第15話

その後のオリヴィアの話によると、どうやら佐久島というのはオリヴィアのお父さんが好きだった島らしく、1ヶ月前に初めての海外旅行としてオリヴィアとお父さんの二人で旅行に行ったらしい。

初日に大はしゃぎして、ぐっすり寝たオリヴィアが翌日目を覚ますと、そこにお父さんの姿はなかったそうだ。

ただ一言『Sorry』と書かれた手紙だけを残して。


「あんまり悲しそうな顔しないで、キョーカ」

オリヴィアは、なんて返事をしようか悩んでいた私に笑って言う。

「別にキョーカに同情してほしい訳じゃないから、気にしないで。ごめんね重い奴で」

オリヴィアは、ふふっとなんでもなさそうに笑って言う。

「なんか、大変だね」

「うん、ありがとキョーカ」

オリヴィアは優しく笑うと、私の体を引き寄せてギュッとハグする。

今回ばかりは嫌がるのは失礼だと思い、私はオリヴィアのされるがままに徹することにした。

「うふふ。キョーカ、いい匂いだねぇ」

オリヴィアは鼻をすりすり私の胸に押し当てながら、かなり変態チックなことを言う。

前言撤回。

されるがままとか、なんか色々やばそうで絶対無理。

ていうかこの人、絶対もう開き直ってるじゃん!!!

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