ねえ。まず俺から報告するぞ?」
バランが仕入れたのは、酒場で帝国兵や他の傭兵や元ポルネジアの兵隊だった人からの武勇伝の聞き出しから得た情報だ。両国をたった1日で攻略した帝国の戦術を聞いてきたらしい。聞けば聞くほど、余程綿密に計画を練ってないと成功しそうにない作戦だ。
「帝国には恐ろしく頭の切れる奴が居るな。フィル、お前ぇよりも切れるんじゃねえか?」
「その通りです。俺なんかじゃ、そこまで仔細に且つ、大胆で合理的な作戦は組めない。国民が帝国をあっさり受け入れて王家を明け渡したのも、前々からの帝国の情報操作があったのでしょう。いいですか? 戦争と言うのは、戦略目標を如何にして少ない損害で達成出来るか。これに尽きます。心理戦、情報戦、世論戦、これらをフル活用し、ほぼ実戦らしい実戦をせずに国を落としてる帝国は強すぎます」
確かに凄い。帝国には戦略と戦術の天才が居るんだ。僕らが抗った所で、太刀打ち出来るだろうか……。不安になってきた……。
「しかしですね? 精巧に組み立てられた物ほど、歯車1つが欠けただけで簡単に動かなくなるものです。俺たちはその壊せそうな歯車を見つければいいんです」
「で? 偉そうに語ってるけど、お前は見つけたのか?」
「見つけましたよ。帝国の狙いは硝石です」
「硝石? 何だそれ? 何かの石か?」
「バランにも分かりやすく説明しましょう。まず、火薬ってご存知ですか?」
「あぁ。火をつけるとパンってなるやつだろ?」
「そうです。火薬はある材料を混ぜ合わせた物ですが、その材料の1つが硝石です。そしてこれが肝心なのですが、硝石は世界中で、ポルネジアとマイトしか採掘してません」
「何だって? って事は……帝国は最初から硝石が欲しくて攻め込んだのか!」
「俺も採掘国がこの2ヵ国しか無いのは初めて知りました。そしてその採掘場所はバネンマイト山脈にあります」
「え? じゃあ、バネンシアも?」
バネンシアも山脈が領地にある。
「シレン。それは無い。バネンシア側の山脈は海からの風が吹いてるからか、採掘されてないんだ。硝石は湿気に弱い。だから反対側に多く産出されてるんだ。けれども探せばあるかもしれないな」
「じゃあ、王女を連れ去ったのも……その硝石を発見させないため?」
「昨日も言ったが、王女は探し物マスターだからな。その理由で正解かもしれんな」
そう言う事だったのか……。やっぱり王女の能力を狙ってバネンシアに侵略を……。
「しかも採掘された硝石は帝国が独占していました。他の産出品は自由に貿易されてましたが、硝石だけは特別な許可証が無いと取扱いが出来ない仕組みに変わってます」
「けどよ? 火薬の原料を独占したら、火薬を独占するって事だろ? そんなに貴重か?」
「バランは火薬の性質を知ってますよね? 火をつけると一瞬で爆発するように燃えてしまいます。少量だと大した威力はありませんが、大量に火をつけるとどうなるか……?」
「近くでやられたら、死ぬな」
「そうです。火薬を使ったある種の新兵器でも開発してるんじゃないですかね? ランド王国は元々、学問の研究が盛んな国でしたから、その延長で軍事転用してそうです」
「でもこの七年間、帝国が新兵器を使ったって言う情報は聞いてないよ? 実はまだ実用段階に無いんじゃない?」
「切り札は最後まで取っておくものだろ? その新兵器を使わなくてもいいように、心理戦やら世論戦で情報操作をするという、まどろっこしい事をしてるのさ。まあ、実際にシレンの言う通りに完成してないって線もある。それでも、実際に“無く”ても、相手に“有る”と思わせれば、効果は発揮する。帝国は心理戦のプロだよ」
心理戦のプロか……。要は気持ちで負けなければ良いって事と、はったりかどうかを見極める目も必要になるな。ますます王女の能力が帝国には脅威に思えるな。打倒帝国にはミレーユ王女が不可欠だ。
