神ガ形ノ意思ニ背イテ 捌話
登場人物名
32歳
大雑把な性格だが、部下を率いる防衛隊の一部隊の隊長。
説明下手でよく
任務中ではかなり頭が回り、戦場をかけている。
昔受けた負傷が今も身体を蝕んでおり
いつ死んでもおかしくない
24歳
熱い正義感と無鉄砲な若さを持つ新人隊員
士官学校卒の元警官であったが、
任務より目先の命を優先することが多く、危険な目に合うことが多い
射撃の腕も上がってきており、実力が伸びてきている
30歳
部隊の中では狙撃を務める事が多く、高い位置からの索敵が得意である
先の任務で足を負傷しており、現在は入院中である
29歳
渋谷のバーでバーテンダーをしている男性
とある事件により視力がほとんど無いらしい
49歳
大雑把でガサツな性格だが実力は確かで引退後の現在も英雄譚が受け継がれている
現在は記者をやっているようだが、身の上話をしないためどこに属しているかは不明
36歳
嫌味を言うような性格で
金こそ全てという性格の持ち主
射撃技術や統率能力は高く、そこだけを言えば
先の任務以降行方不明となっている
27歳
戦闘では弾幕を張ったり、他隊員の立て直しの時間稼ぎや
年齢不詳
マッドサイエンティスト気質な女性
未だ研究結果を世界に公表することなく、自身のみで使っている
現在はなにか新たな兵器を製造することにご執心の様子
※
19歳
学園を卒業し、何かの目的を以て部隊に所属した。
自分の実力を疑わず、隊員と特に
かなりの実力者で、
Nは→後のキャラ演者が読む
※所々交代があるので注意してください。かなり大変です。
・
突如世界に現れた「
Variant Hunt Army通称
自衛隊や警察組織と違い、独立した権力を持つ
一般人や学園卒業者の中で実力保有者が入隊することができる
・
2000年に突如現れた異形の生命体。
理由や目的は不明だが人類を脅かす存在。
現れた当初は世界でも数十体しか確認されなかったが、年々数を増やしていた。
出現方法も繁殖方法などは不明となっている。
生物が
一部では神の使い等と
・
その素性、人員、目的一切が不明のテロ集団
突如姿を現れては殺戮を行う事から市民から恐れられている
・掃除屋
防衛隊などが撃退した魔怪の屍を焼却処分する仕事を受け持っている
基本的に給料が低く、前科持ちの若者に提供される労働環境の1つ
役表
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
神ガ形ノ意思ニ背イテ 捌話
N→
先の特異体撃破の任務から数か月が過ぎた頃
戦闘の際に受けた足の負傷により
スナイパーでの援護射撃がないため、前衛に構える態勢を取った
彼らが現場に到着すると4体の
推定クラスBとされる大型のモグラの
同タイプだが大きさが一回り小さいCーClass相当の
「思ったより数が居やがったな…
「えぇ、あれぐらいなら
でも3体もいるとなるとちょっとかかるかもしれないわよ」
「なら任せるぞ、だが無茶はすんなよ」
「負けはしないから気にしないでいいわ」
「隊長、私たちはどうしますか?」
「そうだな…無理のない程度に足止めをしておいてくれ!
俺はこいつを起動する!」
N→
それを見た
一気に
「
「じゃあ私は2体を倒せばいいのね
ならそんなにかからないで済みそうよ」
N→
「
援護は任せて!」
「お願いします!」
(特異体撃破の功績からか?
みんな士気が上がってんな…
俺も負けてらんねぇな!!)
N→
瞳を閉じて覚悟を決めると認証コードを口にした。
「いつだって自分らしくあれ」
≪装着≫
N→
コードを叫ぶと英語の羅列が腕輪から鳴りだす。
次第にスーツ状に姿を変えていき、鈍く光ると完全に形成された。
「いくぞッ!!
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
N→
そのまま頭部に着地する。
「上だよ!馬鹿野郎!!」
N→
それを足元に振り回し、
数回の斬撃で毛皮が避けて肉質が露わになる。
それを狙っていた
「くだばれ!!」
N→
30発もの乱射が脳髄を直撃し破壊したのか
その後はピクリとも動く様子はなく完全に撃破したようだ。
「よし!今から助けにいくぞ!
……あ?」
N→
二丁拳銃の射撃により頭部を撃ち抜いて撃破していた。
その一瞬の隙をつき、
6発撃ち込んだ弾丸は見事
「す、すごい!
まさか倒すなんて!」
「や……やった……!?
よかった……倒せました!!!」
≪解除≫
「よくやったぞ!
