断チ切レヌ運命二抗イシ者タチ 他話

登場人物名一覧


成瀬 眞比呂なるせまひろ

26歳

誰に対しても態度がでかく、自信家で差別意識が強い

だが、それに見合った実力と正義心は持ち合わせてはいる

超高起動の立ち回りと洗練された攻撃手段の豊富さで制圧する

精圧力、殲滅力の高さは人類最強格

普段からガムをよく食べており、フーセンを膨らませている

女性トラブルが多く乙坂おとさかによく怒られているようだ

成瀬なるせ班は二宮 和鷹にのみやかずたかの専属班となっている

カズのオッサンと呼んでいるが10年来の付き合いだという




乙坂 媛子おとさかひめこ

25歳

成瀬なるせ班に属する兵員

口の悪い成瀬なるせに物怖じせず言い返すほど気が強い

暴力を振るわれることもあるため、その際は明確に怒りを示す

部下への指示や、上層部への連絡など大抵は乙坂おとさかがこなす

成瀬に武器を常に変更させ、最高効率を出させるサポーターとして立ち回る

成瀬なるせに対して実力は信頼しているが

普段から傍若無人な成瀬なるせには手を焼いている

個人戦闘能力は高く、他班であれば隊長にもなれる人材




窪田 譲三くぼたじょうぞう

29歳

成瀬なるせ琴吹ことぶきをライバル視するV.H.A.ぶいえいちえー兵員

谷津やづとはプレイベートでも仲が良いが、実績では張り合う事もたびたび

班長をしているが、部下たちを道具のように使うため信頼度は低い

刃の大きなハルバードを使用し、基本的に突撃戦法を取る

一点突破と思い切りの良さが強く突破力は成瀬なるせに次ぐ

趣味はボクシングで、相手を痛めつけるのに快感を覚えている

その為近接戦闘も得意である




琴吹 那奈ことぶきなな

31歳

実力の高いV.H.A.ぶいえいちえー兵員

成瀬なるせ窪田くぼたが大嫌い

空中戦を得意としており、本人もその役目を理解しているため

空にいる魔怪の際は大体駆けつける

空中で大ぶりな両手斧を振り回し

強烈な一撃を纏わり付くように叩きつける様から「飛雷姫ひらいき」と呼ばれている

超絶級のグラマースタイルの持ち主で、V.H.A.ぶいえいちえー内でも人気も高い

ギャンブル中毒ですべての給料をすっているため

定期的に部下に金を借りている(返す気はない)




谷津 慶長やづけいちょう

39歳

優秀なV.H.A.ぶいえいちえー兵員

基本に忠実と言えばわかりやすく

アドリブやその場の対応という言葉が大嫌い

法律やルール、マナーにとても厳しい

基本的に堅物な性格であり、戦闘でも必殺技などを持ち合わせていない

どんな相手であれシンプルに追い詰めて倒しきる

スタミナがあり、サウナなどに数時間入るらしい

武器はトンファーを使用する




二宮 和鷹にのみやかずたか

51歳

若くして政治家になり、現在では政府内でも発言力の高い政党の党首であり

同時に防衛隊副長官を兼任している

厳格な性格で、打算的かつ結果主義

成瀬なるせに対しても実力を買っているため私兵として雇用している

世間的にも知られた存在であり

彼を指示する派と反対する派が世論を騒がせている

息子の達也たつやとは確執があるようだが、詳しくは誰にも話さない




Nは→後のキャラ演者が読む

※所々交代があるので注意してください。かなり大変です。






V.H.A.ぶいえいちえー

突如世界に現れた「魔怪まかい」と呼ばれる怪物を駆除するために設立された軍

Variant Hunt Army通称V.H.A.ぶいえいちえーと呼ばれる軍は

自衛隊や警察組織と違い、独立した権力を持つ

一般人や兵士育成学園機構卒業者の中で実力保有者が入隊することができる

V.H.A.ぶいえいちえー兵を総称して兵員と呼ばれている



魔怪まかいについて

2000年に突如現れた異形の生命体。

理由や目的は不明だが人類を脅かす存在。

現れた当初は世界でも数十体しか確認されなかったが、年々数を増やしている。

出現方法も繁殖方法などは不明となっている。

魔怪まかいの姿形は現存した生物に類似している為

生物が魔怪まかいに変異した説や妖怪や幽霊といった類である説だったり

一部では神の使い等と吹聴ふいちょうしている宗教まで現れている。



CARDIEDカディドとは

その素性、人員、目的一切が不明のテロ集団

突如、姿を現しては殺戮を行う事から市民から恐れられている




・松永製作所

V.H.A.ぶいえいちえーのスポンサーであり、本部の建築や

兵員たちへ支給する武器の生産、修繕を行っている。

防衛隊への銃火器支給は行っておらず

近接武器に力を注いでおり

他にも工具や鉄製品を幅広く製造している。






役表

成瀬 眞比呂なるせまひろ♂:

窪田 譲三くぼたじょうぞう♂:

谷津 慶長やづけいちょう♂:

二宮 和鷹にのみやかずたか♂:

乙坂 媛子おとさかひめこ♀:

琴吹 那奈ことぶきなな♀:






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断チ切レヌ運命二抗イシ者タチ






N→谷津 慶長やづけいちょう

V.H.A.ぶいえいちえー本部内

記者会見を行うプレスルームにて

新たに政党を立ち上げ、その党首に就任し

V.H.A.ぶいえいちえーのCEOの1人でもある二宮 和鷹にのみやかずたか


彼は壇上にて取材陣を前に記者会見を行なっていた。

断続的なカメラフラッシュを見据えながらメモ用紙などを使う様子もなく二宮にのみやは口を開く。



二宮 和鷹にのみやかずたか

「私が新たに防衛隊長官へ就任となりました二宮 和鷹にのみやかずたかです。

朝刊や報道でもあった通り昨日起きた襲撃事件により、防衛隊副長官が殉職いたしました。

この事件における首謀者は既に特定されております。

彼らは自身をCARDIEDカディドと名乗るテロリストであり

これまでも人類に向けて敵対行動を繰り返しておりました。

しかしながら、ここで私は宣言させていただきます

我々V.H.A.ぶいえいちえー、そして防衛隊はその犯罪行為を断じて許さず戦います

将来、テロリストが市民の平和を脅かす可能性は否定できません。

しかしながら、ご安心ください。

我々はそのような悪の組織を根から完全に断ち切ることを心に誓い、行動いたします。

報道は以上です」



N→谷津 慶長やづけいちょう

拍手や質問をせがむ記者の声が上がるがそれを意に返さずに歩きだした。

すぐに二宮にのみやを囲うように護衛が現れ、報道の目やカメラから隠されながらプレスルームから退室する。

部屋を出ると外には乙坂 媛子おとさかひめこが姿勢正しく立っており

護衛が乙坂おとさかへと敬礼をすると二宮にのみやから離れてその場から立ち去っていった。

乙坂おとさかは頭を下げ、二宮にのみやは周りを見てからゆっくりと歩き出す。



乙坂 媛子おとさかひめこ

「長官、お疲れ様です

素晴らしい演説でした」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「世事はいい……これからのスケジュールを教えてくれ」