「よぉうし!謎 は解けたな? ではこれからは具体的な作戦内容を決めるのに、極めて重要な情報を手に入れたケインの話を聞いてやってくれ!」
ケインはバランの部隊の一人で、少し臆病な所はあるけど、正義感に溢れた素晴らしい兵士の一人だ。昨日はバランと2人で調査をしてたようだけど……。
「あ、あの……バラン隊長と2人で……その。酒場で知り合った、元帝国兵と仲良くなって……その……王女の監禁場所と……その……その建物の隠し通路を教えて、もらったんだ……」
「何だと!!」
「ひっ! ご、ごめんなさい! は……早く言わなきゃ!って……思ってたけど……その……」
「フィル! 怖がってるじゃないか。怒鳴るの、良くないよ? すみませんケイン。フィルもびっくりしただけです。僕もびっくりしましたけど。お手柄ですよ!」
「は……はい!あ、ありがとう……!」
ケインが言うには、その元帝国兵は、元々ランド王国からの兵士で、3ヶ月前に病気を機に引退したのだが、つい最近になって病気が全回復してしまい、余生はポルネジアで畑をしながら悠々と暮らしているそうだ。
現役時代はミレーユ王女の護衛任務に就いていたらしい。その建物は旧王宮の敷地内の端にある5階建の塔で、外界とは遮断されている。しかし、籠城を考慮した設計なのが、王宮や城の定番で、御多分に洩れずこの塔も隠し通路があるらしい。それも詳しく教えてもらったそうだ。
「ず、随分と、気持ち良く酔っ払ってて……怪しまれずに、す、すんだと思う」
「なるほど。信じるに値するかどうかは、外からの侵入路として、その隠し通路の存在を確認出来たら決めよう。しかし、良くやってくれましたね? ケイン。一番欲しい情報ですよ」
「あ……良かったっす」
フィルも驚かしてしまって反省したのか、優しい口調でケインを労っていた。ともあれ、決行に際しての重要な情報は手に入った。あとは行動あるのみだ。
♦️
外は雨が降り始めたのね。窓に水滴がポツポツと付き出している。朝から曇り空だったし、薄暗かった。いつ降ってもおかしくない天気だったけど、ようやく降ってきたって感じね。
帝国にやって来てもう2年が経とうとしている。月に一回、外出は許されてるけど、それ以外はこの塔から出る事は許されていなかった。自分から進んで捕虜になったとは言え、こんなにも屋内で過ごした事は今までなかった。このままここで生涯を終えるのか……最初の頃はそう嘆いてたけど、今ではそれでもいいと考えている。それが私の運命ならそれを受け入れるだけよ。
塔の最上階の5階は私の居住エリアで、バネンシアの私の居住していた所よりも立派な作りをしていた。お風呂もベッドもリビングも書斎も全てが広く、キッチンだって大きい。侍女のサラと2人でも持て余している位だ。4階以降は帝国兵が私の護衛として配備されてるけど、護衛とは名ばかりで、私の監視だ。脱出は不可能。もっとも、脱出した所で塔のある敷地の外へ逃げられるとは思えない。皇帝の城が直ぐそこにあるんだ。当たり前の警備網でしょ。
「ミレーユ様、紅茶を淹れました。こちらへどうぞ」
「ありがとう、サラ。いただくわ」
「雨ですか……今日は来訪は無さそうですね」
「そうね……」
捕虜の私を訪ねて来る物好きは1人か2人しか居ない。皇帝の妹のバーバラ皇女と、皇帝の一番の腹心のジェイクマン将軍。バーバラ皇女は歳も割と近いし、話し相手として凄く有難かった。好奇心から私を訪ねてくれるようになったけど、今では結構仲良しだ。
ジェイクマン将軍は私を捕虜として受け入れてくれた方で、その責任者として様子を見に来てくれている。
