第1話…エピソード16…悲しみを乗り越えて

エピソード16…悲しみを乗り越えて


ショックで1ヶ月も身動き取れなかったアドリアンだったが、


姻族の励ましと思いも寄らない熟女の接待ですっかり元気を取り戻した。


その間に急ピッチでエカチェリーナの霊廟れいびょうも完成し、


無事納骨も済ませた。アドリアンはエカチェリーナの姻族が身を潜めて


暮らしている現状に責任を感じた。ブハラやサマルカンド攻略の前に


トグリ・テムルと決着をつけよう。アドリアンは秘密裏にスグナクを2万の


大軍で取り囲み、攻城兵器で城を徹底的に攻撃した。精度の低い大砲よりも


昔からのはしごや可燃性混合物を利用した火矢を用いて攻撃したのである。


プリミティブな大砲も精度は低いが、轟音で驚かせ当たれば凄い破壊力であった。


中国から輸入した黒色火薬が威力を発揮した。


大型の花火のような爆薬を投石機の中に入れて城の中に投げ入れたのである。


真っ黒な煙に巻かれて逃げ惑う兵士や王族たち、まるで地獄絵を見ているようで


あった。ここらでアドリアンは突然兵を引いて城外に引き返した。


敵兵は最初戸惑ったが、雄叫びを上げながら追いかけてきた。


微妙に敵との距離を保ち適当に反撃しながら兵を引いていく。


場内の大半の兵隊は城外に出て追いかけてくる。


ジェンドの向こうベリタウ高地まで引き寄せた。ここにはムカリが丘の上に兵を


置いて待ち伏せしている。引き寄せるだけ引き寄せてムカリが攻撃を始めた。


もちろんこちらも総攻撃だ。敵兵は全滅した。改めてスグナクを攻めると敵は


戦意を失っていた。降伏した兵隊は捕虜にし再編成して部隊に組み入れた。


略奪・強姦・窃盗・誘拐は厳に禁止した。文句を言う兵士も居たが、


みせしめに処刑して城門に吊るした。トグリ・テムルの男系一族は全員


処刑した。オロスの男系一族もひとり残らず始末した。


弟次男ケイマン…トクトゥの子、同母弟に


オロスの娘達5人…メングリ・ベグ、シカル・ベグ、スディ・ベグ、


イーラーン・ベク、メングリ・トゥルカンを娶らせた。


ケイマンをスグナクの軍政長官に任命した。


年俸を金のインゴット100枚と定めて支給した。


また軍政資金として金塊100トンが与えられ城の増改築、町と道路の整備を


命じられた。特に対ティムール戦に備えるよう命じられた。


残りの女たちは全員アドリアンの奴隷にして後宮に入れた。


アドリアンはクリルタイを開催し、正式にアク・オルダのハンに推戴された。


テレングト族、クマンディン族、イリトマト族は正式にアドリアンの姻族として


承認された。西シベリア一帯もアドリアンの直轄地域として認められた。


この一月の間にアドリアンはカラクム砂漠をクニャウルゲンチから南に下り、


破壊された都市メルブを訪れた。元々100万人もの人口を支えるだけのオアシス


だったので再建するメリットがあると考えたのだ。アドリアンはこのムルガブ川


の古代デルタ「マルギアナ」の中心地メルブとコペトダーク山麓平原にあるアナウ丘


に大都市を建設した。ケリフーウズボイと古代プラアムダリアの涸れ川を掘ると


いくらでも地下水が湧いてきた。古代ではアムダリア川から何か所もカスピ海まで


水が流れていたのだ。現在では涸れ川のウズボイもこのとき「1360年代」は


サリカミシュ湖からカスピ海を流れていた。


アドリアンの次の目標は打倒チムールを目指してマー・ワラー・アンナフル征服


だが、その次は難しい。常識的にはモグリスタン、ウィグルスタンに目を向ける。


だがアドリアンはシベリアの広大な大地に男のロマンを感じていた。


アドリアンは13歳で家督を継いでから今まで富国強兵に努めてきた。