N→
嬉しそうに
「…ゴホッゴホッ!!」
「隊長!大丈夫ですか!?」
N→
左手で口元を抑えて何度か咳をしていたが、すぐに収まったようで手を口から離した。
「悪い…気にするな
これ使うとちょっと息が切れちまうんだよ」
「……………」
「無理しないでくださいよ」
N→
「あぁ…それよりも
最近のお前は絶好調だな!
まさかついに任務中でも単独撃破するなんてよ!」
「
1人だったらどうなってたかわかりません
俺の力なんてまだまだですよ」
「……」
「よし!とりあえず後のことは掃除屋に任せるぞ」
「わかりました」
N→
ギュッと拳を握り締め自身の不甲斐なさが胸を締め付ける。
誰にも聞こえない声量で独り言を呟いた。
「私は……何もできなかった……
ちょっと落ち込むなぁ……」
N→
それから少しして
防衛隊本部の事務所へ
あと30分は戻ってこない。
残された
「今回の任務……
比較的弾薬の消費も少なく
怪我人はなし、民間人の犠牲もなく任務完了……っと
本当にここ最近は
隊全体の撃破数が
……それに比べて私は………」
N→
作業をしていると
「あぁ~疲れた…」
「お疲れ様です
コーヒー淹れてありますよ」
「あぁじゃあ一杯いれてくれ」
N→
その表情には苛立ちが見えており、無理やり心を落ち着かせようとしていることに
「どうしたんですか?なにか上から言われたんですか?」
「いや、あいつら報告しろとか言いやがる癖に
丁寧に説明してやったら何度も何度も聞き返してきやがって…
ふざけた奴らだ」
「あ…しまったぁ
着いていかないとダメだった…
内容知りませんが絶対それ隊長が悪いですよ」
「なんだと!?
俺が1から10までしっかり説明したのにか?」
「何度も言いますが隊長の説明は下手なんです!
そうだったぁ~~!!
「俺のせい…?」
「そうです!
今まで何度も同じことがあったのでそろそろ自覚してください!」
「納得いかんが…まぁいい
始末書の方はどうだ?」
「今回の任務が目立った被害もなく終わったので
始末書の記入欄が少なく済んでるんです
なのでそろそろ終わりますよ」
「そうなのか?ちょっと見せてくれ
……おぉ、こうやってデータで見れるんだな……
あー……なんだこりゃ?」
N→
「はぁ…被害が多いと書く欄が増えるんです
でも今回はかなり効率よく対処できたので少なく済んで書きやすいんですよ
前回のも目標をあの兵器で倒しているので弾薬はほとんど使用してませんから早く済んでます」
「そういや今日のは
怪我もねぇし、あいつらも強くなってきたな」
「そうですね
何より単独撃破回数が今回で2体目です
新人隊員の中でもかなり成績がいいんじゃないですか?」
「あいつもあれだけ真剣に鍛えてるからな
ついに芽が出たってとこか
いやぁ…流石俺だ!見る目があるな!」
「自画自賛しないでください……
そういえばこんなに早く終わってしまうと明日はやることがなくなってしまいますね
どうしますか?」
「そうだな……それじゃあれだ!
たまには鍛えてやるとするか
明日、野外演習場を借りておいてくれねぇか?」
「野外演習場ですか?
あぁ~はい、わかりました
それじゃあ私は明日はどうしたらいいですか?」
「ん?あれだぞ
お前と
どうせやることねぇんだろ
たまには訓練に付き合え」
「私もですか?まぁ…わかりました
それでは10時から2時間ほど使用許可を取っておきますね」
「頼んだぞ」
N→
次の日
演習場はテニスコートより少し大きいサイズの場所が広がっており
木刀や警棒を模した武器などがレンタルできる場所となっている。
地面や壁にはマットが敷き詰められており
急激な運動であろうとも怪我がしにくいように設計されていた。
動きやすい服装で集まった3人は準備運動をしながら談笑をし出す。
「そういや
「声はかけたんですけど…行かないの一点張りでした」
「まぁ俺があいつに教えられることはねぇか
お前らだけでも居りゃいい
それじゃ訓練を始めるぞ」
N→
指をポキポキと鳴らすと格闘の構えを取る。
「二人ともかかってこい
とりあえず倒れたら負けってことにするか」
「あぁ…はい!わかりました!」
「え!?二人同時ですか?」
「あぁ、同時でもいいし交互でも構わん
始めるぞ…
おらっ!!」
N→
その一撃を腕でガードして受け止めるが、体格差のある重い一撃に押されて
「ぐうっ!!!?」
N→
その攻撃を
二人は一進一退の攻防を続け、お互いに有効打になるような一撃を繰り出せなかった。
「
「ぐっ!やるな!
