第9話……エピソード19……地中海制圧……チュニジア攻略
1374年1月上旬日曜日昼12時……カイロ宮殿
ハフス朝のスルタン「アブールアッバース」はスペインと同盟し、守備を固めている。
バルバロス・ウルージとバルバロス・ハイレッディン兄弟は海上の攻撃・略奪は得意だが、陸上戦は不得手なようだ。
アドルフは30万名の軍隊を少しづつアレキサンドリアの港からガレオン船300隻に乗せてチュニジアのスース港まで移動した。先行部隊が船上からキャロネード砲で砲撃し、スース港を占領した。ガレオン船1台で400名収容できる。300艘だから1回に12万名移動できる。約3回の移動で全部隊のスースー港への移動が完了した。200艘分の乗員24万名がスース港に上陸した。先に到着した部隊から順に陸路チュニス港を目指した。
残る6万名の部隊を300艘のガレオン船に乗せてラ・グレット港へと向かわせた。
ガレオン船300隻は陽動作戦の一環でラ・グレット港を砲撃している。キャロネード砲なのでカノン砲なみの威力かつ射程距離が長い。この砲撃を受けてラ・グレット港は間をおかずに占領することができた。
ガレオン船はそのまま湾の奥にあるチュニス港を目指し、到着と同時にチュニス港を砲撃した。
陸上部隊が次々にチュニス港に集結し陸上からも攻撃し始めた。
ハフス朝の頼みの綱であるスペイン海軍はバルバロス・ウルージとバルバロス・ハイレッディン兄弟に阻まれて身動きがとれない。
とうとうハフス朝のスルタン「アブールアッバース」は降伏した。アドルフはアドリアンに戦後処理を任せた。アドリアンはアブールアッバースを許さず、その男系子孫とともに処刑した。妻妾たちはアドリアンの奴隷となった。
チュニジアの軍政長官はアルファードが担うことになった。捕虜たち5万名を再編成してアルファードの直属の部隊とした。
3ヶ月掛かったが1件落着である。ガレオン船の新造艦が来月300隻完成する。
次の目標はスペイン海軍殲滅とセウタ港占領、カサブランカ占領である。
問題なのは兵隊の数である。領地が増える割に動かせる兵力が少ない。
アドリアンに
アドリアンも賛成し、ビアンカに実施するよう指示した。
アドルフはビアンカの能力に感心し、ビアンカがどうしても欲しくなった。アドリアンにビアンカを側室にしたいとねだると、アドリアンはにべもなく拒否した。やむを得ずアドルファは引き下がった。
ところで以前に少し触れたが、ダービク平原による戦いでマムルーク朝を滅ぼした時、アドルフはアラブ地域の心臓部も手に入れた。
エジプト、シリア、イスラムの両聖地のメッカとメディナを含むヒジャーズ地方……注③を領土に加えたアドルフは、スンナ派世界の中核国家となり、イスラム国家としての装いや機能は一段と充実させることとなった。
アドルフはダービクの戦いを制してアレッポを占領すると早速マムルーク朝のスルタンが帯びていた
スペインとの係争地であったイフリーキヤ「現チュニジア」のハフス朝を滅ぼし、アドルフ帝国は東はイラクやアラビア半島から西はジャザーイル「アルジェリア北部」にいたるアラブ地域の大部分を支配下に組み入れていた。
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注① ……
キリスト教徒の農村から眉目秀麗・身体頑健な少年たちが選ばれ、奴隷として徴用される。少年たちは、ムスリムに改宗させられた上でトルコ人の農村に住み、トルコ語を学ぶ。その後のさらなる選別において、とくに優秀な者は宮廷に入り、それに次ぐ水準の者は常備騎兵隊軍に、残りの者はイェニチェリ軍団に編入された。
宮廷に入った少年奴隷たちは、「太刀持ち」や「鎧持ち」など、スルタンの傍らに仕える小姓を努めた。彼らは長じると宮廷を出て、州総督などの要職につき、最終的には宰相や大宰相にまで出世することができた。
注② ……ティマール制度
軍事と地方統治の制度を兼ねる。
自由人のムスリム戦士に、町や村の徴税権を与える代わりに、統治の治安維持を委ねる。その見返りに、彼らはいざ戦争というさいには、武器を持ち軍馬にまたがり、従者を伴って駆けつける義務を追うのである。
徴税権を与えられた土地をティマール地といい、彼らはティマール騎兵と呼ばれる。
注③ ……ヒジャーズ地方
メッカ、メディナの二大聖地を含む、アラブおよびイスラームにとって歴史的・宗教的・政治的に重要な地であった。またこの地域の最大都市ジッダは聖地への海からの入口であるだけでなく、ヒジャーズの政治的中心として重要性を持ったこともあった。
ウィキペディアによると
ヒジャーズは今日のサウジアラビア王国の北西部にあたる。アラビア半島の西端にはヒジャーズ山脈およびその南のアスィール山脈という一続きの山脈が走っている。
アラビア半島の紅海沿岸は大きく南北に分けられ、北はヒジャーズ、南はアスィール州「アシール、Asir、山岳地帯」およびティハーマ「ティハマー、Tihamah、Tehama、海岸沿いの平野地帯」と呼ばれる。
アスィールとティハーマは一部イエメンにかかっており、最近まで両国間に国境や帰属をめぐる議論があった。ヒジャーズ地方はヒジャーズ山脈を挟んだ両側をさす。
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