N→谷津 慶長やづけいちょう

乙坂おとさかは胸ポケットからスッと手帳を取り出す。

手際よく最新のページを開くと内容を読み始めた。



乙坂 媛子おとさかひめこ

「この後、14時00分より新党議員4名と本部内で会議

15時45分に本部より車で移動

16時10分、警察庁へ到着予定、こちらでは警察署長と会談

17時00分より警察庁を立ち国会議事堂に移動

17時15分頃より官房副長官や内務大臣との会議

19時20分、岩城いわき官房長官と会食

20時50分頃、国会から車で移動

21時25分、V.H.A.ぶいえいちえー本部に戻りまして内務となっております」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「わかった……ところで眞比呂まひろはどこにいる」



乙坂 媛子おとさかひめこ

成瀬なるせ班長は……護送車にて待機しています」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「またゲームをしているのか」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「申し訳ございません

着いてくるように強く言ったのですが聞き入れず

後ほど厳重な注意をさせていただきます」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「着いてきているのならば問題ない

あいつに何を言おうが釈迦に説法だろう

移動の準備はできているのか?」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「既に手配をしております

それでは護送車にご案内いたします」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「わかった」



N→谷津 慶長やづけいちょう

乙坂おとさか二宮にのみやは護送車に向かう。

施設内の駐車場着くと出迎えの班員たちが車の外で並んで待機していた。


成瀬なるせを班長とし

乙坂おとさかやここにいる他数名の兵員はV.H.A.ぶいえいちえーに所属している兵員である。

だが普通の班とは違い二宮にのみやが個人で契約を結び、私兵として活動している特別な所属班であった。

このように政府御要人が私兵として班を雇うケースが存在する。


二宮にのみやが車に近づくと班員が開け、二人は車内に入る。

後部のエリアはリムジンのような仕様になっており

中心にあるテーブルに足をかけながら携帯ゲーム機をいじる男がいた。

その男、成瀬 眞比呂なるせまひろはフーセンガムを膨らませながらゲームをしており

二人が入ってきたのを気にする様子もなく、スピーカーで音を出している。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「お、カズのおっさん

会見ちょうど今ラジオでやってたから聞いてたよ

すごいそれっぽいこと言ってんじゃん」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「そうか」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「あれどこまで本気で言ってたの?

政府が弾圧するだのなんだの?悪を許さないだのさ

すごい良い事ばかり言ってるみたいだけど

なんかカズのおっさんが言うと胡散臭く聞こえちゃうんだよね」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「報道のままだ

私たちは一切のテロ行為を許すつもりはない」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「うそうそー、そりゃそう答えるだろうけど

政党作ったのもあいつらが暴れてくれたおかげで成り上がったみたいなとこあるでしょ

なのに一方的に悪者扱いしちゃってさ

カズのおっさんはそういうとこズルいよね」



乙坂 媛子おとさかひめこ

成瀬なるせ班長、失礼ですよ」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「構わない、こいつが無礼なのは昔からだ」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「そうそう、そういう事

乙坂おとさかは口出さないでよ」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「…申し訳ございませんでした」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「ところで最近あれと会ってんの?」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「誰のことだ?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「息子いたでしょ、名前なんだったけか……

達也たつやって言ったっけ?」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「しばらく会っていない」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「もう高校生だっけ?

どこ入ったの?」



二宮 和鷹にのみやかずたか

月ノ都つきのみやこ学園だ」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「へ~あそこなんだ

ってことはもしかしたら後輩で入って来たりもするかもね」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「それがどうした?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「嘘つきで思い出してさ

前見た時、なんか気に食わない目しててね

ずっとそれ覚えてんだよね」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「私がわざわざ時間を割いてまで会う必要はない」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「ふ~ん、仲悪いんだ

せっかくの一人息子なんだし可愛がってあげりゃいいのに

てかそもそもカズのおっさんと仲いい人なんか見た事なかったね」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「話は変わるが、眞比呂まひろ、そして乙坂おとさか

CARDIEDカディドの勢力についてお前達はどう思っている?」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「勢力について…ですか?」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「情報の少ないテロ集団 CARDIEDカディド

規模、拠点、そしてその目的も一切が不明

一度に確認できた人員は10人が最大だった

だが、その程度の規模ではないだろう

確実にそれ以上の兵力を備えているのは間違いない」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「私は些か不明な点が多すぎるのではと考えていました

過去の歴史上もここまで足取りを掴めないテロ集団はいませんでした

勢力が拡大するまで野放しになっていた事がまるで意図的に隠されていたように感じます」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「奴らは犯罪者を雇って現場に派遣することが多い

捕まえた者たちを尋問しても何も情報は得られなかった」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「ですがそれでも情報がないというのは

まるで誰かが隠しているようにも思えてしまいます」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「政府内の裏の手……という事か?」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「はい」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「そういやさ

昨日襲われたって言ってたよね

僕を呼ばないからそうなるんだよ

結構危なかったんでしょ」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「急を要す事だったのだ

私が狙われることは予想していた

だが、危険を冒してでもやらねばならないことがあったのだ」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「それで結果はどうだったの?」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「成果は得た」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「へぇ~そりゃよかったね

どんな事話したか聞いたら答えてくれる?」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「……」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「だと思った

もう聞かないよ」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「確認できている中に危険視すべき手練れは居るのでしょうか?

小規模組織は中枢に必ず強力な戦力を持つことが多いです

その存在が相手となると我々兵員の交戦時の勝率が著しく変動します

それによっては対応策が変わると思われ……」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「何人いても関係ないよ

僕が全部倒せばいいんだろ?」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「もしも実力者が複数人いるとなれば厳しい戦いとなるだろう

それこそお前と同等、またはそれ以上の敵がいるかもしれない

眞比呂まひろよ、そうなったら勝てるか?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「当然」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

それから数時間後

本部に戻り、二宮にのみやの護衛から外れた成瀬なるせ乙坂おとさかは上層階の休憩スペースに向かう。

休憩所の中心にはベンチが複数置いてあり、そこに三人の兵員が座っていた。

その中の1人、窪田 譲三くぼたじょうぞう成瀬なるせが来た事に気がつく。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「ようやく帰ってきやがったか成瀬なるせ

今日は楽な遠足で楽しかったようだなァ」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「遠足ではなく護衛任務です

そこはお間違えの無いようにしていただけますでしょうか」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「ァア?下っ端が粋がってんじゃねぇぞ

俺ァ特等兵員だ!