「結構ッ!鍛えてたんですけど…!
まだ
「当たり前だ!
俺がどれだけ
ペースを上げるぞ!!」
「うおっ!!?」
N→
それを見逃さなかった
「ごわっ!!」
N→
倒れ伏した
「よし!俺の勝ちだな!
まだまだ俺には勝てなかったな!」
「ぐっ……流石
まだまだ訓練しないとな」
「ふっ、当然だ!
毎日研鑽しないで軍人は名乗れねぇよ!」
N→
差し伸べた手を握り、
「本当に
そういえば誰かに教わったりしてるの?」
「あぁ…そうなんです!
前に三人で行ったバーに実はハマってしまいまして
その店員の一人に物凄く強い人がいたんですね
で、その間に色々とあったんですけど
その人に今は技を教えてもらってるんです」
「あぁ…あそこか
そういやあれ以来行ってなかったな…
そうだな。また久しぶりに俺らで酒飲みに行くのもいいだろうな
その強い店員ってのにも会ってみてぇからな」
「えぇ、今度また機会があれば是非いきましょう」
「でもそんなに凄い人がいるなんて
元々軍人だった人とか?」
「えっと…どうなんでしょう?
以前話したときに
「この短期間でそこまで上達するなんて
どんな教え方をしてるんだろう」
「まさか俺よりも教え方が上手いのか?」
「多分ですけど隊長より下手な人の方が珍しいと思います」
「申し訳ないんですが俺も同意見です」
「
「隊長の教え方ってなんとなくですけど
とりあえずボコボコにして体で覚えろみたいな感じがイメージがあります」
「
「それが一番身に染みるだろ!」
「そんなことだろうと思いました」
「それがあのおっさんの教え方だったからな
仕方ねぇ部分もあんだぜ」
N→
突如聞こえた声に三人が振り返ると
出入り口に
「
「あぁ、今は安静にしてりゃ問題ねぇとこまで回復してんだ
リハビリがてらに差し入れ買ってきたぜ」
N→
中を見るとそこにはお茶やスポーツドリンクなど数本の飲み物が入っていた。
「ありがとうございます!」
「気にすんな
俺も暇だったから見に来ただけだ
ところで
聞いたぜ、
「そうなんだ!すげぇだろ!」
「ハハッ!なんでお前が偉そうなんだよ」
「弟子の成長ってのは嬉しいもんでな」
「そういえば
退院予定日って伝えられてますか?」
「あと2週間は安静にしてたら現場復帰できるらしいぞ
骨は折れてたが神経が断線してなかったのが救いだったみたいだぜ
まぁあと少し4人で頑張っててくれよ」
「わかりました、ありがとうございます」
「それと…そうだ。
「はい?」
「さっきの組手見てたんだけどよ
色々と技磨くのもいいが
基礎体力の方も疎かにすんなよ?
せっかくのすげぇ技なのにまだお前の身体が追い付けてねぇ感じがするぜ」
「身体が追い付いてない…と言いますと
何からやった方がいいでしょうか?」
「そうだな〜
面白い技だとは思うんだがお前の反射神経と体幹がまだ緩ぃ
そこを重点的に鍛えてみろ
そしたらその技もより光るんじゃねぇか?」
「反射神経と体幹…わかりました!
やってみます!」
「それと
お前はちゃんと武術の稽古は受けてたんだっけか
最近やってないようだったら
まずは最初の型から思い出しながらやってみろ」
「あぁ…はい……型から…ですね……」
「最近わざわざ近接戦なんかやらねぇからな
身体に染み付いてないものは仕方ねぇから一個ずつ思い出すしかねぇ
毎朝数種類ずつ試してみるだけでも違うと思うぜ」
「わかりました」
「とりあえず気づいたのはそんなところか
あとは色々試してみろよ」
「
「こいつは観察眼が鋭いんだよ
「あんだけやられてていつの間にか、だったな
俺もその辺はよくわかってねぇんだ」
「何度か言ってたと思うが
よく
だからこそスナイパーに徹することで俺らをサポートしてくれてる
その力には今まで何度も助けられてきたんだ
ほんと助かってるよ」
「当然だろ
助けなきゃ何度おめぇやられてんだよ」
「
どこの役だって出来るから本当に万能なんだよ
だがその中で特化しているのは観察眼から来る弱点特攻の力でな
これは大型の
「俺のこの力は「極地」っていうらしい
詳しくは知らねぇんだが世の中には自分の突出した条件下でのみ
本来出しえない力を解放する事ができる奴がいる
俺はまだ全然コントロールができねぇ不完全なもんだが
スナイパーで狙う時や相手を分析するときにだけそれが発動できる
世の中には高水準で扱えるものもいるだろうな」
「その「極地」…もしかして中井さんの力も……」
「その力ってどうすれば会得できるんでしょうか?」
「さぁな…多分だが潜在的な才能だったり
その時その時の条件だったりよくわからねぇらしい
とりあえず覚えようとして覚えれるものじゃないのは確かだろうな」
「そう…ですか……」
N→
明らかに気を落とす
「なぁたち―――」
「さて!そろそろ訓練の続きといくか」
「え!?もうですか!?」
「当然だ!2時間しかねぇんだ
色々と叩き込んでやるよ!」
「怪我しない程度でお願いしますよ」
「怪我するかどうかはお前ら次第だ!」
「そんな無責任な…」
「俺が変わろうか?」
「何言ってんだ!
