第13話

「えーと、メルリさん?」

「オリヴィア」

「オリヴィアさん?」

「オリヴィア!」

「オリヴィア!」

「よろしい! 何?キョーカ」

なんで名前呼ぶだけでこんなめんどくさいんだ。

っていうか、初対面の相手を呼び捨てとか陰キャにはハードル高すぎて無理すぎるので、今すぐここから逃げ出したい。


「えと、オリヴィアは、アメリカ人?」

「そうだよ? よくわかったねキョーカ」

おり、オリヴィアは嬉しそうに返事をし、私に続きを促す。

「どうしてここに?」

「走ってきた」

自信満々に答えるオリヴィア。

「ど、どこから?」

「ハワイから」

「は?」

「だから、ハワイから走ってきた」

うん。

ちょっと何言ってるか分かりません。


「6500キロしかないよ? 余裕だって」

「それが余裕ならあなたは今すぐオリンピックの長距離走ランナーに志願した方がいい」

「ふふ、キョーカって面白いんだね」

何が面白いのか、オリヴィアは私の心底真面目な発言に笑う。

「嘘に決まってるじゃん。無理だよ流石に」

「あ。だ、だよね。うん、知ってた知ってた。うん、わざとだよ。わざとボケたの」

「ほんとかなぁ?」

にやにやと笑いながら、オリヴィアは私の頬を人差し指でぐりぐりしてくる。


もうやだぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る