上階級に舐めた態度とってるとぶっ飛ばすぞテメェ!」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

窪田くぼたが立ち上がり乙坂おとさかへ怒りの矛先を向けたのか近づこうとする。

だが、それを制止するように谷津やづが手を伸ばして遮った。



谷津 慶長やづけいちょう

窪田くぼたよ、確かにその者の階級は主よりも下であろう

だが、実力は極めて優秀

侮るのは愚の骨頂」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「黙ってろ谷津やづ!!

その仏頂面が変わるまでぶん殴んぞ!」



谷津 慶長やづけいちょう

「ここは素直に引き下がる方が賢明であろう

相手の実力も評価できぬようではそなたの株が下がる一方であるぞ」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「俺ァ株だの評価だの下らねぇもんは気にしてねぇんだ!

余計な世話だってのォ!!」



琴吹 那奈ことぶきなな

「アハハハ、大変な奴らに絡まれたねぇお嬢ちゃん」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

兵員とは思えないようなスタイルを持つ女性兵員 琴吹 那奈ことぶきなな乙坂おとさかに絡みつくように腰に手をやる。



乙坂 媛子おとさかひめこ

「な、なんですか…!?あまり触らないでいただきたいのですが……」



琴吹 那奈ことぶきなな

「可愛い顔して実は強いんだってねアナタ

いいじゃない、私は好きよ

今晩どう?特別に安くしておくわよ」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「な、なな!!何を言ってるんですか!!?

わ、わたしは女ですよ!!」



琴吹 那奈ことぶきなな

「ノープロブレム

性別なんて関係ないのよ、可愛いお嬢ちゃん」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「それと私はこれでも25歳です

そのような呼び方はやめてください!」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「テメェ!話終わってねぇのに割り込んで来るじゃねぇぞ

金がねぇ奴は身体でも売らねぇとしょうがねぇとはみっともねぇな!

アバズレ女ッ!」



琴吹 那奈ことぶきなな

「なにか文句あるの?さっきから偉そうによく言うわよね

モテないからって僻むのは見苦しいわよ、イキリ男」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「い、イキリっだとッ!!?テメェ……!!

せっかくの機会だ!ここで優劣つけてもいいんだぜ!」



琴吹 那奈ことぶきなな

「そんなもの一人でおやり

童貞でも上手く出来るわよ」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「調子乗ってるとぶっ殺すぞ!Fucking Bitch!」



琴吹 那奈ことぶきなな

「やってみなさいよ!チビ男!」



谷津 慶長やづけいちょう

「何ともくだらぬ」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「ま~たこうなった……成瀬なるせ班長止めてくださいよ」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「…ん、なんか言った?」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「え?聞いていなかったんですか?

私たちでは終息できません

この争いをどうにかしていただけませんか?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「いつもこんなんだろ?好きにやらせておけばいいんじゃない」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「そうは言っても…谷津やづさんも静観してるだけですし

このままだとまた警備員が来て大事になりますよ」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「ほっといていいでしょ

もしなんかあったら3人ともぶっ飛ばしてやるからさ」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

その言葉を聞いた3人は怒りの矛先を成瀬なるせへと変えた。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「上等じゃねぇかァ!おめぇみてぇな芋男に負けると思ってんのかァ!!?」



琴吹 那奈ことぶきなな

「モラハラ男は黙ってなさい!」



谷津 慶長やづけいちょう

「その言葉……聞き捨てならぬな」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「あぁ…火に油を……だめだこりゃ」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

その瞬間、施設内に特殊なサイレンが鳴り響く。

普段のものとは違うサイレンの音を聞き、周りで争いを見物をしていた兵員たちが一斉にざわめきだす。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「アァ?ちっ…来やがったか」



谷津 慶長やづけいちょう

「………」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「班長…この音は」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「わかってるよ」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

V.H.A.ぶいえいちえー内でも選りすぐりの実力者である窪田くぼた琴吹ことぶき谷津やづらは真剣な面持ちになる。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「ちっ…このタイミングで来やがるとはな…!だりぃ~なァ~~!」



琴吹 那奈ことぶきなな

「ボク、怖いなら来ないでいいのよ」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「誰が怖がってるだァ!?

むしろ待ってたんだよ俺はなァ!

テメェらと白黒つけれるからなァ!!」



谷津 慶長やづけいちょう

「そのような邪な考えは任務に弊害をもたらすものであるぞ」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「黙れ谷津やづッ!なんだろうが勝ちゃいいんだ!勝ちゃよォ!

おい!!てめぇらァ!

今から出動だ!さっさと準備しやがれェ!」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

窪田くぼたが怒声をあげると班員達がビクッと肩を震わせ、急ぎ隊列を組む。

最後にわざわざ成瀬なるせに聞こえるように舌打ちをすると班員らと共に颯爽と立ち去って行った。



琴吹 那奈ことぶきなな

「あぁいう威圧的な男は嫌よね

それじゃあ私たちも行くとしましょう

お嬢ちゃん、またね」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

琴吹ことぶきもゆっくりと立ち上がり

持っていた缶コーヒーをゴミ箱に投げ捨てて部下へと電話をかけながら去っていく。

それに続くように谷津やづも部下に呼びかけてからエレベーターへと向かっていった。



乙坂 媛子おとさかひめこ

「私たちも行きますか?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「んー、まぁ暇だし行こうか」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「かしこまりました、それでは直ちに装甲車を手配します」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「はいはい、いつも通り頼むよ」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

それから10分後

時刻は21時を過ぎた頃

乙坂おとさかは装甲車に班員を乗せて待機していた。

少しして成瀬なるせがやってくると車に乗りこむ。

武器コンテナを積み終わり全員が乗ったことを確認すると、装甲車が走りだした。



乙坂 媛子おとさかひめこ

「クラスターなんていつぶりでしょう」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「さぁ?忘れた」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