怪我人は休んでろ!
それにお前が万全だったら二人で勝てるわけねぇだろ」
「そりゃそうか
まぁ俺は見てっから頑張れ~」
N→
それから2時間近く、休憩しては組手を行っていた。
少し離れた位置で施設に常設されている救急箱を使い自己治療していた。
その様子を見ていた
「なにをそんな焦ってんだ?」
「え…何のことですか?」
「なんとなくだけどわかんだよ
あいつらには言わねぇから言ってみろって」
「よくわかりましたね
…ここ何度かの任務で私は何もできてなくて
少し落ち込んでます」
「何もできてない…かぁ……なるほどな
俺が思うに―――」
「おらっつ!!」
「くそ!!これも止めるなんて!」
「そんなのが通るわけねぇだろ!」
「ぐっ!?ほんとに馬鹿力ですね!!」
「お前が非力なだけ―――」
N→
「ゴホゴホッ!!」
「大丈夫ですか!?」
「気にすんな!さっきの攻撃が思ったより効いてただけだ」
「そうですか…わかりました」
「……………
N→
ここのレンタル時間が残り7分と迫っていた。
「隊長、そろそろ時間です」
「ん?もうそんな時間か?
仕方ない。今日は解散にするか」
「わかりました
それじゃあ俺今日早めに上がります」
「ん?何か用があるのか?」
「あぁ…そのさっき言ったバーの人に今日学んだことを話したかったので!」
「あぁそうか、わかった
じゃあまた明日な」
「はい!お疲れ様でした!」
N→
残った
「それじゃあ俺らもぼちぼち解散とするか
「私も取り急ぎの予定はないので着いていきますよ」
「あぁ…まぁそれはいいんだが
………そんなことより
N→
「どうした?」
「ちょっと話したいことがあるんだ」
「あぁ…もしかして大事な話とかですかね?
そしたら私は先に帰りますよ?」
「いや、
お前にも関係があることだ」
「わかりました…?」
「お前…その手、どうしたんだ?」
N→
「急にどうした?」
「いいからその手、見せてみろ」
「………」
N→
左手をそっとポケットから出して手のひらを見せる。
そこには血が付着しており、先ほど出たばかりの血であることがわかった。
「隊長!?もしかしてさっきの訓練で?」
「んなわけねぇ
こいつは一撃も怪我するようなのは喰らってねぇぞ
それなのにその血の量…どうしたんだよ」
「………」
「お前それ…あの時の傷か?」
「あの時って……もしかして!?」
「おかしいとは思ってたんだ
あれだけの傷の癖に治るのが早すぎたからな
とはいえあれから結構経ってるんだぞ
今までずっと隠してきてたのかよ…」
N→
隠し事をしているようなその表情は今まで見たことないほど弱々しい顔だった。
「すまん……」
「そんなまさか……そこまでひどい怪我だったんですか?
私には…大したことなかったって…」
「……騙して悪かった」
「正直に言えよ
その傷…その血……普通じゃねぇ
明らかに色が薄すぎる
お前……まさか…」
「
そうだ……お前の思っている通りだ」
「ど…どういうことですか……?」
「お前…もう結構ボロボロなんだろ……
それこそ…もう……かなり限界に近いはずだ」
「…………あぁ」
「限界って……そんなの!?
…う…嘘ですよね?」
「…………」
「そんなぁ………本当なんですか?」
「あぁ本当だ」
「あとどれだけ持つんだ?」
N→
少し悩んだのちに口を開いた。
「……もってあと1、2か月
しかもそれは俺が安静にしていた場合…って話だ」
「そんな…そこまでひどいんでしたら今すぐに病院に行かないと!」
「無理だ…この怪我は今更治せるものじゃないらしい
手術成功確率は高く見積もって15パーセント未満
成功しても完治するかどうかはわからないんだと」
「そこまでの傷だったのかよ……
お前どうしてそんな大事なことを言わなかった!!」
「すまん…………」
「
「言ってない…」
「教えるべきです!せめて
「言うな!!」
N→
強く拳を握り締め、震えながら声を漏らした。
「あいつには…言わないでくれ……」
「…どうしてですか?」
「あいつは…今自分の信念を決めて
真っすぐに進み始めてる
もし…俺が死ぬ事を伝えたら
あいつはまた迷うだろう…
俺は…それを望んでない
あいつの道を……邪魔したくねぇんだ」
「そんな…それならせめて……前線から手を引くとかは……」
「それもダメだ!
