第11話担任から意外な人物の名前が

SHRを終え、放課後を迎える。

「おぉ〜いぃ、久代ぉぅ!ちぃ〜っとばかいいか?」

教卓で数人の生徒らに囲まれた橋爪先生が俺を呼び止め、手招きした。

「はい……」

教卓へと近付いていくと、橋爪先生を囲んでいた生徒らが挨拶をして教室を出て行く。

「「「じゃあね〜夏帆ちゃんせーんせ〜!」」」

「おぉうっ気ィつけて帰んなよ、アンタらぁ〜」

「「「あぁ〜いぃ」」」

気怠げで気にもとめてない生返事が廊下から聞こえる。

「ああ、悪いな久代。呼び止めたのは……あぁっと、その、なんだ……陽菜美と何かあったか?」

俺に向き直った橋爪先生が、左手を教卓につき、右手を後頭部に伸ばしながらポリポリと掻きながら訊ねる。

「……えぇ〜っと、別に何もないです、よ……浅原、さんとは」

「言いたくないってかぁー……まあ、そうだろうとは思ってたが……漆更が危惧してたことにならんだろうなぁー」

「漆更先生が、危惧……ですか?」

「ああ、いや……こっちの話だ。どうしても無理か、久代?」

「はい……すみません」

「は〜ぁあ、しゃーないなぁ。呼び止めて悪かった、じゃあ気ィつけて帰んな久代〜」

「あぁ、はい……」

腰まで伸びた黒髪を揺らしながら教室を出ていく橋爪先生に返事して立ち尽くす俺だった。


漆更先生は何を危惧してるというのだろうか……



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