第8話 読み専さんにコッソリ伝えたい「開始三行で見ぬく作家の気質」
今日は、ついでにこんなことを伝えてみたい!
「開始三行で見ぬく、その作者の気質」
これだ!
このエッセイ、けっこうカクヨム初心者さんにも読まれてるっぽいんです。
ならばです、書き手にむけた話だけでなく、読み手のほうにも「読んで得した感」を味わっていただきたい!
ぼくは一応書き手なんで「書き手の気持ち」はわかる気がするんです。
そこを利用して解説しておくと、この記事を読まれたかたが自分に合った小説を見つけやすくなるんじゃないかなと。
これはWEB小説だけでなく、すべての小説で当てはめてもらっていいと思います。
ちなみに、なんで「開始三行」と区切ってるかを説明します。
いきなりサッカーの試合を例にだします。
ゴールキーパーがボールを持っているとしますね。
そのとき、次の動作はふたつです。
○近くの味方へころがす。
○遠くへ蹴る
このふたつです。
んでですね、このふたつ、どっちを取るかで、どういう試合をしたいかがわかります。
「えっ、そうなの!」
と、思われたかた、そうなんです!
ゴールキーパーが近くの味方へ、コロコロとボールをころがした場合。
この場合は、ていねいにパスをまわして試合をしたいんです。
逆に遠くへ蹴った場合。
この場合は、パスをまわす気がないんです。とにかく相手陣営に押し込んでゴチャゴチャしたいんです。敵に強いフォワードとかいたら、こっちをよくします。
なんでこれを書いたかというと、小説の最初ってストーリーとかいうより、作家の性格がでやすいんです。あとはその人の小説に対する考えって言ってもいいかも。
前置きはこのへんにして、さっさと初めてみます!
ではまず、このパターン!
「いきなり年表とかでてくる」
いやぁ、このパターン、けっこうあぶない!
読む側からしたら年表なんて見せられても、わけわかんないんです。でもそれをやっちゃう。
この手の作家さんは、二通りの可能性あります。
ひとつはこれ。
「もう作家さんの頭のなかには、めっちゃすごいストーリーができあがってる」
このパターン。
だから読む側からしたら、年表をガマンして読み続けていけば、すごい壮大なストーリーが読めるかもしれません。
そしてもうひとつの可能性。
「作者さんが、めっちゃ世界観に酔ってる」
これです。このパターンもあるから怖い!
年表スタートは、ファンタジーや歴史小説に多いです。このパターンがでてきた作品は、すっごい練られた作品が読めるのか、または、作者よがりの作品か。
そう、なかなかギャンブル性の高い作品だと言えるでしょう!(笑)
「いきなり年表入れるなんて、シロウト作品だからでしょ」
と思われたかた、ノンノン。
あの大ヒットしたファンタジー小説「アルスラーン戦記」も年表スタートです!
では次。
「あるところに○○帝国という国がありました」
はいこれ。
いわゆるオーソドックスパターンです。
これにも、二通りの可能性あります。
ひとつ目は
「場所の説明からしているので、作者はていねいに読み手へ伝えようとしている」
という良いパターン。
やっぱりこっち(読み手)は何もわからない状態なので、場所から入っていただけると一番わかりやすい。
でも、悪いパターンもあります。
「延々と国の説明が終わらない」
このパターンも大いにあります。
冒頭三行のあと、どのぐらいで物語が始まるか、そこに注目です。
ファンタジーじゃなくミステリーでもなんでもそうなんですが、冒頭の説明ってのは、どっちかです。「人の説明」または「場所の説明」このどちらかです。
人の説明から入る作者さんは、人間の内面とか好きな人です。そういうのが好きなかたは、人の説明から入ってる作品は、好みに合うかもしれません。
では、さくさく次にいってみましょう!
さて次のパターンはこれ。
「いきなりセリフとかで始めちゃうやつ」
はいきた、このパターン。
これねぇ、こういう作者さん、きっと読者を早く物語に乗せたいんです。
サービス精神あるとも言えますが、せっかちでもあります。
この手のパターンをする人は、物語を進ませようとあせるあまり、説明が追いつかず、よくわからないシーンになりがちです。
はい。それで、僕、このパターン使うんですよねぇ(爆)
……気をつけます。
さて次に、このパターン!
「ポエミーパターン」
でた!
物語に関係があるのか、ないのか。よくわからないポエムみたいなのが入るパターンです。
例がないとわかりにくいかもしれません。
そうですねぇ、このエッセイでポエミースタートするとしたら、こう!
”
レビューブーストという爆弾
青白い炎をあげよ。
炸裂の爆発音をとどろかせろ。
そうさぼくらは爆弾だ。
レビューブーストという言葉をみなさんご存じでしょうか。
”
こういう感じの始まりです。
こういうのが「悪い」と言っているわけではありません。書きかたなんて自由ですから。
でもこういうパターンをやるってのは、そういう気質の作者さんってことです。
いかがでしょう。こうやってあらためて考えると、冒頭の三行で、けっこう作者の「気質」って見えてきませんか?
四つのパターンを書きましたが、ここらで意外な目の付けどころをお伝えしたい。
それは
「冒頭三行に、フリガナはあるか?」
これです。
もし、フリガナを付けるような難しい漢字がなければいいんです。
でももし、読みがちょっと難しい漢字があるにもかかわらず、フリガナが付いてなかった場合、作者さんは、そういうの気にしないってことです。
やっぱり、僕自身、本を読むときに感じることは、フリガナを考えて付けてる作家さんは、描写とかもわかりやすい気がします。
それはプロ作品もおなじ。
僕が子供のころによく読んだファンタジーで「ロードス島戦記」という作品があります。
あれの冒頭がこうです。
「マーファ神殿の白い大理石の
とね。さっそく「壁」にフリガナついてやがんです。
ロードス島戦記は読みやすかったなぁという印象ですが、やっぱフリガナも細かく付いてたんです。
おっと記事が長くなってきました。
これ延々書けるので、もう一例だしてヤメます(笑)
最後に例をだしたいのが、こういう冒頭パターン。
「いきなり三行で空気感とか読者につかませる天才型」
これです。たまにこういうヤツがいる!
もうね、こういう小説は、ぜったい読みやすいし、また空気感書くのがうまいってことは、読む側も没入できるんできっとおもしろい小説です。
例がないとわかりにくいので、ひとつ例をだします。北方健三っていうハードボイルド小説で、忘れもしない僕がうなった冒頭ありました。
「トレンチコートが似合わない季節になった」
これ。
これ、すごい考えられているんですよ。まず、これによって冬が終わるころ、または春先という情報がわかります。
さらには主人公が男性で、さらにトレンチコートを切るようなダンディな男性像というのも読み手には伝えています。
これ、なんていうタイトルの作品だったか忘れたんですよねぇ(笑)
ただこの冒頭一行だけは、よくおぼえています。
開始三行で、その小説の空気感みたいなものまで感じることができたなら、その小説、けっこう当たりの可能性高いと、僕は思います。
小説においては「最後の一行まで読まないと、その小説の価値はわからない」という意見も、ごもっともだと思うんです。
でも毎日って、いそがしいじゃないですが。たまに読む小説、ハズレ引きたくないじゃないですか。
なので試し読みするときに、冒頭が「おもしろいかどうか」ではなく「書きかた」に注目すると、その作者さんの気質が見えてくるんじゃないか。そういうお話しでした。
参考になるかなぁ。読み専さんにむけての記事を書きたかったので、なにかひとつでも参考になれば幸いです!
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