クラスターとは、不規則に現れるA-Class以上と推測される魔怪まかいの集団進行を指す言葉である。

B-Class以下の魔怪まかいと違い、個の力が圧倒的に高い魔怪まかいは倒せる人物が限られており、V.H.A.ぶいえいちえー内でも指折りの人材しかいない。

その為、今回のように特別アラームにより兵員に通知され一定以上の成果を収めた班のみが出動する形となる。

防衛隊が出動する際は政府内での申請などで対応が延滞することもあり

V.H.A.ぶいえいちえーは緊急を要する際の出動が迅速でそれも民間からの信頼を集める要因となっているのだ。



乙坂 媛子おとさかひめこ

「確認されている魔怪まかいの数は多く、その中でもリーダー格と思われる個体が3体

全てのクラス予想がAとなり、警戒されたりとの事です」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「ふ~ん」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「今回参入する班は窪田くぼた琴吹ことぶき谷津やづ班と私たち成瀬なるせ班の計4班です

他3班が大型個体へと切り込むので私たちは最終防衛ラインを担当します」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「ふ~ん」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「ゲームを止めて一度聞いていただけませんか!」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

乙坂おとさかはゲームを取り上げる。

その瞬間、乙坂おとさかは平手打ちをうけた。



乙坂 媛子おとさかひめこ

「っ!!?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「ゲームしてる最中なんだけど見てわかんない?」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「で、ですが!これは大事な作戦会議です!

せめて、この時だけは手を止めてください!」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「もう一度殴られたくなかったら黙っててくれないかな

そもそも作戦とか要らない

全部僕が倒せばいいだけなんだからさ」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「……」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「わかったら早く返して」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「……わかりました」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

乙坂おとさか成瀬なるせにゲーム機を差し出す。

ゲームをサッと奪うと成瀬なるせは再びゲームを触りだした。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「そうそう、そうしておけばいいんだよ」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「………最低です」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「なんか言った?」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「いえ、なんでもないです」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

それからすぐに現場に到着したようで、装甲車が止まると班員は外に出ていく。

成瀬なるせ班のメンバーは成瀬なるせ乙坂おとさかを含め合計6人からなる班である。

班員の他4人が装甲車から武器を一つずつ取り出していく。

多種多様な武器を地面へと突き刺し、その前に1人が並ぶように立った。

少しして成瀬なるせが降りてくると、遠目に見える魔怪まかいの集団を見て、ゲーム機を車に置く。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「なんて言ったっけ?Aが3体?」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「はい。それと少なくともB-Classが12体

その他、複数の小型の魔怪まかいもC、Dほどが予想されます」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「前の時こんな多かったっけ」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「記録によると前回のクラスターの際の1.4倍の規模になります」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「ふ~ん

で、誰がどれとやる気なの?」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

窪田くぼた琴吹ことぶき谷津やづ成瀬なるせ達の元へと近づいてくる。

各々武器を装備しており、いつでも戦えるようだ。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「あの数、やりやすそうだな

俺があの群れをやる」



琴吹 那奈ことぶきなな

「じゃあ私はあの飛んでるのを狙いましょうかね」



谷津 慶長やづけいちょう

「ならば残りの個体は我が戦わせてもらおう」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「じゃあ決まりだなァ!

てめぇらいくらなんでも負けんじゃねぇぞ!」



琴吹 那奈ことぶきなな

「どの口が言うのよ

アンタが負けそうになっても助けてあげやしないからね」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「アァン!!!!?

まずはテメェから片付けてからでもいいんだぜ!」



谷津 慶長やづけいちょう

「無用な争いは控えるのだ」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「まぁいい!数ちょろまかすんじゃねぇぞ!」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

三人は各々で別の方角へと歩いていく。

それからすぐに大通りへ班ごと進んでいった成瀬なるせ

その大通りの先からはB-Classはあるであろうバッタの魔怪まかい2体がこちらに向かって進行してきていた。

しかし乙坂おとさか成瀬なるせは慌てることなく立っている。



乙坂 媛子おとさかひめこ

「A-Class相当を個々に対応するようですが

あの三人なら勝てるでしょうか?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「全然いけるでしょ」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「ちょうどそれぞれが得意分野の相手になりますね

話はさておき、私たちはあの2体を倒しましょう」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

魔怪まかいは徐々にこちらへと歩みを進めてきていた。

だが成瀬なるせは何かを考え込んでいるようでぼーっと遠くを眺めている。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「う~ん……僕、パスで」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「やらないんですか?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「んーなんか変な感じがしてね」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「変な感じと言いますと?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「このクラスターって

急な集団行動の癖に

よくわからない連携をしてるんだよね」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「同時出現からの同時進行

確かに違和感を覚えます……ですが、それがどうかしたんですか?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「特に根拠はないんだけど

なんか気持ち悪くてさ

ってことでパス

乙坂おとさかならあれぐらい勝てるでしょ

ってことで頼んだよ」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「かしこまりました」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

バッタの魔怪まかい乙坂おとさかを見つけると一斉に襲い掛かる。

乙坂おとさか成瀬なるせの前にあった武器を掴んだ。

成瀬なるせ用に松永製作所に特注させた両刃式大剣・我動がどうを空中で振り回し、正面に構える。



乙坂 媛子おとさかひめこ

「こちらお借りします」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「どーぞ」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「ありがとうございます」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

バッタが2体同時に攻撃を仕掛けてくる。

その突撃にぶつかり合うように乙坂おとさかは走りだす。



乙坂 媛子おとさかひめこ

戒刀乱真かいとうらんま



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

二体の魔怪まかいはほぼ同時に乙坂おとさかへと噛みつこうとする。

対して乙坂おとさかはカウンターのように二撃、斬り返す。

燕返しのように相手へと繰り出した斬撃は2体のバッタを正面から両断する。

激しい血しぶきが上がるが、一瞬で後方へと飛び下がるとその血から逃れた。



乙坂 媛子おとさかひめこ

「撃破完了しました

この後はこのエリアの防衛となりますが

班長はどうしますか?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「そうだな~ゲームでもしてる

気が向いたら手伝ってあげるから頑張ってね」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「了解しました

それでは一時散開、各自警戒を怠らないでください」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

成瀬なるせは依然として遠くを眺めながらフーセンガムを膨らませている。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「………なんだろね、この気分」



N→琴吹 那奈ことぶきなな

その頃、窪田くぼた班はあり魔怪まかいの付近へと到着する。

あり魔怪まかいは小型の大群と奥にいる女王蟻が一匹の大部隊となっていた。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「へッ!ちょうどいい状況じゃねぇかァ

こんなに潰すもんあったらボルテージも上がるってもんだなァ!

