第17話

「勿体、ないのになぁああ」

オリヴィアは背中側の腰元で手を組みながら、半身で振り返って私に言う。

ぐぬぬ。

正直、初のボスレイド、やりたい気持ちは山々なのだ。

なのだが、ここで提案に乗ったら完全にオリヴィアに負けたような気がする。


「まぁしょうがないか。この1ヶ月でここまで来てるとはいえ、キョーカにボス戦は荷が重かったかぁ」

「は? 今なんて言った?」

大方、褒美で釣る作戦が失敗し、今度は私を焚きつけようと思ったのだろう。

だが、私は人に馬鹿にされると言うのが、この世でいっちばん嫌いなことなのだ。

それは相手が誰であろうと関係ない。


「私のこと、無視するのは良いけどさ。バカにするなら容赦しないからね?」

「へぇ、そんな顔もできるんだ。キョーカ」

オリヴィアは終始にやついていた表情を取り去り、一転して鋭い視線を私に向ける。

「今の発言、取り消して」

「じゃあさ、勝負しようよ」

徐にオリヴィアは言う。

「勝負? なんの?」

私はオリヴィアに問いかける。

「今から共闘してあいつを倒すんだけど、どっちがLAラストアタック取るかって勝負」

「へぇ……」

面白いじゃん。


「報酬は?」

「私が勝ったら、キョーカは今後私の親友になってもらう。キョーカが勝ったら、私はさっきの発言取り消して、かつキョーカが今回の報酬総取りで良いよ」

オリヴィアは真っ直ぐな目で、どうする?と問いかけてくる。

正直、受けない理由が無かった。

「……。わかった、受ける」

「よしきた」


こうして、突如LAをかけた壮絶なボスレイドが始まったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る