流石にあいつも勘づくだろ
だから…俺はこれまで通り戦い続ける」
「そ…それじゃあ……死ぬかもしれないんですよ……」
「それでもだ……
……頼む……あいつには言わないでくれ」
N→
その様子を見ている
「
「……わかった
「え………
本当にそれでいいんですか!?」
「だが…その時が来たらお前がちゃんと伝えろ
それが師匠としてのお前の役目だ」
「あぁ…わかってる」
「とりあえずお前はもう帰れ
俺は病院に戻る」
「いや…病院ぐらいまでは着いてくぞ?」
「ちょっとは俺らにも心の整理をさせろ
お前がいたら答えが出ねぇこともある
「は…はい……着いていきます」
「そうか…わかった
じゃあまた明日な」
N→
「なぜ…あそこまで命を懸けるんですか
隊長は死ぬことが怖くないんでしょうか……」
「そんなわけねぇだろ
あいつとは長い付き合いだからわかる
死ぬのはすげぇ怖いはずだ
あいつは別に超人でも聖人でもない
だからこそあーやって次に繋ぐことに全てを賭けてるんだ
そうやって自分を奮い立たせることで運命に抗おうとしてるんだよ」
「それでも…自分が死んだら……それで終わりじゃないですか……」
「死ぬのは怖い
だが、それ以上に俺らを守りたいんだよあいつは
ほんと馬鹿野郎が……」
「私は……何もできない……
止めることも…私が何かを変わることもできない…
私には何ができるんでしょうか…
私は……一体何をしたら……」
「そんな事ねぇよ」
「え?」
「俺らはお前のことを何もできないなんて思っちゃいない」
「そう…なんですか?」
「お前は頭がいいだろ
だから作戦とか任務内容とかすぐに把握してくれる
俺はちょっとそういうの苦手だからな
その辺は本当に助かってんだぜ
それに
俺は確かに
お互い色々知ってる
だが、なんだかんだ同じ隊になったのは最近のことだし
俺には言えないことが
そういうところが俺らの部隊の結束には大きく貢献してる
それがないといくら優秀なのが寄せ集めでいようがまとまらねぇ
お前がいるから俺らは今の強さがあるんだ
それだけでも
「私が……まとめている……」
「そういうとこはあいつは不慣れだからな
悪ぃな、さっきからずっと言いたかったんだが上手く言葉がまとまらなかった」
「そう…なんですね……
ありがとうございます
少しスッキリした気がします」
「おう、お前もあんまり気張るなよ
気張るだけが任務じゃねぇ
たまには自分を褒めてやれ」
N→
N→
その頃、
立方体の白い部屋の中心に立っていた。
どうやら分厚い鎖でつながれているようで
対して
ピピッと音が鳴ると腕輪から
「さぁて…それじゃ最終テストだよ
こいつはB-Classの中でも上位の強さを持つ
普通の力じゃ勝てないし、もし負けたら多分君は死ぬよ
でも、
「えぇ、それじゃあ初めてちょうだい」
「それじゃ頑張ってね~」
N→
「遅いわね」
N→
瞬時に背面へと移動すると格闘による一撃を浴びせる。
その一撃を受けた
「本当にすごい技術よね…
こんなのがあるだけでまさかこれにすら力で押し勝てちゃうなんて」
「流石だね、もうかなり使い方がわかってるようだね
それじゃあ追加武装を新しくしてみたからそっちのテストもしてみてよ」
N→
自動で靴の踵に刃が飛び出し、チェンソーのように高速で振動をし始めた。
「はぁっ!!」
N→
刃で切り裂くように回し蹴りを繰り出し、
血しぶきをあげた
「あぁーーー
あーあ…可哀そうに
…まぁ仕方ないね
ってことでテストは終了だ
上がっておいで」
N→
「はぁ……これで終わりよね」
≪解除≫
N→
スーツがボロボロと自壊し始める。
崩れ落ちたスーツの破片が腕輪に吸い込まれるように消えていくと腕輪の電源が切れた。
「お疲れ様~どうだった?新型の調子は?」
「ぐ…げほ…ゲホッツ!!」
N→
「ほら、拭きなよ」
N→
「副作用…まだこんなに強いのね」
「どうしてもそこは緩和しなくてさ
とはいえ前よりも優しくはなったんだよ」
「そうなのね…」
N→
ぐったりした様子の
「大丈夫かい?」
「ふふ…よく言うわ
心配なんてしてない癖に」
「多少はしているんだよ
私の頼みを受けてくれたわけだし、感謝だってしてる」
「この副作用…あの隊長も受けているのよね」
「そりゃそうだよ
「身体、相当ボロボロなんじゃないの?」
「そうだね~うん
もうかなりマズイ状態だ
実践テストはできて…あと2回と言ったところだろうね」
「ここ最近連続使用してたからおかしいと思ってたのよ」
「そうそう、もう結構まずいんじゃないかな?