帝国軍に投降した時、周りは直ぐに殺すように進言してたけど、ジェイクマン将軍が生命まで取る必要無いと、皇帝に言ってくれて私は生きていられる。将軍は来る度に暇潰しの道具にと、書物を持ってきてくれていた。お陰様で退屈はしないでいられたので有難かった。内容はちょっとアレだけど……。
「ミレーユさん?ご 機嫌よう! 今日は生憎の雨ですわね!」
いきなりドアを開けて入って来たのは、専属メイドのジーナさんを連れたバーバラ皇女だった。思ってもいない時に唐突に現れるから、いつも本当にびっくりする。この行動力はどこから来るんだろう……。王家の人間として、私も人の事は言えないけどね……。こういう所が2人は似ていて、話が弾んでいた。お互いの武勇伝や、もしもの武勇伝を語って、いつも笑い合っていた。
「バーバラ様! 本当にいつも突然ね? 次いつ来るとか予め言ってって、いつも言ってるじゃない!」
「あら?
「開き直るのずるい!」
呼称に“様”はつけるけど、基本的に友達感覚でいる。そうしないと怒られるのだ。“様”はつけないとジーナさんに睨まれるし……。今日も夜まで居るのかな……。泊まってってくれれば楽しいんだけどな……。そうもいかないか……。
「それでね、ミレーユさん。この間の続きですわよ?」
席に着くなり話し出すバーバラ皇女は、こうなるともう止まらない。ジーナさんも心得ている。サラを連れてキッチンへと夕食の準備へと行ってしまった。
バーバラ皇女は、女の私から見ても本当に綺麗な女性だった。気品に溢れた佇まいが、その美しさをより際立たせている。けれど私と居る時は少女のように、はしゃいでいる。これがバーバラ皇女の本質なのかな。普段は気張ってるけど、気を許した相手には無邪気になる。私と一緒ね。だから気が合って楽しい。
私がこのままでもいいと思う理由の一つがバーバラ皇女なのは間違いない。でもずっとって訳には行かない。ここ最近は特にそう思う。
「ねえ、バーバラ様? 皇帝は最近どう?」
「……お兄様? 昔の優しくてカッコいいお兄様はもういないわ。余程お疲れなのかしら?」
日用品の補充や生活物資の補給に来てくれてる兵士の人と話をする事はよくあったので、世界情勢や内政の事など、ちょくちょく教えてもらっていた。捕虜で何も出来ないから……と、愚痴を私に言っても構わないし、私には難しくてあまり理解出来ないと説得してね。本当は理解しているのは内緒にして……。
昔と今の帝国や皇帝の変化はバーバラ皇女と兵士から聞いていて、推測だけど掴んでいた。ジェイクマン将軍はそういうことを言わない人だった……。将軍らしいと言えば将軍らしい。あの人は他人に弱みを見せないのよね。
バーバラ皇女が言うには、今の皇帝は堂々としておらず、常に疑心暗鬼に駆られて心情不安が如実に現れていて、カリスマ性が見られないらしい。半年前辺りから何かおかしいと思い始めて、実の兄なので心配していると、バーバラ皇女が私に相談して来たのが知るきっかけだった。ジーナさんも夜通しで看病をする程に体調が悪い時もあったと言う。皇帝の信頼を得ているジーナさんも凄いわ。
そのため世界の侵略も、軍を動かすような侵略は今はストップしている。条件付きで王家の解体もしくは、富の独占の撤廃を押し迫っている状態みたい。
私はサウザー皇帝の思想に反対じゃない。むしろ賛成意見の方だ。2年前に皇帝と面会した時があったけれど、バネンシア王国のやり方が理想的だと褒められた時は素直に嬉しかった。
その時のサウザー皇帝は自信に満ち溢れていて、求心力があって、優しい目をしていた。真に人々の事を思って行動しているんだなぁ……と、感服したのを覚えている。特に生命を大事にしていて、極力死者が出ない様にしている所も尊敬していた。その皇帝の変わりよう……。一体何があったのだろう?
