第2話

「---ま」

聞こえるか聞こえないかといった声量で帰宅の挨拶をすると、私は自室へと伸びる階段を登っていく。

「俠華、もう帰ってきたの?」

「お腹痛いから」

「あらそ」

母は一応形だけ娘に話しかけるも、いつも通り適当な返事を返してそれ以降何も話しかけてこなかった。

私も特段何も言うことはないので、そのまま階段を登る。


部屋に戻ると、テレビを起動しながら暑苦しい制服を脱ぐ。

『来年2032年にも[Imaginary World]は実証段階に移ることができると、本日サミットでの会見で発表されました---』

テレビのキャスターAIは、今やってるらしいサミットのことを喋っている。

画面が変わって、どっかの国のお偉いさんが喋ってる映像に切り替わる。

『良いですか皆さん。この[Imaginary World]があれば、戦争のない平和な世界を作り上げられるのです! 何も恐れることはありません。来年には電脳世界での統一国家建国が約束されているようなものなので---』

特に興味もないニュースだったので、着替え終わったタイミングでテレビをスリープさせる。


「電脳世界って言ったって、コレみたいなことできないんでしょ?」

私は誰に言うでもなく呟くと、卓上に無造作に置かれたままの愛用ゲーミングpcを立ち上げた。

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