以前身体検査をしたらほとんどの体組織や臓器が正常な動作をしていなかった
身体中にまわる栄養もほとんどを吸収できず排泄されてしまっている
このままだと身体がもう持たないだろうね」
「そうなのね…その2回をもし使ったらどうなるの?」
「
戦闘が終わり起動限界を迎えそれが解除された瞬間
蓄積されていたダメージが彼の身体を崩壊させる
心臓、肺、血管、筋肉
全てが破損し、絶命する
まぁ残念だけどこれはもう避けられない」
「へぇ…そうなのね
流石はマッドサイエンティストね
人の命なんて気にもしてない」
「君に言われたくないな
君だって目的達成のためなら手段を問わないだろ?」
「そうね…その通りだわ」
「研究ってのは狂気を行かないとやっていられない
だからこそ最悪にでもならない限り向かないんだよ」
「その気持ちわからないでもないわ
最悪に振り切らないと目的は果たせない
心や理性、倫理観やマナー
道徳や法律…そういったものは邪魔でしかない」
N→
その言葉を聞いた瞬間
「アハハハハ!!
本当に君は面白い
私は君みたいなのが大好きでね」
「嬉しくないわね
ところで、報酬の方はどうなの?」
「そうだね、今回のデータは本当に有意義だった
非常に有用なデータの数々
連続使用のリスクなどもテストできて色々助かったよ
さぁこれが報酬だよ」
N→
「……これは!?
よくこんなもの調べられたわね…」
「色々な情報を素材と取引することもあってさ
その中でわらしべ長者のように手に入った情報だったんだけど
それが君の探している相手に通じる唯一の手掛かりだろうさ」
N→
そこには
依頼主の出資記録やデータ
取引の中には
最後のページにはその取引が行われている場所の地図が同封されていた。
「ありがとう
色々とお世話になったわね」
「それは私もだよ
もしまた何かあったら連絡してよ
内容次第では取引に応じるよ」
「えぇ、それじゃあね」
N→
そして現在の完成度を演算し、モニターに表示させる。
「ありがとう、これで完成度は89%
あと特異体が1体あれば90%を超えれる…
いよいよ完成間近だ
楽しみになってきたねぇ…
せめてもう少し持ってよ
N→
そして次の日
病室で寝ながら写真を見ていた
「急にどうした?今日は待機命令が出てるんじゃないのか?」
「あぁ、ちょっと話だけしたくてな
時間を空けてもらったんだ」
「そうなのか?まぁわかった
ゆっくりしてけよ」
N→
そこには最近幼稚園に通い始めた娘が笑顔で映っている。
「娘が幼稚園に入ってな
まだ一回も見に行けてないんだよな
こんな怪我だからな
退院したら授業参観に出てやらねぇと」
「すっかり父親になったな」
「だろ?…まさか俺が家庭持つなんてな
街田のおっさんにしごかれてた時は夢にも思わなかったぜ」
「そうだな…」
「……身体、大丈夫か?」
「今のところはな…言わなかったこと
悪いと思ってる」
「……ホントだぜ
せめて俺ぐらいには言ってくれよな」
「………そうだったな
お前にだけは言っておくべきだった…
だが…言えなかった……」
「変なところでヘタレな奴だなお前は…」
N→
少しの無言の後
「なぁ…あの兵器
使わねぇ方がいいんじゃねぇか?」
「……これを借りる際の契約でな
そうはいかないんだ」
「命に係わることだ
無理にやらなくてもいいだろ?」
「すまんが…それだけが理由じゃないんだ」
「………そうか
でもよ、俺らは心配すんだぜ
それだけで気が気じゃねぇ
絶対に無理だと思ったら俺らはお前を止める
だが、無茶するなとは言わねぇ
そのラインはお前が決めろ
俺は部下だからな
お前の判断を優先するよ」
「すまん……」
「何年の付き合いだよ
気にすんな」
「あぁ…そうだな」
「……」
N→
それから少しして
自席に腰かけてタバコを吸おうとポケットからライターを取り出した。
タバコの箱から一本を取り出そうとすると
「おい!なにすんだ!?」
「はぁ…健康に気を遣うって前に言ってましたよね
これから禁煙と禁酒は徹底してください!」
「いきなりだな…」
「禁煙はともかく
禁酒は私も付き合いますから頑張ってください」
「まじかよ…じゃあせめて最後に一本!」
「ダーメーでーす!!」
