第1話…エピソード17…マー・ワラー・アンナフルの攻略

第1話…エピソード17…マー・ワラー・アンナフルの攻略


(1366年の春4月下旬)午前10時…クニャ・ウルゲンチ城


女奴隷達が昼食の準備を始めている。食事前に幹部達を呼び、


ソユン・ベグ(ハンザダ)の軍略を告げた。


マー・ワラー・アンナフルを先ず攻める。攻略したら、


モグリスタン、シルダリア川流域の各都市を攻略後オイラト、


ウイグルスタンを攻める。その後はサマルカンドで全体の軍政を調整する。


全員のハンザダに対する見る目が変わった。優秀な人材だ。


今までは全てアドリアンが戦略を考えそれに沿って全員が実行してきた。


戦略を考えた人間は初めてだ。しかもアドリアンの側室だ。


幹部達も刺激を受けた。見習わなければいけない。


全員で夕食を摂ったあと、幹部と妻妾達には金のインゴットを10枚ずつ


支給した。兵隊たちには2枚ずつ支給した。


うおー!沢山貰った喜びと明るい未来に全員の士気が最高潮に上がった。


(春5月上旬)午前10時…クニャ・ウルゲンチ城


アドリアンは2面作戦を取り、2万名の騎馬弓部隊、1万名の騎馬銃部隊、


2,000名の工兵隊、5,000名の兵糧部隊を率いてサマルカンドに向かった。


後からテムジンが2万名の騎馬弓部隊と2,000名の騎馬銃部隊を率いて


キジルクムの冬営地の地下からブハラの宮殿を襲った。


先にブハラを無血占領したテムジンがムハメドをブハラの抑えとして残し、


アドリアンと共にサマルカンドを包囲した。


機関砲10台を設置し、数発の砲弾を浴びせると城門が壊れた。


フサインは降伏してきたが、ティムール率いる2万の部隊が突進してきた。


アドリアン率いる親衛隊はこの突進攻撃を受けて後退した。


体制を立て直そうとしているとき、ティムールの部隊は1点突破して


逃げようとしていた。そこにアドリアンが声を掛けた。


「お前も男なら一騎討ちで勝負を着けよう。」


「嫌ならこのまま逃してやるぞ。」ティムールは一騎討ちに応じてきた。


5合戦って決着が着かなかったが、6合目にアドリアンの一撃がティムールの


脳天に決まり、ティムールは死亡した。鉄人ティムールついに死す。


アドリアンの名声は天下に轟いた。


フサイン・ティムール達とその男系子孫は全員処刑し、


妻妾達の内まずサライ・ムルク・ハーヌムをアドリアンの側室にした。


サライはチャガタイ・ハン国のカザン・ハンの娘であった。


トゥメン・アーガー


【タイチウト部族の貴族ムーサーの娘でサライ・ムルクの従姉妹にあたる】、


スルターン・アーガー


【ドゥグラト部族の貴族バラート・ホージャの娘】、


タガイ・テルケン・アーガー


【アミール・フサインの妻。カラキタイ部族出身。シャー・ルフの生母。】、


トゥルミシュ・アーガー


【ガンチ部族の出身。ジャハーンギール、エケ・ベギの母。


正室の中で唯一男子をもうけた。】


の4人も側室にした。


トゥルミシュ・アーガーの父親をガンチ部族の長とした。


ドゥグラト部族の貴族バラート・ホージャをドゥグラト部族の長とした。


タガイ・テルケン・アーガーの父親をカラキタイ部族の長とした。


それぞれに監視を付けた。


弟4男クタイバ13歳にウルス・アーガー


【アミール・フサインの妻。スルドゥズ部族の指導者バヤンの娘】


を妻として与え、スルドゥズ部族の長とした。


弟5男スハイル12歳にイスラーム・アーガー


【アミール・フサインの妻。ヤサウリー部族の指導者ヒズルの娘】


を妻として与えた。スハイルをヤサウリー部族の長とした。


弟2人はこの機会に独立させ、アウルを持たせた。


弟5男スハイル12歳をブハラ、弟4男クタイバ13歳をサマルカンドの


軍政長官に任命した。


軍政費用として金塊100kgを支給した。バヤンとヒズルを釈放し


監視を付けた。


残りの妻妾達・未婚の王女達はテムジン達部下に娶らせた。


チンギス家の血を引くタイチウト部族の貴族ムハンマド・ベグと


バルラス部の貴族ムハンマド・ミールケの2人は何方もティムールの


娘婿であった。


ムハンマド・ベグはエケ・ベギ【ティムールとトゥルミシュの娘】と、


ムハンマド・ミールケはスルタン・バフト・アーガー


【フサインの前妻ウルジェイの娘】と結婚していた。


アドリアンは熟慮を重ねて、2組の夫婦を離婚させた。


エケ・ベギを従弟ニザーム15歳…ウルファの長男が娶り、


スルタン・バフト・アーガーを従弟ムーサー13歳…ウルファの2男が娶った。


異母妹のミルドレッドをムハンマド・ミールケと結婚させた。


また異母妹のケイトをムハンマド・ベグと結婚させた。