いくぜェッ!!テメェらはいつも通り、援護だ!」



N→琴吹 那奈ことぶきなな

窪田くぼたはハルバードをグルグルと回す。

刃は大剣のように大きく、持ち手には滑り止めであろうグリップ部分がある特殊な武器であった。

窪田くぼたの特注で作られた武器、香車きょうしゃを構え足を大きく踏み込む体制を取る。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「いくら雑魚が群がろうが…ここは俺様の通り道ロードなんだよッ!!!」



N→琴吹 那奈ことぶきなな

窪田くぼたは勢いよく突進を開始する。

あり魔怪まかいの大群は真っ先に窪田くぼたを狙いに来るが

それをまるで踏みつぶすかのように香車きょうしゃで蹴散らしていく。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「どけどけどけどけどけーッ!!!

邪魔アァーーーッ!

邪魔ッ!!邪魔ッ!邪魔ッ!!邪魔ッ!

テメェもッ!テメェもッ!

邪魔なんだよォーーーッ!!



N→琴吹 那奈ことぶきなな

その突進に合わせるように窪田くぼたの背後から部下たちが一斉に射撃をする。

部下たちは窪田くぼたが取りこぼした敵、もしくは生き残ったものを一体ずつ狙っていき

窪田くぼたより後ろの位置の敵だけを倒しながら後に続く。

それを信頼してか窪田くぼたは振り返る事なく真っすぐに女王蟻へと向かう。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「そろそろ親玉かッ!!

いくぜぇっ!!!」



N→琴吹 那奈ことぶきなな

窪田くぼたV.H.A.ぶいえいちえーの優秀な兵員たちの中でも

主に一点突破力が高く、短気な性格から来る思い切りの良さも群を抜いている。

その為、今回のような集団で来る相手に対しては正面から壊滅的なダメージを与えられるのだ。

そのような対集団相手に突撃をしながら足を止めるまでの間

窪田くぼたは「極地」を発動させることができる。


女王蟻は窪田くぼたを危険視したのか大あごで正面から噛み砕こうとする。

だが顎が当たる直前、窪田くぼたは俊足によりさらに前へと進み

顎の範囲から外れ魔怪まかいの零距離まで接近した。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「ここは俺の通り道だ!!道を開けやがれェッ!!!」

『ロード・オブ・トライデントダウンッッ!!!』



N→琴吹 那奈ことぶきなな

窪田くぼたはほぼ同時に感じるほどの瞬間に振り下ろす三連撃を放つ。

それを受けたあり魔怪まかいの顔面は切り裂かれ、緑色の血を吹き出す。

甲高い鳴き声を上げるが、それでも窪田くぼたは止まらない。

更に香車きょうしゃを振り回し、刃先で身体を強く切り裂いていく。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「おらッ!おらッ!

おら!おら!おら!おら!おらァッ!!!!」



N→琴吹 那奈ことぶきなな

あり魔怪まかいの身体は顔からどんどんと八つ裂きにされていき

そのまま突進が止まるころには身体の全体が切り刻まれていった。

身体中の血を出しながら最後に小さな呻き声を出すとゆっくりと事切れる。

女王蟻の魔怪まかいの身体を貫き抜けるとようやく窪田くぼたは足を止めた。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「よっしゃーーーッ!見たかァ!!これが俺様の実力だってなァ!!!」



N→琴吹 那奈ことぶきなな

窪田くぼた香車きょうしゃをグルグルと振り回しながら大笑いする。

残るあり魔怪まかい達も部下たちの射撃により倒れていったようで

窪田くぼたが振り返るころには全滅していた。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「さて、俺の仕事は終わったぜ

他の奴らはどうなってんだろなァ!まぁ俺の勝ちは間違いねぇだろうがな!!」



N→谷津 慶長やづけいちょう

同時刻、琴吹ことぶき魔怪まかいの近くへと辿りついていた。

わし魔怪まかいは遥か上空で羽ばたいており、こちらに気づいていながらも近づいてくる気配がない。



琴吹 那奈ことぶきなな

「あんな高いところにいるなんて

臆病な子なのね

さぁ~てぇ~~

どう虐めてあげましょうかねぇ」



N→谷津 慶長やづけいちょう

琴吹ことぶきの部下たちは大きなボウガンのようなものを組み立てていく。

矢を置く場所である先端に琴吹ことぶきが立っており、部下たちは強く弦を張る。

背中にリュックのようなものを背負い、腰には何かの装置を付けていた。



琴吹 那奈ことぶきなな

「それじゃあ…いつでもいいわよ」



N→谷津 慶長やづけいちょう

部下の一人が3カウントを行う。



琴吹 那奈ことぶきなな

「GO!!!」



N→谷津 慶長やづけいちょう

琴吹ことぶきがボウガンに打ち上げられ、勢いよく上空へと飛ばされる。

空中で太ももに装備していたハンドアックスを両手に携え、真っ先にわし魔怪まかいを捉えた。



琴吹 那奈ことぶきなな

「近くで見ると綺麗な羽なのね~

全部捥いであ・げ・るッ!!」



N→谷津 慶長やづけいちょう

琴吹ことぶきは腰にある伸びるアンカーをわし魔怪まかいへと射出し、先端が突き刺さる。

そしてその遠心力を利用し、魔怪まかいの周囲をグルグルと回りながら斧で羽を切り裂いていく。



琴吹 那奈ことぶきなな

「まずは…その翼からそぎ落としていくわよ!」

『サークル・スラッシュ!』



N→谷津 慶長やづけいちょう

琴吹ことぶきは強い体幹と三半規管を活かし

空中へと飛び上がり、相手に空中戦を仕掛けることができる珍しい兵員であり

敵を空中で纏わりつき雷の如く強烈な技を身体全体へと与えていくところを

飛雷姫ひらいきと呼ばれている。

そのような空中に浮かんでいるような相手や、高さのある敵に対して

琴吹ことぶきは空中に浮きながら応戦し

その間のみ「極地」を発動させることができるのであった。



琴吹 那奈ことぶきなな

「どんどんと毟り取られていって…!