成り行きでクニャ・ウルゲンチから先に攻略し、アク・オルダの首都たるスグナク


まで攻略できた。大変上手くいっていると自他ともに認めるところだが、


つい最近までキジルクム沙漠から北の方面しか移動したことがなかったのだ。


アドリアンや部下たちの頭の中は西シベリヤのチンギ・チュラチュメニから


キシリクにおける狩猟とその成果である毛皮交易による儲けが大半を占めていた。


頭の中の残りの部分はもっと北の森林地帯やその先の凍土地帯が占領していた。


狩猟・遊牧のできないキジルクム以南にはあまり魅力を感じていなかった。


おそらく東西に分裂したチャガタイ・ハン国の東側のモグリスタンの連中が西側の


マー・ワラー・アンナフルを支配する定住生活に馴染んだ西チャガタイ・ハン国の


人間を「カラウナス混血児」と呼びそしった気持ちに通じるものがあるのだろう。


しかし時代は明らかに遊牧民の時代から定住民の時代へと移りつつある。


現にモグリスタン「東チャガタイ・ハン国」はティムールの


圧迫を受けてシルダリア川以北に追いやられた。


今まで戦闘的には優位であった遊牧民が敗北を喫するようになってきたのだ。


今までの多人数で包囲するだけの戦法では必ず負ける。


アドリアンは本能的にそれを感じ取り、軍事力の強化を徹底した。


★カラクム沙漠…カラクムとは黒い砂と云う意味、


キジルクムとは赤い砂と云う意味


クニャ・ウルゲンチ城を占領してからはカラクム沙漠に良く来るようになった。


冬営地としてふさわしい土地かどうかは分からない。


4月のある日ウルゲンチからウズボイ川沿いにサリカミシュ湖を臨みながら


カラクム沙漠を通ってイグディーカラ遺跡にやって来た。


目的地はメルブである。お気に入りの妻妾たちも数名連れて来ている。


アンジェリーナ、ヌール、キーア、イマン、ラガド、シャイマーの6人である。


丁度中間地点であり、ここまで4日経過している。


季節的には良い季節だがラクダの背中に乗っての長旅だ。


疲れもピークに達している。


昼時だしこの辺で一旦休憩しようとなった。大型のユルタを設置し終わったとき


長旅で疲れでふらふらになっている一団に出会った。


女1人、従者4人、ラクダ10頭の構成だ。交易商人のようだがこのコースをたどるのは


珍しい。普通は草原を通ってアラル海の北東からシルダリア川沿いにサマルカンド


まで行く。ウスチュルト台地の東「アラル海の西岸」が断崖絶壁になっているので


そこをくぐり抜けるのが結構難しいのだ。事情を聞いてみることにした。


女相手の交渉はアンジェリーナが一番上手だ。なんだかんだととりとめもないことを


方言丸出しでしゃべり相手に与し易しと思わせ余計な警戒心を起こさせないのだ。


やはり交易商人でスグナクで戦争が起きたと聞き怖くなってこのコースを選んだ


そうだ。ウルゲンチからスグナクに攻め込んだとも聞いてカラクム沙漠を通り


メルブ→ケリフ→サマルカンドへと行くそうだ。アドリアンは疲れでふらふらに


なっている一行に同情し、一緒に休憩するように勧めてもう一つ大型のユルタを


設置してこの一行に分解式のユルタを1つ与えた。中国から来た交易商人で西門慶


と云う名の役人兼商人に雇われている番頭夫婦で亭主は韓道国36歳、妻は王六児


32歳と云うそうだ。取引は大方終えたが雇い主の希望のてんの毛皮が


思うように手に入らなかったようだ。アドリアンは妻の王六児おうろくじがやけに


色っぽいのが気に入り、手持ちのてんの毛皮を王六児おうろくじに与えた。


同時に西安の正門慶の屋敷の住所を聞き出し、王六児おうろくじを一度訪ねていくと


約束した。一行と別れてメルブに到着し、破壊された100万都市をぐるりと


