思想犯(しそうはん)

@uwm54213

第1話

「名前は?」

「あいみゃん」

「みょん、じゃなくて?」

「知ってるのか?」

「人生について考えてたら、あいみょんにたどり着いた」

「たぶん、それは間違いだ」

澤河孝志が微笑みながら首を振った。

「なぜだ?」

「おまえにあいみょんがわかるわけがない」

澤河がそういった途端、ヤタリフト軍曹は目を大きく見開き、血相を変え、革の手袋を着けた右拳を思い切り澤河の左頬に叩きつけた。

澤河が椅子から転げ落ちて、コンクリートの壁に叩きつけられた。

「どうだ。俺のパンチの威力は?」

ヤタリフトが勝ち誇ったような顔をして聞いた。

「あまりに弱くて、ミジンコに殴られたのかと思ったぜ」

唇の血を手の甲で拭いながら、澤河がゆっくりと立ち上がった。

「口の減らないやつだ。その口を針金で縫い合わせてやろうか」

ヤタリフトが鬼のような顔をして澤河を脅迫した。

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