第18話

「じゃっ、そうと決まれば」

オリヴィアは、伸ばした右手を閉じてから開く。

その瞬間、虚空から一本のレイピアがオリヴィアの手の中に出現する。

「おっさきー!」

オリヴィアは私の方を振り向きながら言うと、ボスモンスターに向けて勢いよく走り出した。

「---負けるか!」

私も負けじと、オリヴィアの背を追って走り出す。


前方を走るオリヴィアとボスモンスターを交互に見つめながら必死に思考を展開させる。

ただ物量で押し切ろうにも、おそらくオリヴィアの方が何枚も上手うわてだ。

だったら私は技術で攻めるしかない。

見たところボスモンスターは純粋な二足歩行型。持ち武器なし。

と言うことは、王道だが足の腱を切りに行くのが賢いだろう。

人型の巨大モンスター戦の場合、相手の動きを絶って、攻撃を部分回復に回させた方が賢い。

ただ問題点は、今回は協力攻略ではない点だ。

私が苦労して腱を断ち切ったところで、倒れ込んだボスを楽々倒されてしまう恐れがある。

うーむ。

だがまあ、悩んだところで仕方ない。

捕捉されないように細かい動きで攻め込んで、足を狙って体勢を崩す。

そこに一斉放火の方針で行こう。


そんな方針を考えている間に、ボスとの距離がどんどん縮まってくる。

近づけば近づくほど、私とボスモンスターの体格差が顕著に感じられる。

まあまず第一に楽しんでいかなければ、オリヴィアには勝てないだろう。

ボス戦なんて、楽しんでなんぼさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る