ムハンマド・ミールケをバルラス部族の長とし、


ムハンマド・ベグをタイチウト部族の長とした。勿論監視を付けた。


各部族がアドリアンに降伏してきた。


従姉のウリアーナ19歳…タマーラの次女をジャライラ部族の指導者


バフラームと結婚させた。


従姉のスベトラーナ18歳…ルフィナの長女をアパルティ部族の指導者


ゼンデ・ハシャムと結婚させた。


従姉のセラフィマ17歳…ルフィナの次女をベルグト部族のエルチ・ブガ


と結婚させた。


エルチ・ブガをベルグト部族の指導者にした。


(5月中旬)午前10時…サマルカンド城


アドリアンはクリルタイを開き、西チャガタイ・ハン国を併合する


事を宣言した。


アドリアンは正統のチンギス裔であり、各部族は此れに従った。


ただカルシに居たアーディル・スルタンだけは従わなかった。


ボオルチュ夫妻を呼べ。


ボオルチュ16歳と妻ダウラト・タルカン・アーガー21歳


…ティムールの元妻が参上した。


バイの代理人をムハメドと交代せよ。


騎馬弓部隊2万名、騎馬槍部隊5,000名を率いてカルシの


アーディル・スルタン一味


を捕らえて来いと命令した。その後バルフに駐屯せよ。


地域の軍政長官に任命する。


軍政資金として金塊500kgを支給した。


ボオルチュは直ちに出発し、アーディル・スルタン一味を捕らえて戻って来た。


アドリアンはアーディル・スルタンとその男系関係者を全員処刑した。


女達は奴隷にした。ソユルガトミシュ(オゴディ系)を呼び、


同母妹3女アリサ12歳…トクトゥの子と結婚させ、カルシの軍政長官に任命した。


軍政資金として金塊100kgを支給した。ソユルガトミシュは謹んで拝命した。


オルダバザール、イマキヤの軍政長官をケマルとラマザンに交代し、


ジェベ夫婦とムカリ夫婦を呼び出した。


★閨房の楽しみ…新たな側女3名編


マー・ワラー・アンナフル攻略前の話である。


シェケル・ハトゥンを呼んだ。


催淫エキス入りの薬酒を朝から飲んでシェケルはご機嫌であった。


アドリアンの側室になったからである。アドリアンと並んで座り、


薬酒と蜂蜜酒を口移しに呑ませながら仲良く語り合った。


アドリアンは次の軍事目標を定めかねていたが、


シェケルはティムールやフサインを恐れていた。


ブハラへのトンネル完成の報告を受けていた事もあり、


マー・ワラー・アンナフルを攻撃する事に決めた。


2人は段々エロティックな気分になってきた。


シェケルの方がその気になっている。


自分から全裸になりアドリアンの衣服も剥いだ。


アドリアンをベッドの上に仰向けに寝かせて上に乗ってきた。


ペニスを膣の中奥深くに挿入して満足の溜め息を付きながら


デカ尻をどんどん上下に突き落としてきた。


シェケルは何度も逝きながらピストンしている。


アドリアンも乳房を揉みしだき、大腰を振るう。


シェケルは大声を張り上げ、大絶頂を繰り返し、


身体を大きく仰け反らせる。


アドリアンはデカ尻を強く掴んで愛撫しながら大きく腰を使い


どんどん突き上げシェケルを大絶叫させ失神させる。


シェケルはぐったりしてアドリアンの上に突っ伏してしまう。


このシェケルの快楽の狂態に思わずどくどくと大射精してしまう。


シェケルはペニスを喉に咥え舐めしゃぶった。


シェケルは妊娠した。身支度を整えてシェケルは帰った。


アドリアンはトゥグディ・ベグを呼んだ。


話をするのは初めてだが、ハンザダにしては大人しく清楚な印象だ。


腺病質なタイプのトゥグディには催淫エキス入りの薬酒と


滋養強壮エキス入りの蜂蜜酒及び精力増強のまむし酒を呑ませた。


豪華な料理を摂りながら色々語らった。


サマルカンドには何回か行ったけれど他の街には行った事が無いので


連れて行って欲しいそうだ。


アドリアンはマー・ワラー・アンナフルを攻略したら、


中国の西安に連れて行ってやろうと約束した。


わあ嬉しい!と素直に喜ぶところがなんとも言えず可愛い。


アドリアンは唇を奪い、芳しい舌をちゅちゅうと吸い上げ


舐めしゃぶった。


全裸にしながらアドリアンも裸になり、ペニスを握らせた。


想像していたよりも遥かに硬く勃起した凶悪な一物に驚いたようだが、


握り締めて離さ無かった。


アドリアンはトゥグディを膝の上に載せ、シャボンと剃刀を取り出し


手早く陰毛3ヶ所「おめことクリトリス、肛門の穴の周り、脇の毛」


をジョリジョリと剃り上げた。つるつるになった綺麗なおめこと


クリトリス、肛門の内部、膣の内部及びペニスの周りに


催淫エキス入りの軟膏を丁寧に塗り込んだ。


ペニスをおめことクリトリス及び小陰唇の表面と根本に


