第2話 中学生時代 その1

ばあちゃんとオカンともめにもめた末に制服はボクの意見が採用となった。


『入学式と卒業式以外、ほぼ着ないじゃん?それ。通学時は着用可能ってあるけど学校着いたら着替えるらしいし。修学旅行も着ないしさ。ムダ』


丸洗い可能、清潔で丈夫第一の運動用制服。一方、可愛くてクリーニングしかできず価格高めの普通制服。どちらがお得?とボクが言い放ち、オカンが陥落した。いや、諦めたのだ。呆れたというべき?

そしてオカンがばあちゃんを説得し、渋々ばあちゃんは諦めた。


「名前がよくなかったんかねぇ」


ばあちゃんはしみじみ呟く。

ボクの正式な名前は『想琉』と書いてソルと読む。タマシイに忠実に、太陽のように明るく元気にという意味だそう。

みんなは、呼びやすいのか『ソラ』って呼ぶけどボクはどっちも好き。ちなみに隣のトモは『智哉』でトモヤ。そのまんま。


「入部届は明日までじゃないの?どっちか決めた?」

「バスケにするよ。サッカーと陸上もやりたかったんだけど時間的に無理だった」

紙置いとくからハンコ押してて、とだけ言って部屋に帰る。


ボクの部屋はベッドと机、本棚と本が数冊。一切飾りもヌイグルミもない。

殺風景だ、とトモは笑っていた。


中学にあがったお祝いにじいちゃんが小さなテレビを買ってくれた。

テレビナンカミナイヨ、とボクが呟いたらおじいちゃんは静かに笑っていた。

お父さんはノートPCを買ってくれた。


テレビの中もネットの中もボクの知らない世界が広がっていた。スマホも携帯もまだダメだけど別に関係ない。たくさんの情報が毎回ボクを嵐のように襲う。いつかボクの栄養となることを信じてる。


さて、明日から本格的に中学生活が始まる。

楽しみより不安が大きい中学生活が。






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