第10話……エピソード8……ナワ族の娘とコルワカンの族長の娘

1377年8月上旬日曜日朝7時……チノチティトラン

 テスココで別れた北に向かった部隊が合流した。比較的抵抗もなく先住民たちは当方に従ったそうである。

 またテノチティトランを攻略した部隊はメシカ族の王であるアカマピチトリ20歳と父親オポチトリ及び息子を激戦の末殺害し、アカマピチトリの母親アトトストリ34歳、配偶者イランクエイトル17歳、テスカトラン・ミヤワツィン16歳を捕虜にしていた。

 アトトストリはコルワカンの王の娘であった。役に立つと判断したアドルフはアトトストリも現地妻の1人に加えた。残りの2人も妾にした。現地妻2人と妾3人の後宮である。

 コルワカンで戦士を募り、アドルフの部隊は5,000名の体制になった。本国からの援軍は何時来るかも分からぬ状態なので先を進むことにした。まずはボボトランと前回敗北したトラコバンを攻めた。

 ナワ族の族長の娘テレソネを前面に立たせ、敵兵を説得した。

テレソネ「今私はアドルフ様の第一后になりました。テパネカ帝国の国王テソソモクとは何の関係もありません。今から貴方達はテソソモクの部下ではありません。私の部下であり、ナワ族の娘婿であるアドルフ様の部下なのです。テパネカ帝国はアドルフ様と私テレソネが共同統治いたします。速やかに従いなさい」

 トラコバンの兵隊は全員テレソネに従った。全員ナワ族だからである。1万名が加わり、一万5千名に膨れ上がった。

 また第2后のアトトストリもあちこちで兵隊を集めてきた。総勢2万名の大軍となり、容易に負けない体制が整った。トンカルブルコで兵を募り、増強していよいよアツカポツァルコに攻めかかった。前もってテレソネにナワ族の者に連絡させており、4万名が加わった。人数的には優勢となり、火力もあるのでもはやテパネカ帝国軍はアドルフ軍の敵ではなかった。

 国王テソソモクと息子たちを処刑し、ここにテパネカ帝国は滅亡し、アドルフ帝国となった。後顧の憂いを絶つため、心を鬼にしてテレソネの息子クァピツァワクも処刑した。

 アドルフはその場でアドルフ帝国の樹立を宣言し、自ら国王となることを宣言した。テレソネが第1皇后、アトトストリが第2皇后となった。アドルフはテノチティトランに宮殿を建設し、援軍の到着を待つ間、北西にあると聞く銀山を探すことにした。

 現地住民の話をマリンチェに通訳させた。

マリンチェ「ここから北西にかなり進んだところにサカテカス……注①という山があります。そこで銀が採掘されていたと言っています」

アドルフは地理を知る現地人に案内させた。留守部隊は各地に派遣し、先住民に「アドルフ帝国に降伏するか戦って死ぬか」を選択させた。テノチティトランには一万名の部隊を駐屯させ、耕地面積を確保するため湖を少しづつ干拓させた。メヒコの作物・畜産物は主にサトウキビ、とうもろこし、オレンジ、トマト、レモン・ライム、アボガド、コーヒー、カカオ、牛乳、鶏肉、鶏卵などであった。

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注① ……サカテカス銀山……ウィキペディアによると

サカテカス銀山とは、メキシコの銀山。 メキシコ中央部に位置し、16世紀中ごろに発見された。19世紀までは世界の銀の20%を産出した。ここで産出したメキシコ銀は太平洋のアカプルコ貿易で、フィリピンや中国にまで運ばれた。アンデスのポトシ銀山とともに2大鉱山と呼ばれた。

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今日はここ迄にして置きましょう。

次回をお楽しみに。

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