ぐいぐい押し付け素股で肛門の外側から全面の陰部まで


上下に根気よく何十回と無く擦り上げた。


トゥグディの女陰はびしょびしょに濡れそぼち、


トゥグディは大声を張り上げて何度も絶頂を繰り返した。


素股を繰り返す内に亀頭が少し入り掛けて来た。


アドリアンは此処がチャンスと見てぐいっと強くペニスを


膣に押し込み、ドゥグディの処女を奪った。


痛みで泣き叫ぶドゥグディを優しく慰めて全身を愛撫しながら、


抽送を何度も繰り返し、どくどくとドゥグディの子宮に


長い射精を浴びせた。


ドゥグディは一度のセックスでアドリアンの子供を孕んだ。


アドリアンは傷口に軟膏を丁寧に塗り込んで、


つるつるのおめことクリトリスをじゅるじゅると舐めしゃぶった。


ドゥグディは段々痛みが和らぎ、快感の方が優るようになって来た。


アドリアンはもう一度ペニスを膣の中奥深くに挿入した。


少し痛そうだったが背中を優しく撫でて全身を愛撫している内に


痛みは消えたようだ。4浅1深のペースを保ちながらピストンを


繰り返すとドゥグディは痛みを感じるより快楽を感じ出し、


身体の奥底から淫欲が沸き起こり始めた。


アドリアンは大腰を使い、どんどんピストンを繰り返す。


ドゥグディは遂に生まれて初めての大絶頂を果たした。


一度絶頂すると何度も何度も絶頂を繰り返した。


アドリアンは身支度をして湯殿にドゥグディを連れて行き、


綺麗に洗ってやった。


ドゥグディの身体を乾いたタオルで拭いてやるとドゥグディは


甘えながらアドリアンに抱きついた。ドゥグディは出て行った。


アドリアンは続いてソユン・ベグを呼んだ。


ハンザダらしく快活でお転婆な女の子だ。


アドリアンの征服戦争に一緒に着いて行きたいらしい。


後方で兵站をやらせてみるか。何事も経験だ。


元気な子だから、色々経験させたい。


催淫エキス入りの薬酒と滋養強壮の蜂蜜酒を呑ませ、


豪華な宮殿料理を食べながら彼女の話を聞いてみた。


軍略も政略も出来る。この子は頭が切れる。


マー・ワラー・アンナフルを攻略したら、モグリスタン、


シルダリア川流域の各都市を攻略して暫くは内政を行う。


反乱を起こさせない。見事な戦略だ。アドリアンは感心した。


年の割に豊満な肉体美を誇っており、筋肉質でもある。


アドリアンは強く抱き締めキスを奪い、


分厚く芳しい舌を舐めしゃぶり、ちゅうちゅうと吸い始めた。


全身を撫で回して愛撫するとハンザダは快感に悶えた。


全裸にしながらアドリアンも裸になり、ペニスを握らせた。


想像していたよりも遥かに硬く勃起した凶悪な一物に驚いたようだが、


握り締めて離さ無かった。アドリアンはトゥグディを膝の上に載せ、


シャボンと剃刀を取り出し手早く陰毛3ヶ所「おめことクリトリス、


肛門の穴の周り、脇の毛」をジョリジョリと剃り上げた。


つるつるになった綺麗なおめことクリトリス、肛門の内部、


膣の内部及びペニスの周りに催淫エキス入りの軟膏を丁寧に塗り込んだ。


ペニスをおめことクリトリス及び小陰唇の表面と根本に


ぐいぐい押し付け素股で肛門の外側から全面の陰部まで


上下に根気よく何十回と無く擦り上げた。


ハンザダの女陰はびしょびしょに濡れそぼち、


ハンザダは大声を張り上げて何度も絶頂を繰り返した。


素股を繰り返す内に亀頭が少し入り掛けて来た。


アドリアンは此処がチャンスと見てぐいっと強く


ペニスを膣に押し込み、ハンザダの処女を奪った。


痛みで泣き叫ぶハンザダを優しく慰めて全身を愛撫しながら、


抽送を何度も繰り返し、どくどくとハンザダの子宮に


長い射精を浴びせた。


ハンザダは一度のセックスでアドリアンの子供を孕んだ。


アドリアンは傷口に軟膏を丁寧に塗り込んで、


つるつるのおめことクリトリスをじゅるじゅると舐めしゃぶった。


ハンザダは段々痛みが和らぎ、快感の方が優るようになって来た。


アドリアンはもう一度ペニスを膣の中奥深くに挿入した。


少し痛そうだったが背中を優しく撫でて全身を愛撫している内に


痛みは消えたようだ。


4浅1深のペースを保ちながらピストンを繰り返すと


ハンザダは痛みを感じるより


快楽を感じ出し、身体の奥底から淫欲が沸き起こり始めた。


アドリアンは大腰を使い、どんどんピストンを繰り返す。


ハンザダは遂に生まれて初めての大絶頂を果たした。


一度絶頂すると何度も何度も絶頂を繰り返した。


アドリアンは身支度をして湯殿にハンザダを連れて行き、


綺麗に洗ってやった。


ハンザダの身体を乾いたタオルで拭いてやるとハンザダは


甘えながらアドリアンに抱きついた。ハンザダは出て行った。


★終わり


★[カザフ族の乳製品のあらまし]