一周りしてケリフ経由でウルゲンチまで帰った。帰りは船旅で実に快適であった。


★一盗二婢三妾四妻…閨房の楽しみ…王六児編①


アドリアンは自分のユルタに夫婦を呼んで接待した。催淫エキス入りの薬酒と


滋養強壮エキス入りの蜂蜜酒を飲んですっかりくつろいだ2人に今日はここで


泊まっていくように勧めた。もう午後9時になる。


従者には別のユルタで寝て貰う。


1人で寝ないと旅の疲れが取れないといって2人にも別々のユルタを用意した。


韓道国は疲れもあったのだろう。素直にアドリアンの言うことを聞いて自分の


与えられたユルタに向かっていった。あとは好き者の2人のことである。


夜っぴての乱戦が繰り広げられた。中国の女は尺八が得意で王六児もご多分に


もれず上手だった。遊牧民とは違い全ての点で洗練されていた。アドリアンが


唯一優位に立てるのはアドリアンのみなぎる若い底なしの精力と力強い持久力


のみであった。13歳の頃から人妻で鍛えた持久力がなければ王六児のとりこに


されていたに違いない。最終的には王六児を征服し我が物にした。


王六児は色っぽい女で彼女に見つめられるとペニスが硬くなり、


じっとしてはいられない。不思議な女だ。


全裸になり、王六児を仰向けにして寝床に寝かせた。


お尻の下に枕を敷き、ペニスをおめことクリトリス及びお尻の穴に擦りつけ


素股攻撃すると、王六児の秘所はびしょ濡れになった。


オメコと肛門に交互にペニスを挿入して王六児を啼かせ、


大声で喚かせて大絶頂に追い込んだ。


アドリアンは王六児に掛かると永遠にペニスを勃起させ、ピストンを繰り返し、


2人は絶頂地獄に陥ってしまう。膣にも肛門にも射精して終了した。


2人は身繕いをして、お湯を浴びた。


アドリアンは王六児の身体に睡眠ローションを丁寧に塗り、


剃刀で秘所と肛門の周りの陰毛をじょりじょり剃り上げた。


つるつるになったおめことクリトリスを舐めしゃぶり、


王六児を何度も何度も絶頂地獄に陥れ、自分も満足した。


王六児はアドリアンに対する執着を深めた。


終えてから王六児はアドリアンに不思議な注文をした。


王六児がアドリアンのものになったあかしを示したい。


身体の好きな個所にお灸を据えてほしいというのだ。


おかしなことを云うものだと思ったが注文通りにお灸をすえてやった。


金瓶梅の小説の情事の描写を1つだけ記しておく。


恰恰こうこうたる鶯声おうせい耳畔じはんを離れず、津津しんしんたる甜唾てんだ笑って舌尖ぜっせんを吐く。


楊柳ようりゅうの腰脈脈として春濃く、桜桃の口微微としてあえぐ。


星眼朦朧せいがんもうろうとして細細たる汗は香玉のつぶを流し、


酥胸蕩漾そきょうとうようして涓涓けんけんたる露は牡丹の心にしたたる。


たとい匹配pǐpèi眷姻けんいんともにするといえども、まことに偷情tōu//qíngは滋味美なり。


★注釈…偷情tōu//qíngは滋味美なり。…まことに密通は蜜の味ですって。悪い奴らだ。


匹配pǐpèiは連れ添う、夫婦になるの意味。偷情tōu//qíngの方は密通の意味。


★一盗二婢三妾四妻…閨房の楽しみ…李桂児りけいじ編②


李桂児りけいじも李桂姐もここの生活に随分と慣れてきたようだ。


アドリアンもこの2人には特に目を掛けている。


慣れない場所に来て苦労しているのが分かっているからだ。


やはり最初は馬に乗るのが大変だった。


アドリアンが手取り足取りして教えた。


するとどうしても身体に手や天狗の鼻が触れてきて味な気持ちになり


その辺で即席にユルタを組み立て雲雨に及んでしまうわけだ。だから


他の妻たちよりも回数が多くなってしまう。彼女たちは喜んでいるようだ。