「大丈夫よバーバラ様。ジーナさんもついてるし、ジェイクマン将軍もついてる。皇帝を支えてる人は凄い人が揃ってるでしょ?」
「そうね……。って、捕虜であるミレーユさんに励まされてるって、おかしくありません?」
「まあいいじゃない! そこは!」
2人で笑ってると、勢いよくドアが開いたので、そちらを見ると……居るはずのない人物が立っていた。何秒か思考が止まってしまっていた。まさか……。あの青い瞳。肩まで伸びたキラキラ輝く銀髪。……シレン?
「シレン!!」
実際には数秒なんだろうけど、名前を口に出すまでの時間が何時間とかかったように思えた。
♦️
ケインが入手した情報は本物だった。ガーランド帝国の首都ランドは地下に下水システムが採用されて既に実装されていた。ありとあらゆる建物は下水で繋がっている状態だ。酷い臭いに鼻がやられそうだけど、安全に侵入するのに、これ程適した通路は他に無かった。
街の一番外れにある協会の地下から、方角と距離を合わせ、ミレーユ王女の居る塔の地下までやって来た所でフィル達と最終確認を行う。
「シレン、お前は地上に出たら他には目もくれずに真っ先に最上階に行って王女を保護しろ」
「分かった」
「バランは数人を連れてシレンの行く道の露払いをお願いします。残った者は俺と共に露払いを逃れた残党の相手だ。いいか? 念を押すぞ? 傷を付けても構わないが、殺すなよ! 王女の前に死体を晒すな」
前々から決めていた事だった。2年の月日で王女も情が移ってるかもしれない。世話になった人も居る。そんな人が目の前で死んでいては一緒に脱出してくれないかもしれない。何よりもスピードが大事な作戦なので、王女にも躊躇なく行動してもらわないとならないからだ。
こちらに死人が出ても、相手に死人は出せない。難しい作戦だが、その為に気絶させるに優れた体術を身に付けた者で部隊を編成している。
「よし、行くぞ!」
まずバランが上の点検口をそっと開けて周囲に注意を払う。位置的に塔の裏手に出る筈だ。運が良い事で、塔の影、塀がすぐそこなので人目にはつかない場所だ。大丈夫だったのか、バランが完全に外に出て合図を送ると、続々と後続の部隊が地上に躍り出る。
バランはもう既に開いていた窓から侵入して配置についていた兵士と戦闘を開始していた。続く部隊の者もどんどん侵入しては、あっさりと帝国兵を沈黙させていっている。1階の兵士は3人しか居なかった。いずれも出血しておらず、気絶している。この様子だと各階に兵士は3人から5人程度だと思われたので、一気に駆け上がる事にした。
幸いな事に2階から上層の部屋と階段は別々の設計だった為、そこから先は帝国兵に出会わずに最上階のミレーユ王女が居ると思われる部屋に着けた。後ろはバラン達が各階ごとに制圧しているだろうから安心して進めたのが大きい。階段からドアまでは隔てる物は無いので、登って来た勢いのままドアを開け放つと、中には金髪の長い髪の毛をクルクル巻きにしている美女とテーブルで笑い合っている。向かいには褐色の艶やかな長い髪の毛はそのままのミレーユ王女が居た。
王女……ようやく会えた……。
「シレン!!」
感動に浸って言葉が出ないでいると、ミレーユ王女の方から名前を呼ばれて、はっと我に帰る。
「ミレーユ王女、遅くなって申し訳ありません。お迎えに上がりました」
「え? お迎えに? シレン……が……え?」
「おそらくバネンシアからわざわざミレーユ様を連れ戻しに強襲されたのでしょう。階下の兵士の方々はどうされたのですか? まさか……」
声のした方を見やると、メイドの服装をした二十代後半位の、如何にも知的で母性に溢れた女性が立っていた。その後ろにはサラも居る。良かった。サラも無事だったか……。
「階下の帝国兵の皆さんには気絶していただきました。僕らの目的は王女奪還であって、殺し合いをしに来たのではないので」
少しキザっぽく言ってみた。王女の前と言うのもあるが、生命を大事にする帝国に負けてないと言う気持ちが働いたのかもしれない。
「そうですか。不自然な物音がしなかったので、一瞬の内に制圧されたのですね? 兵士の方々は十二人いらっしゃったので、殺さずに気絶させたとなると……あなた方は約二十人前後でここにいらっしゃったのでしょうかね? 帝国の首都に潜入するのに、ちょっと少ない気がしますけど……?」
何だ? 何だこの女? 両手を前に合わせて立ってるだけで、話し方も穏やかで優しい微笑みを浮かべてるけど……この感じる威圧感は何だ?
