第16話
鼻息の荒いオリヴィアを全力で引き剥がすと、私は服についた砂埃を軽く払う。
「そりゃないよキョーカ。乙女には優しくって習わなかったの?」
「そんなの知らない」
「えーーー」
ぶーたれるオリヴィアを無視して、私は徐に湖上を眺める。
「ねぇ、オリヴィア」
「ん?」
私の呼びかけに、立ち上がりながらオリヴィアが答える。
「あのボス、私たちに攻撃してこないけど、死んだ?」
「ううん。あのボス、どうやら湖上だけが戦闘フィールド認定みたいなの。だから今湖に入ってない私たちは、一時的にタゲ外されたって訳」
オリヴィアは、ボスを指差しながら私に告げる。
「何? それは私と一緒に戦ってくれるってこと?
オリヴィアは嬉しそうにこっちを見ながら言う。
「私戦闘とか危ないことしちゃいけないって教わった」
「いや、あの受け身の取り方、確実に上級者の動きだったんですけど」
くっ。
一筋縄じゃいかないか。
「いやぁ、あのボスどうやらかなり良いアイテム落とすらしいって聞いたんだけどなぁ」
わざとらしく、勿体ぶってオリヴィアは言う。
「噂によると、水系魔法が使えるようになるらしいとかなんとか」
「魔法……」
「勿体無いなぁ。私がせっかく命からがら3分の1削ったhp、このままじゃ回復しちゃうんだろうなぁ」
オリヴィアは、チラチラと私を見ながら言う。
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