「はぁ……仕方ねぇな……」
N→
それから数時間後
いつもなら時間通り来るのだが今日は珍しく遅れていた。
「遅いな…
「遅れて申し訳ございません」
「あぁいえ!大丈夫ですよ!」
「今日はどうされました?」
「実は
隊長に訓練をしてもらった時に色々と教わりまして
それを
「……そうでしたか
それではゆっくりお話をお聞かせください」
「実は―――」
N→
「なるほど…そういう事でしたか」
「どう思われますか?」
「えぇ、素晴らしい視点からの意見と思いますよ
流石は防衛隊員でしょうか」
「そうなんです!とても優秀な先輩でして」
「ですが、その意見に別視点からの補足を入れましょう
確かに反射神経や体幹といったように
ただ
「精神トレーニング?」
「
それが戦う際に起こってしまうと命取りになり得るでしょう
体幹や反射神経は経験と共に得られるでしょうが
精神性は意識しないと変わりません
その余裕があってこそ次の視点に移ることができるでしょう
なのでまずは一つずつその弱みを緩和していくことが大事です」
「なるほど…流石は
「とは言いましたが…実はお伝えしないといけないことがございます」
「伝えたいこと…?」
「私は本日であのバーを辞めて明日からは少し遠くに行くことになりました」
「そう…だったんですか」
「突然で申し訳ございませんが本日で訓練を終了とさせてください」
「…わかりました
あの…差支えなければ理由をお聞きしてもいいですか?」
「申し訳ございません
一身上の都合という事で納得していただけますか?」
「あぁ!いえ!
余計な詮索をすいません!
わかりました、今までありがとうございました!!」
「いえ、こちらこそ
大変、有意義な時間を過ごさせていただきました
また機会がありましたら今度は友人として食事にでも行きましょう」
「えぇ…是非!」
N→
それから13日が過ぎ
突如上司に呼ばれた
「なんだと…!?…………わかりました」
N→
「お前ら…今日の0時から緊急任務だ」
「緊急任務!?…急に私たちがですか!?
まだ
「いや…他の隊も合同だ
計12部隊の制圧作戦だ」
「制圧作戦って…目標は
「違う…今回の目標は……」
N→
周りを囲うように内容を読むとそこには驚愕の内容が記されていた。
「そんな!?
12部隊も合同だなんて…ここで本格的に戦うつもりなんですね」
「あまりに大がかりだな…
12部隊なんて今までない規模だぞ
それこそクラスターですらそこまで行かないぜ」
「それほど今回の任務は失敗できないという事だろう」
「それでも…なんですかこれ…!?」
N→
記載されていた内容
銃火器の使用は無制限で
敵体する
歴代の制圧作戦の中でも最大規模であろう人員数や条件。
「これだけの規模だ
今回の任務が突然決まったのも急を要することなんだろう
敵が動きを察知する前に一気に叩くつもりなんだ
最近
奴らに一撃を喰らわせて民衆の支持を仰ぐつもりだろう」
「0時に本部を出立
全部隊が到着を確認後、任務を開始……こんな事があるなんて」
「相当危険な任務になるだろう…
推定危険度は
生きて帰れる保証はない
だがお前らは俺が必ず守って見せる…
だから…無茶だけはするなよ」
「
「あぁ…わかってる
それじゃあ各自一度解散だ
20時に再びここで合流する」
「わかりました…それでは私は一度帰宅しようと思います」
「俺もそうするかな」
「そういうわけだ…俺もちょっと外の空気に当たってくる
戸締り頼んだぞ
「は…はい!」
N→
三人は部屋から立ち去り、
「いきなりこんな任務が来るなんて…
一体どうなってしまったんでしょうか?」
「さぁね…」
「
「えぇ、知ってるわよ」
「あぁ知ってるんですか!?
そうなんですね……
え!?な、なんで知ってるんですか!?」
「私が上に情報を教えたからよ」
「え!?それは…どういう意味ですか?」
「そのままの意味よ
私が
「ど…どうしてそんなことを!?」
「決まってるでしょ、復讐のためよ
奴に復讐するには
だけど防衛隊が一気に攻めればそのチャンスが訪れる」
「なぜそんなことを……」
「でも防衛隊からしてもテロリストのアジトがわかるのは良い事でしょ」
「そうかもしれませんが…!