「すみません。人手不足なもので。さ、王女!」
この女と長く関わらない方が良さそうだ。それに帝国が強襲に気付く前に撤退しなければならない。
「待ってシレン! そんな急に!」
「お行きなさいな、ミレーユさん」
「バーバラ様……」
「仕える王女を迎えに騎士の方がいらっしゃるなんて、なんてロマンティックじゃないかしら? それに……あなたはここに居るべきじゃない気がいたしますわ。サラも一緒に行きなさい」
「バーバラ様……そんな……」
「心配なさらなくてよろしいですわ。お兄様もジェイク様もジーナも、皆んなまとめて私が面倒を見て差し上げますから」
「まぁ……バーバラ様! 私も入れて下さいますのね? 嬉しゅう御座いますぅ!」
このメイドはジーナと言うのか……さっき迄の気配は消えて、恋焦がれる少女のように嬉しそうに身を捻っている。何なんだ一体?
「ご機嫌よう、ミレーユさん。この2年……妹が出来たみたいで本当に楽しかったですわ。私の事は忘れないで下さいましね?」
「ありがとう! バーバラ様! バーバラ様に会えて本当に良かった。また会えるよね?」
「当然ですわ。いつかまた、お会いしましょう? 約束ですわよ?」
「うん……約束!」
バーバラと呼ばれた、綺麗な女性とミレーユ王女は抱き合ってその別れを惜しんでいた。しかし、早く行動した方が良さそうだ。異変に気付かれるのも心配だが、何より……先程からジーナが凄い形相で抱き合う2人を睨んでいるからだ。その表情は嫉妬に狂う女の顔そのものだ。
誰に嫉妬してるのだろう……。
「さ、王女。行きましょう!」
「あ、待ってシレン」
そう言ってミレーユ王女は奥の部屋へ行き、一冊の本を持って戻ってきた。
「その本は?」
「あ……うん。私の宝物なの。これだけは無くしたくないの」
「分かりました。では、行きましょう!サラも!」
「は、はい!」
「ミレーユさん。サラ。ありがとう。お元気でね!」
部屋を出る僕らの背中にバーバラの言葉が響く中、階段を駆け足で降りて行く。ついにこの時が訪れたんだ。やっとミレーユ王女が王国に帰ってくる日が……。
♦️
制圧した各階では気絶した帝国兵を縛って動けないようにしておいてある。帝国の強さは“戦術”であって、やはり個々の強さは、てんで大した事ねぇな。フィルの野郎も新兵器だどうだの言ってたが、実際には“無い”んだろうて。
後は脱出の際に追っ手の数を増やさないようにするだけだな。
「バラン! お待たせしました。王女達は無事です。さあ帰りましょう!」
上階からシレンがミレーユ王女らしき女性と、その侍女らしき女性を連れて降りてきた。
王国騎士団っても、全員が全員、王女の顔を知っている訳じゃねえ。元より俺なんかも王国が好きなんであって、王家が好きで務めてたんじゃない。そう言う奴は一杯いる。王国の維持には王家が必要だから守ってるだけだった。
初めて見る王女も、俺の感想は“こんなもんか”だ。見た目は、いたって普通の人間だ。十八歳の少女だ。大きくなれば美人になるだろう顔はしてるが、俺から見れば子供だ。シレンとお似合いだな!