春と夏の遊牧生活の特徴として、遊牧民達が羊、ヤギ、ラクダの乳製品を


主食にしたことがあげられる。彼らはミルクを生の形では決して利用しなかった。


馬乳はクムィス馬乳酒として、ラクダの乳はシュバトラクダ乳酒として飲んだ。


その他主な乳製品はつぎの通り。


1)サプィルマースート


新鮮な羊乳を火にかけ、それに少量のアイランを加え


「バケツ1つにコップ半分」、大匙でかきまわし、


ミルクが沸とうするまで焚きつづける。


それから5分ほど火にかけたままにしてからおろす。


その結果、いくらか濃いミルクができる。


これはなかなかおいしいものである。


2)アイラン


酸っぱいミルクとされる。


新鮮なヒツジや牛のミルクを約半分の量の水でうすめ、


沸かし、冷やし、これに酸っぱいミルクを加える。


その量は、バケツ1杯のミルクにコップ1杯ほどである。


それから釜を木蓋でおおい、


その上から毛織の袋物またはフェルトをかけて、5~6時間放置する。


これでアイランはできあがるが、


別の資料では、水でうすめるのは貧しい人だけで、


シャラプとよばれ、ミルクだけの場合はアィランともカティクともよばれる。


さらに別の資料にはつぎのように書かれている。


「ミルクは3~4時間発酵させて、ほとんど乳精のないカティクが得られる。


少しの時間放置するか、あるいはかきまぜると、それは薄くなって酸っぱくなる。


これがアイランである。


ウズベクとウイグルは、発酵させたミルクはどんなものでもカティク、


キルギスはチャラプとよぶが、カザフは酸っぱいミルクと水を混ぜたものを


シャラプとよぶ。


3)カティク


これとアイランとの相違点は、


アイランは水でうすめたミルクでつくるのにたいし、


カティクは純ミルクでつくることにある。また、カティクは主食であり得るが、


アィランはあくまで飲物である。


4)クルト(酸っぱいチーズ)とサルイマイ茸(バター)。


トルイベコフによれば、これをつくる方法は同じである。


バケツ4~5はいのカティクを皮袋に入れる。


発酵がつづくように、これに日新しい羊乳を加える。


これはイルキトとよばれるが、ほとんど1週間つづけられる。


裕福な家族では5~10袋のイルキトを用意することもある。


つづいて、イルキトの容量の10分の1ほどの冷水を加え、


ふくらませてロをしばり、フェルトを敷いた床の上を前後に、


約2~3時間転がす。移動のときには、この皮袋をラクダに積み、


長時間揺り動かした。


それから皮袋を開いて浮いているバターをとり出し、


残ったイルキトを大きな釜に移して沸かした。


カザフ族には、満ち足りた生活を表現するのに、


「犬の口からは脂肪が流れ、頭にはイルキトがふりかかる」という表現がある。


イルキトをよくかきまぜながら、2~3時間掛けて沸とうするようにする。


火からおろして、夜の間冷やす。


朝、袋に移して液を滲出させると、クルトチーズの塊が残る。


これをクルミくらいの球にして、アシのむしろに3~4日干す。


こうして固くなったものを、麻布の袋に入れてさらに乾燥させる。


その結果、強い酸味をもった固い暗灰色のかたまりができあがる。


これが遊牧民にとって、とりわけ冬期の重要な食糧となるクルトである。


1かけらのクルトは、遊牧民が無人のステップに迷いこんだときでも、


あるいは戦闘の場合でも、1日の食糧であった。


カザフでは親友のことを、「クルトを分けあった友」という。