なんて惨めなの!でも大丈夫よ

私が最後まで付き合ってあげるから!」



N→谷津 慶長やづけいちょう

わし魔怪まかいは翼を失っていき、次第に空中で浮かぶことができなくなっていった。

翼を失い、次第に重力の赴くまま落下していく。

それに合わせて琴吹ことぶきはアンカーを外し、背中のリュックから畳んであったグラインダーを広げた。



琴吹 那奈ことぶきなな

「さぁ…第2ラウンドよ!」



N→谷津 慶長やづけいちょう

今度はわし魔怪まかいの足へと攻撃先を変更する。

足を少しずつ落としていき、その後は関節を徐々に徐々に切り落としていく。

魔怪まかいは恐怖からか痛みからか大きく叫ぶような鳴き声を上げる。



琴吹 那奈ことぶきなな

「っ…うるさいわね!いい子にしてなさい!」



N→谷津 慶長やづけいちょう

首へ向かうように回転の軸を変え一撃を浴びせる。

声帯であろう箇所を斬られたわし魔怪まかいは鳴き声を発せなくなり、静かになった。



琴吹 那奈ことぶきなな

「さて…そろそろ地上よ!気を付けなさいね!」



N→谷津 慶長やづけいちょう

琴吹ことぶきはハンググライダーを展開する。

それによって空気抵抗を強くし、風の流れのままゆっくりと滑空した。

対して羽を失い、大きな体重を持ったわし魔怪まかいは地面へと打ち付けられる。

強い衝撃を受けた魔怪まかいは動くことができず、声帯も破損しているため空気が漏れるような音がクチバシから漏れるだけとなっていた。

震えるように小刻みに揺れる魔怪まかいの目の前にゆっくりと降りてきた琴吹ことぶきは首元へと着地した。



琴吹 那奈ことぶきなな

「もう限界?早いわねぇ…それじゃそろそろ逝かせてあげる」



N→谷津 慶長やづけいちょう

片手斧を一つ腰に取り付け、もう一つの斧を使って連続で首を刈り取る。

魔怪まかいの首は切断され、緑色の血を垂れ流しながらそのまま絶命した。



琴吹 那奈ことぶきなな

「帰りにシャワーでも浴びていかないと…ね」



N→窪田 譲三くぼたじょうぞう

それから少し時間は戻り

窪田くぼた琴吹ことぶきが到着するよりも早くかめ魔怪まかいへと辿りついた谷津やづはトンファーを右手に持つ。

落ち着いた様子でゆっくりと近づいていく。

魔怪まかい谷津やづをまだ発見できていないのか動く様子はない。



谷津 慶長やづけいちょう

「諸君ら、一時後方にて待機せよ

合図を我が送ったのち、一斉に攻撃を開始するのだ

ゆくぞ…」



N→窪田 譲三くぼたじょうぞう

谷津やづが亀の魔怪まかいに近づくようにゆっくりと歩いていく。

トンファーの大きな打撃面を敵に向けて構える。

亀の魔怪まかいは動きが遅く、ほとんど移動する様子はない。

表面の甲羅にある硬質外殻が煌びやかに光っており、谷津やづは攻撃する箇所を見定めたのか一気に魔怪まかいへと足を踏み込んだ。



谷津 慶長やづけいちょう

「フゥンッ!!!!」



N→窪田 譲三くぼたじょうぞう

強い一撃を甲羅にぶつける。

しかし、その甲羅には傷が入らず攻撃が弾かれている。



谷津 慶長やづけいちょう

「効かぬか…だが、無敵というわけではあるまい…!

ぬん!!フゥッ!!!ぬぉぉぉぉっ!!!」



N→窪田 譲三くぼたじょうぞう

何度も何度も同じ個所へと攻撃を続ける。

弾かれても尚、その攻撃を止めることはない。



谷津 慶長やづけいちょう

「ふぅッ!!ぬっ!!どォらァ!!」



N→窪田 譲三くぼたじょうぞう

その時、ピシッと音が鳴った。

トンファーで叩いていた甲羅の個所からゆっくりとヒビが入っていったのだ。

その箇所に連続で攻撃を振るっていくと、亀の魔怪まかいは恐れをなしたのか甲羅の中に身を潜め身体を隠す。



谷津 慶長やづけいちょう

「主ら!攻撃開始ッ!!!」



N→窪田 譲三くぼたじょうぞう

部下たちは全員打撃武器を使って一斉に攻撃を開始した。

その攻撃は甲羅に弾かれていくが、谷津やづが与えたヒビが徐々に甲羅の各箇所を脆くしていき、部下たちの攻撃が甲羅を破れるようになってきていた。



谷津 慶長やづけいちょう

「もう少しだ!主ら!!攻撃を続けよ!!」



N→窪田 譲三くぼたじょうぞう

甲羅全体に細かなヒビが入ると、勢いよく甲羅が崩れていった。

核となる部分を壊したらしく、中から亀の中身が姿を現わす。

亀の魔怪まかいは身体をゆっくりと動かし、尾を振り払い兵員たちへと攻撃をする。

だが、その一撃を谷津やづは単身で食い止めた。



谷津 慶長やづけいちょう

「効かぬ!!」



N→窪田 譲三くぼたじょうぞう

谷津やづ窪田くぼた琴吹ことぶきと違い

技を持たず特殊な戦い方をするわけでもない。

だが、彼の性格は堅物であり基本に忠実。

相手をじわじわと追い詰めて倒していくその戦い方に合わせるように

谷津やづは同じ攻撃を繰り返す間は「極地」を発動することができるのだ。

それにより、魔怪まかいの攻撃は彼には通らず

相手の弱点を瞬時に見抜き、そこへ集中的に攻撃をする。

それにより数々の魔怪まかいを撃破してきていた。

部下たちがそのまま攻撃を続けていると、魔怪まかいはそのまま動きを止める。



谷津 慶長やづけいちょう

「我らの勝利である!一同退避

他班と合流し、指示を仰ぐぞ!」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

そうして3体の魔怪まかいが倒れ、一同は集合した。

成瀬なるせはどこかへ行っているようで乙坂おとさかと3人の班長がそこへ集まる。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「俺が一番敵をぶっ殺したんぜ!

どう考えても今日は俺の勝ちだろうがよォ!アァ!?」



琴吹 那奈ことぶきなな

「私がこの中で誰よりも早く敵を倒してるのよ

ただの雑魚を倒したぐらいで威張るなんて単細胞よねぇ」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「んだと!!?

てめぇは一匹しか倒してねぇだろうが!

あんなの俺でも倒せたっての!」



谷津 慶長やづけいちょう

「主の武器では空中にいる魔怪まかいに対抗策がないであろう」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「黙れ谷津やづ!!

ってかテメェが時間も数もベケなんだからなァ!?」



谷津 慶長やづけいちょう

「何を以て勝利とするかは見解が分かれるところであるぞ」



琴吹 那奈ことぶきなな

「アンタ、そうやっていつもはぐらかすけど

あんな鈍間なの倒すぐらい私でも窪田くぼたでも、もっと早く出来るわよ」



谷津 慶長やづけいちょう

「仮説の話など愚の骨頂」



琴吹 那奈ことぶきなな

「なんですって…?」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「いい加減にしてください!!