「よし! 長居は無用だ! さっさとズラかるぞ!」
通ってきた下水に降りて、真っ直ぐに協会へと走って行く。驚いた事に王女も侍女も、この腐った下水の臭いに苦言を呈す事もなく、無駄口を叩く事もなく、部隊の一員かと思う位にキビキビと行動していた。
余程の胆力が無いとこうはならないぞ? 俺だって最初はこの臭いに愚痴を言ったってのに……。全く……王女も王女なら、それに仕える侍女も侍女だな。大したもんだぜ!
安心しな。俺が無事に王国へ戻してやるからな!
そうこうしてる間に協会へと到着して、協会のトイレの地下から地上へと這い出る。
「シレン。何か匂わない?」
ミレーユ王女が唐突にシレンに語りかけている。何を今更? さんざ臭い匂いを嗅いで、地上の空気が変に感じたか?
「え? 特に何も……鼻が馬鹿になってんのかな? フィルは? 何か匂う?」
「いや、俺も何も匂わない。だがシレン。王女の能力を忘れたか? 王女は“違和感”を察知する。俺達に嗅ぎ分けられない何らかの匂いを“違和感”として察知したんだろう。何かあるんだ。注意して進もう」
「何? フィルは私を変態みたいに言うのね? 私のはただの直感です!」
「すみません。そうでしたね! 慎重に、でも急いで進みましょう!」
シレンを先頭に小走りで協会のトイレから出て、講堂を抜けて外へ出ようとした時にシレンが急に叫ぶ。
「敵襲だ! 伏せろぉ!」
シレンが言い終わらない内に、周囲の上方から何十箇所とチカチカ光ったと思ったら、乾いた破裂音が何十回と響き、その直後に腹部と左肩に激痛が走った。
やられたのか? この俺が! 何が起きた? 周囲を見渡すと、天井と壁の隙間から兵士が身を乗り出して、黒い煙を吐き出している細長い望遠鏡を覗いていた。何だ? 吹き矢か? しかし吹き矢なら直前で避けれる筈だ。俺が感知する隙もないスピードで傷つけられたのか? それよりも皆んな無事か!?
絶望感に打ちのめされた……。そこら中に血飛沫が飛んでおり、立っている者は俺とシレンのみ。あとは片膝をついてる者も居るが、殆どが死人か、半死人だ……。
「王女! しっかり!」
シレンがミレーユ王女を抱き起こそうとしてるが、右の太もも辺りから出血している。額からも出血しているが、倒れた際に額を何処かに打ち付けたのだろう。気を失っているが、一先ず安心だ。命に別状は無いだろう。
「シレン、お前も頭から出血してるぞ!」
シレンが王女の止血をしてるので、俺がシレンの頭を診てやる。何かが頭を掠めたのか、皮膚を
「おやおや? 第一斉射では殲滅出来ませんでしたか? 敵がしぶといと言うか、我が帝国兵の練度が低いと言うか……」
正面入口の扉を開けて中に入って来た男が、嫌味を込めた口調で言い放つ。顔からして嫌味な野郎だ。おべっかしか使わないゲス野郎の顔をしている。
「甘いのですよ。本当におめでたい位に甘いのですよ。下水の侵入なんて初めから想定内。帰り道の方が気は緩むから、奇襲によって全滅し易いと偉大な先人から学びませんでしたか?さ、お前達も死んでしまいなさい」
嫌味男の後ろから4人の兵士が前に出て左右に並び、同じ細長い望遠鏡を構えてくる。
もう最後の手段に出るしか無い。俺が盾になってシレンと王女を守るしか無い。
「シ……シレン!」
床にうずくまっていたフィルが弱々しくシレンに話しかけている。酷くやられたのか、出血が多い。俺もそうだが、残された時間は少ないな。