李桂児りけいじは年上ということもあり、優しく包んでくれる感じだ。天狗の鼻を


蜜壺に一旦入れてしまうと大暴れに暴れ普段の慎みは消えてしまい、世迷い言を


連発する。アドリアンも李桂児りけいじに教えてもらった淫語は数多い。


爆発でもしたかのように淫語を連発し、ひっきりなしに登りつめ啼き喚く。


★一盗二婢三妾四妻…閨房の楽しみ…李桂姐編②


李桂姐は李桂児りけいじの姪である。歳は一回り違う。34歳と22歳だ。


李桂姐は若いせいか何をするときも一生懸命でしかも激しい。並の男では


太刀打ちできないだろう。アドリアンは幸いもっと若く荒れ馬をこなすのが


天才的に上手だ。李桂姐は腰のが上手く、天性の才能だ。


李桂姐の腰の動きに負けず、何度も逝かせるのはアドリアンだけらしい。


西門慶は偉そうにしているがいつも李桂姐より先に逝ってしまうらしい。


なにはともあれアドリアンに懐いてくれているのはありがたい。


★一盗二婢三妾四妻…閨房の楽しみ…呉銀児編①


李桂児りけいじの友人らしい。突然ジェンドを訪れてきて置いて下さい。


どうしたんだと聞くと、くるわから逃げてきたと云う。


逃げてきたとは穏やかじゃない。借金取りが追いかけてくるぞ。助けて下さい。


まあ仕方ない。「窮鳥懐に入れば猟師も殺さず」と云う。いくら借金があるんだ。


銀3,000両です。支払ってやった。今から借金取りに届けてやろう。部下に命じて


届けさせた。呉銀児はアドリアンの側女の一人になった。


★一盗二婢三妾四妻…閨房の楽しみ…呉銀児編②


呉銀児は馬の扱いが上手だった。アドリアンは騎馬射撃を教えた。


射撃も上手だった。こいつは色事よりも戦闘が向いている。アドリアンの目は


確かだった。本格的に鍛えるためにアドリアンの親衛隊に入れた。もちろん


裏切らないように色事も徹底的に教えこんだが。こちらの方は下手だった。


★北カスピ海堆積盆地にて岩塩ドームの発見


またアドリアンはこの時期つまりアク・オルダのハンになってから、


マンギシュラク半島以北の探索を始め、広範囲の地域で岩塩層を発見した。


しかしこの辺りはジョチ・ウルスと勢力が競合するため一時探索を中止した。


★森の民


「森の民」の中には集団名がその居住する河川名によるものがあり、モンゴル高原


と同じく、チョルゲ漢語では路という流域ごとに集団を把握するという統治手法


が採られていたことがわかる。また、地名をテュルク語で表しており、シベリア統治


においてリンガフランカ族際共通語、あるいは行政用にテュルク語が使われてい


たか、もしくはサモエード語話者のテュルク語への移行が見られる。


さらに、ジョチ朝・シビル国の影響はエニセイ河中下流域にまで及んでおり、


のちにロシアはシビル国が利用してきたイルティシュ、オビ、エニセイ河流域の


既存の河川網を伝って侵略し、各地でヤサク毛皮税を取り立てることができた


と考えられる。参考書や資料集に載せられたモンゴル帝国の版図を表す地図では、


元朝やジョチ朝の範囲がシベリアの真ん中あたりまでとなっているものが多い。


しかしながら、『元朝秘史』の記述を前提とするならば、14世紀第1四半期の元朝の


版図はエニセイ河とアンガラ河の合流域より南までで、西シベリアおよびエニセイ


河口域にいたる北極圏はジョチ朝の版図となる


★出典…「森の民」に関する覚書


―モンゴル帝国支配下のシベリア―…安木 新一郎さんの論文


★アドリアン16歳、女たちの出産予定


イマン、王六児、李桂児りけいじ、李桂姐、呉銀児…2月

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