トルコ共和国のユルックにおける「ホルト」は言葉の上では似ているが、


少しちがうようである。クルトと同じ乳製品はチョケレクとよばれている。


さらに2種類のクルトがある。1つはトラククルトで、小さな球に分ける前に、


つぶした食塩を加えたものである。


これは白色で、酸っぱくて塩からく、熱湯によく解ける。


もう1つはエジェゲイクルトである。


これは新鮮なチーズのかたまりに、干しぶどうほどに細かく刻んだイリムシク


「後述」を加えたものである。


これは黄いろみがかっており、甘酸っぱい味がする。


乾燥した状態では両方とも同じように固い。


クルトについては、つぎのような記述もある。


「10~15日間蓄積されたアイランからつくったクルトは


アシチークルト酸っぱいクルトとよばれる。


これは冬の間熱湯やスープに解かして使用する。


スィクパクルトは新鮮なアイランからつくる。これは茶といっしょに出される。


トゥシチークルト酸っぱくないクルトをつくるときには、


ミルクを沸かしたとき少量の麦粉を加える。


アシチークルトのときには麦粉は加えない。


エジェゲイクルトは、新鮮なアイランに、塩のないミルクを加える。


羊乳からはスズベとよばれるチーズの1種をつくった。


これのつくり方は簡単だった。


皮袋に入れた新鮮なチーズのもとに食塩を加え、日新しい羊乳をつぎたす。


数日後にはスズベができあがる。


主要な羊乳製品の1つにイリムシクとよばれる甘い乾燥チーズがある。


これはお茶といっしょに食べたり、そのまま食べたりした。


イリムシクのために、4月のはじめからマエクとよばれる凝固を用意する。


マエクは仔羊の胃袋に付着しているミルクのかたまりである。


これは仔羊の生後7~8日間だけ残っているが、


その後草を食いはじめると散ってしまう。


カザフの女性はこの胃袋の中に、仔どもを生んだばかりの羊から


コップ1~2はいのミルクをしぼって入れ、約1週間放置する。


この間、胃袋の中にあったものは発酵し、わりあい固いものになる。


胃袋をそのまま別の皮袋に入れ、2~3日間、


中味が乾燥しないように新鮮な羊乳を加える。


これがイリムシクの凝固である。


しぼったばかりのミルクを釜にたし、その中に上記のマエクを入れておく。


するとミルクが固まってくる。


そこでマエクをとり出して再び別の皮袋に入れ、


釜に火を入れてミルクを沸かす。


残った黄いろみがかったものをむしろの上にとり出して天日に干す。


これででき上りである。もう1つの方法もある。


沸いている羊乳にコップ1杯の酸っぱいミルクを加えて凝固させる。


それからまた沸騰させ、上記と同じプロセスを経てイリムシクを得る。


5月の初め頃、家畜の仔がかなり歩けるようになると、


夏季の牧地への移動がはじまった。


夏営地まで、直線距離で300~400km移動した。


これをほぼ毎日15km、普通1カ月で目的地に着いた。


この移動では、越冬に必要なものは春の牧地に土を掘って埋めておくので、


割合身軽であった。食糧も多く携行する必要がなかった。


朝食には乳製品バター・チーズが多く使われた。


★終わり


★アドリアン16歳、女たちの出産日程


サライ・ムルク・ハーヌム…3月


トゥメン・アーガー…3月


スルターン・アーガー…3月


タガイ・テルケン・アーガー…3月


トゥルミシュ・アーガー…3月

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