班長会議をそろそろ始めたいのですが!」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「ァあ!?ガキが口出すんじゃねぇぞ!」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「今回の任務の指揮権は成瀬なるせ班が持っています

班長が不在の際は副班長が指揮を執ることが規則です

なので私の発言は上の発言と同義

兵員ならば指揮系統を遵守してください」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「なっ!?……ちっ!わーったよ

話を初めてくれ」



琴吹 那奈ことぶきなな

「あら…意外、一本取られたわね」



谷津 慶長やづけいちょう

「……」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「クラスターの元になったA-Class相当の魔怪まかい3体の撃破は完了しましたが、付近に群れから外れた魔怪まかいが一部残っていることがあります

なので各班ごとに区域を指定されておりますので移動しながら魔怪まかいを目撃次第撃破してください

その際なにかありましたら緊急無線番号にお願いします」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「はいはい」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「なにか他にご質問ございますか?」



琴吹 那奈ことぶきなな

「私はないわ」



谷津 慶長やづけいちょう

「右に同じく」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「俺もねぇよ

じゃあもう用ねぇだろ?

俺ァ先行くからな」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

窪田くぼたは班員を引き連れて、散開していった。

その様子はどこか苛立ちを抑えているようで、普段の様子とは違う。



琴吹 那奈ことぶきなな

「お嬢ちゃんに言い負けたのが悔しいみたいね

ほんといい気味

意外とハッキリ言える子なのね

見直したわ」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「事実を申し上げただけです

それでは失礼します」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

乙坂おとさかは一礼してから立ち去って行く。



琴吹 那奈ことぶきなな

「あの子、班長にでもなればいいのに

勿体ないわよね

成瀬なるせはこんな会議絶対出ないクチでしょうに、毎回毎回大変そうね」



谷津 慶長やづけいちょう

成瀬なるせを上にするというのはさぞ苦労をしているであろうな」



琴吹 那奈ことぶきなな

「でしょうね

どうしてあんなのに着いていくんだか

私には理解できないわ」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

そうしていると窪田くぼたが走って戻ってくる。



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「おいおい!どうなってんだこりゃ!!?」



琴吹 那奈ことぶきなな

「なに?急に…?」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

咆哮が辺りに響く。

先ほど倒されたはずの魔怪まかいが再び立ち上がり、一斉に三人の方へと接近してきていた。



琴吹 那奈ことぶきなな

「な、なんで!?さっき間違いなくやったでしょ…!?

首を落としたはず…なんで…!?」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

先ほど倒したわし魔怪まかいには首が繋がっている。

だが、羽や他の部位に傷が残っているところを見るに先ほどと同一個体なのは間違いないだろう。



谷津 慶長やづけいちょう

「まずいな…ここは陣地内であるぞ!」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「ちくしょ…ッ!やるっきゃねぇだろがァ!

いくぜェ……!!!!」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

その時、隣を勢いよく走って通り過ぎる男がいた。

成瀬なるせは手すりを超えて飛び上がり、魔怪まかいの方へと突っ込んでいく。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「3体か……」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

成瀬なるせは空中で両刃式大剣・我動がどうを構える。

そして3体を同時に1閃。

一瞬で首を切り落とし、同時に魔怪まかいは倒れた。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「よっし…全部倒した

さっきの勝負、僕の勝ちね」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「は、はァッ!?馬鹿か!?

ありゃ俺らがかなり追い詰めてたんだろうが!

テメェはただ手柄パクっただけだろうがァ!?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「じゃあ最後まで倒せばいいだろ

負け犬の遠吠えだよ」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「誰が負け犬だァ!!?」



谷津 慶長やづけいちょう

「よすのだ窪田くぼた

成瀬なるせの言い分は最も

今は引き下がるしかあるまい…」



窪田 譲三くぼたじょうぞう

「はアァ!?このまま引き下がれってか!?

っておい!待ちやがれ成瀬なるせ

逃げる気かァ!!?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「ゲーム一旦止めてきたんだから戻るだけだよ

勝ってる試合に逃げるわけないだろバーカ」



N→二宮 和鷹にのみやかずたか

成瀬なるせ窪田くぼたの罵声を聞き流して自身の装甲車へと戻ろうとする。

その時、成瀬なるせはある車を見かけ足を止めた。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「あれってカズのおっさんの車…?

なんでこんなところに来てんだ?」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

二宮にのみや魔怪まかいの死骸を遠めに眺めながら考え事をしていた。

建物づたいに飛びながら移動してきた成瀬なるせ二宮にのみやを見つけると近くに飛び降りてくる。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「カズのおっさん

なんでこんなところに居んの?

大した護衛もなしじゃ物騒でしょ」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「……クラスター対処。見事だったぞ」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「あんなん楽勝だよ

ってかそっから見てたんだ」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「妙だとは思わないか?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「何が?クラスターなんてこんなもんでしょ」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「………」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「…やっぱカズのおっさんも感じるんだ

でも、僕はなんか変だなとしかわかってないよ」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「あれを見るのだ」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

二宮にのみや魔怪まかいの死骸を指さす。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「あれって言われてもな

…ただの死骸だとしか」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「先ほど他の兵員が付けた傷をよく見てみろ」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「んーーーあ?

なんだあれ」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

先ほど窪田くぼたらが付けた部位を見ると

黄色いブヨブヨとした謎の固形物がこびりついていた。

それはまるで接着剤のように部位同士を繋げており、ある程度の弾力があるように見える。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「なにあのキショいの」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「一つの仮説が議論として挙がってきている

魔怪まかいCARDIEDカディドが密接な関係にあるのではないかとな」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

魔怪まかいとテロリストが?

あんなのとどういう関係があるって?」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「私の行った会談に合わせてのクラスター

他にも東郷とうごう議員の事件の際や

いくつかのCARDIEDカディド関連の件での魔怪まかい襲撃が被ること

なにか因果関係があるように思えよう」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「でもそれはないって結論づけたんじゃなかったっけ」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「私の予想にはなるが魔怪まかいというのは―――」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「ちょっとタイム」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

成瀬なるせは後ろを振り返る。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「さっきから盗み聞きなんて趣味悪いよ」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

その言葉を聞いて3人の黒ローブを羽織った者たちが建物の影から出てきた。

表情はローブを羽織っており見えないがこちらの様子を伺っており

暗殺に特化している刺突武器を持ちながら囲うように距離を詰めている。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「で、お前らCARDIEDカディドの奴らでしょ

こんなところまで来るなんて仕事熱心だな」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「よくぞ気づいたものだ……成瀬 眞比呂なるせまひろ



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「隠れてたつもりだったんだ」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「ふふ、傲慢な男だな

噂に違わぬ豪胆さ

故に惜しい、ここで殺さねばならないとは

…貴様ならば我らCARDIEDカディドにも相応しい実力であろう」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「ふ~ん

入ったらなんかメリットがあるの?」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「総てだ…!