復讐するってのいうのは…
「いえ…確かにあいつも必ず殺すわ
けれど大元はあいつじゃない
私の親を殺すように仕向けた張本人
そいつをここで殺す」
N→
そう口にした
深い悪意に満ちた視線に
「待ってください!
せめて…殺さずに…法の下に裁くべきです!!」
「正体がわからないから何とも言えないけれど
もし政府の息のかかっている者であればそうはいかない
自分の手で殺すのが最適なの」
「で…ですが……俺は
「なぜ?」
「前も言いましたが…仲間だからです
仲間を犯罪者にさせたくありません」
「……仲間ね
そんなに大事?」
「そりゃ…そうですよ!
仲間は守るのが当然です!」
「なら…隊長の方をもう少し気にしてあげたら?」
「え…それはどういう意味ですか?」
「知らないの?
もう隊長…長くないのよ」
「……え?」
N→
その言葉を聞いた
理解はしている。
言葉の意味もわかっている。
だがそれに対して納得ができなかった。
「以前の負傷が治ってなくて
もう既に身体は限界に近いらしいわ」
「そ…そんなわけ……
ありえないですよ!
いくら冗談でも……全然面白くないです」
「冗談なんかじゃないわ
隊長さんはその時の怪我に加えて
もしあと2度あれを使ったら確実に死ぬらしいわ」
「そんな……なぜ‥‥それを
「さぁ?でも確実に身体に不調はきたしているはずよ
いくらあの単細胞な隊長といえど勘づいてはいるんじゃない?」
「だとしたら…なぜ言ってくれないんでしょう…?」
「さぁ…?」
N→
「
「射撃場よ、貴方と話しているよりは気が紛れるわ」
「そう……ですか……すいません…引き留めてしまって」
「それじゃあまた後でね」
N→
1人残った
「くそっ!!!!
なぜ……なんだ…‥俺は……どうしたらいいんだ…
なんで…………俺はいつも迷ってしまうんだ……」
N→
銃を持って的に向けて発砲するが、その制度はいつもより悪く外す回数が多かった。
「……少し情が移りすぎたわね
まさかここまで気が悪くなるなんて」
N→
髪を手でぐしゃぐしゃとかき乱し、小さなため息をつく。
「止めてみせるんでしょ
やってみなさいよ
ちょっとだけ楽しみにしてるんだから
私を変えることができるのか…どうかをね」
N→
その頃、
「なにも着いて来なくてよかったんだぜ
お前、吸ったら怒られんだろ?」
「いいんだ、やることもなかったからな
……お前、家族に話すのか?」
「ぁ?何をだ?」
「今回の任務、過去一の危険度だ
生きて帰れる保証はない
せめて話ぐらいはしておいた方がいいんじゃないのか?」
「生きて帰れる保証がない…か
そんなのいつものことだろ!
もしそうなったらそうなったらだ
あいつらがいる限り家族は平和に暮らせねぇ
その為なら俺は命を賭けて戦ってんだ
前もそう言ったじゃねぇか」
「お前は…強いな
俺は……そこまで出来てない」
「弱気になんなよ
今まで何とかなって来たじゃねぇか
これまでみてぇに生きて帰ろうぜ」
「そうだな……」
N→
命を賭けて仲間を守ろうとするもの
復讐を果たさんとするもの
見守るしかないもの
彼らの思惑や目的が交差し混ざりゆく中
隊員は宿敵との決戦へと向かう事となる
例え命朽ち果てようとも
兵士たちは命を賭ける
救済を求めてただひたすらに
そして、その先の答えを求めて突き進む
運命にすら背くように
神ガ形ノ意思ニ背イテ 捌話 完
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・アドリブ演技に関して
この台本はアドリブを入れる事を前提として書いています
なので演者様方の判断で挟んで頂いて構いません
是非素晴らしい演技にアクセントをつけてください
しかし作風に合わないものはご遠慮ください
・性別変更や比率に関して
作者はあまり好ましくは思っていませんがある程度ならば可とします
そのある程度の境界線は他の演者様たちとの話し合いに委ねます
・特殊なものについて
台本を演じる際に読み込まないで演じる行為や
言語を変える、明らかに台本無視と取れる
特殊な行為をするものは認めていません
流石に読み込んで普通に演技してください
多分そうじゃないとこの台本は演じれないです
二次創作等、商権利用問題のある場合、質問や不明点ございましたら
作者のTwitter
https://twitter.com/kaguratizakura
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