「シレン、俺たちをお前たちの盾にしろ。い……いいか? よく聞け。あれは……い、一回使うと続けて使えないようだ。前の奴らが……使ったら、王女を連れて……逃げろ……」
「そんな!」
「馬鹿野郎! お前が死ねば誰が王女を守る! ここで王女を殺す気か!? 奴ら、王女にまで攻撃してるんだぞ?」
「バラン……」
「そんな顔をするな。お前らの子供を抱っこする約束……守れなくてすまんな。生きて、幸せになれ」
生き残った部隊の1人が俺と同じく、盾になりにやってきた。目を合わせてニッと笑い合う。言葉はもういらない。これだけで充分だ。
また先程と同じ乾いた破裂音が数回響く。身体と頭に衝撃が走る。
死ぬなよ……シレン………。
♦️
王女と2人で馬に乗るのはいつ以来だ? 思い出せない。いつも王女は背中で明るく楽しげな声を掛けてきてくれていた。だけど今回は違う。王女は背中ではなく、僕の前に抱かれて気を失っている。明るく楽しい声も無い。時折苦しそうな呻き声を上げる程度だ。
馬から落ちないように硬く僕の身体にくくり付けてるせいもあるかも知れない。止血はしたから大丈夫だと思うけど、足が痛むのかもしれない。ごめんよ王女……。あと2日は走り続けます。そしたらバネンシアです。それまで気を失ったままで構いません。その方が僕も助かります。涙が止まらないのです。泣いてる姿を見せなくて済むんですから。
逃走用にバネンシアまでの途中、何箇所かに馬を配置しておいて本当に良かった。使う事は無いだろうと思っていた保険をまさか使うとは思ってもいなかった。馬にも限界があるので、4回は乗り継いで行かなければならない。
確かに王女は奪還出来た。しかし、引き換えに仲間は全滅……。サラも……フィルも……バランも……残らず殺されてるだろう。
他の仲間もまだ生きてた者は居たのに、僕は置いて逃げて来たんだ。全員で生きて帰るって息巻いてて、結果この有り様だ。
本当にこれで良かったのか? 王女を奪還するタイミングだってこれで良かったのか? 違う選択をしていたら、仲間を死なせずに済んだのかもしれない。
僕は王女が地下牢か何かに入れられて監禁されてると思っていた。しかし、実際には軟禁状態で外出は出来ないが、ゲストのように扱われていた。最後に殺そうとしたのも、帝国の外に出て行かれるからであって、あのままで居たならケガもしないで済んだかもしれない。
全部、僕の思い込みから来るエゴだ。そのエゴが大切な仲間を死なせてしまった。
フィル……僕はこれからどうすればいいのか教えてくれよ。帝国を倒すのだって、良く帝国を理解してなかった事からの発言だ。マイトやポルネジアの人々の笑顔を見たら、帝国は必ずしも“悪”ではない。むしろ“正義”の理念で動いている。
仲間を失い……王女に怪我を負わせ……打倒帝国の概念そのものが変わってしまった。これから何を掲げて戦えばいいんだ。ふと、胸元の鎖のネックレスに手を触れる。
2年前の王女との約束は果たせたのか? 力を集めて帝国を倒す……。そもそも、それが間違っていたんだ。倒すべきは帝国と一緒になって、国民から搾取する王家なんだ。バネンシアに帰ったら王女の回復を待って、帝国兵に志願してみようかな……。その前に……今は急いでバネンシアに戻る事だ。あと2日もあればバネンシア領だ。
次回【第四章 混沌の灰空】
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