欲しいものを望むままに手に入れればいい」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「どんな者を倒せる力であろうとも……」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「どんな欲であろうとも……」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「叶えることができるであろう」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「そうなんだ、へぇ~」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「どうだ?我らの仲間になるというならば―――」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「聞いた限りだと興味をそそられないな」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「なんだと…?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「お前らって人類を滅ぼす気なんだろ?」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「それこそが我らCARDIEDカディドの崇高なもく―――」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「悪いけどそんなくだらない事に興味ないんだよね

それぐらいだったらゲームしてる方が楽しいし」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「貴様ッ!我らの理念を愚弄するかッつ!!」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「寄せ…このような下賤な輩を引き入れようとするのが間違いだったのだ

我らは当初の目的を果たすとしよう」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「了解」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「そうだな、そうしよう…」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「その目的というのが私の抹殺というわけか」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「そういう事だな

言っておくが逃げようとしても無駄だぞ」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「カズのおっさん、逃げなくていいよ

そこにいてくれた方が楽だから

ゆっくり見物でもしてて」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「そうさせてもらおう」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「あ、そうだ

こいつらの処分はどうすんの?」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「好きにしろ」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「はいはい」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

成瀬なるせ二宮にのみやの前に立ち、両刃式大剣・我動がどうを構える。

成瀬なるせは攻撃を仕掛ける素振りもなく

三人は距離を離したままひっそりと作戦を練り始めた。



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「相手はV.H.A.ぶいえいちえー最強と名高い兵員

侮るのは非常に危険だ

だが二人でかかればあの成瀬 眞比呂なるせまひろであろうと少しの間は抑えられるだろう

その間に私が目標を抹殺する」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「ならば俺が成瀬なるせの側面から仕掛ける」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「目標の始末さえ達成すればよい

成瀬 眞比呂なるせまひろは後回しだ」



CARDIEDカディドの刺客A・B・C

「総てはカードの描くままに!!」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「作戦会議は終わり?」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

刺客らは一斉に攻撃を仕掛ける。

刺客B、Cが同時に斜めから刺突を繰り出し、その後ろに続くように刺客Aも走りだした。

成瀬なるせは未だ我動がどうを正面に構えておらず、致命傷となるであろう心臓や肺を狙って突きを放つ。

確実に仕留められるであろう間合いに入った。

だがその瞬間、二人は勢いよく吹き飛ばされる。



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「おわっつ!!?」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「うぐっ!!!」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

いつの間にか振られていた我動がどうの峰内を当てられ後方へと払われるように吹き飛ばされた二人の刺客。

だが作戦通りと言わんばかりに刺客Aは成瀬なるせを無視し、二宮にのみやの首へと攻撃を繰り出す。



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「その命貰い受ける!!!」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「作戦わかりやすすぎ」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

刺客Aは気がつくとB,Cらと同じように後方へと吹き飛ばされていた。

こちらが攻撃するよりも先に一瞬で懐へと忍び込まれ、強烈な蹴りを受けていたのだ。



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「な…何が起きたのだ……」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「お前ら弱すぎじゃない?

ホントにこの面子で勝てると思ってきたわけ?」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「あの距離を詰めるまで一瞬すぎだろ…!?

俺らの連携は悪くなかったはずだ…」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「狼狽えるな!

奴はV.H.A.ぶいえいちえー内でも最強の存在…不自然なことではない

だが所詮人間の領域を出ない…!」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「ほら、早く来なって

言っておくけどさ

お前らカズのおっさん狙えるほど余裕ないからね」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「目標が逃げる様子はないようだ…

我ら3人で先に成瀬 眞比呂なるせまひろを始末するのだ」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「敵の話を鵜呑みにするのは愚かだろうが

その方がよさそうだな」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「よかろう…ならば三方向に囲むのだ

誰か1人の攻撃が一撃でも当たればよい」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

刺客たちは二宮 和鷹にのみやかずたかを無視し

成瀬なるせを囲うように3方向に分散した。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「正面切ってじゃ無理だから囲って攻めるね

まぁ、いい作戦なんじゃない

相手が僕じゃなかったら完璧だったね」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「大口を叩いていられるのも今のうちだ」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「最後に再び聞こう…我らの元に下る気はあるか?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「ないね」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「愚かな……」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

三人は同時に刺突を繰り出す。

確実に当たるであろう三方向からの連続攻撃。

だが、それは成瀬なるせには届かなかった。

連続で繰り出されている刺突を華麗に躱し

一瞬で三人が狙っている部位を見抜くと我動がどうで薙ぎ払う。

その一振りで三人の攻撃は弾かれ、片方の武器を吹き飛ばされる。



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「な、なぜ当たらぬ!?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「お前ら連携するの初めてでしょ

3人とも、馬鹿の一つ覚えみたいに急所だけ狙うなんてさ

センスなさすぎ」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「貴様…!!?私の攻撃は死角からだ…

どうやって……一度もこちらを見ていなかったはず…」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「悪いけど僕はそういう次元に居ないんだよね

たかが子犬3匹が囲っても虎は狩れないでしょ

それと同じ」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

V.H.A.ぶいえいちえーの中でも一部の者しか発動できない「極地」。

先ほどの窪田くぼた琴吹ことぶき谷津やづらの特徴である

突破力、空中戦闘、耐久力

これらはV.H.A.ぶいえいちえーの中では確かにトップに位置している

だがそのスコアは全て成瀬なるせの次点の二番目。

V.H.A.ぶいえいちえー内総合スコアトップ

歴代最強の兵員であり、模擬戦でも無敗の男

成瀬 眞比呂なるせまひろ


3人は自分の得意とする戦場のみで「極地」を発動させることができる云わば「未完成の極地」を習得している。

だが成瀬なるせのものは発動範囲、発動時間など一切の制限がない

云わば完成された「極地」であった。

この領域にまで達することができた人物はこの世で成瀬なるせ月ノ都つきのみやこ学園 現生徒会長城ヶ崎 健じょうがさきたけるのみであろう。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「そろそろ終わっていい?

ゲームやりたくなってきちゃったんだよね」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「ぐっ……!まさか、これほどとは…!」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「仕方があるまい……アレを使うとしよう」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「な、なんだって……アレをっ!?」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「今更何を怖気づいている…貴様も既にCARDIEDカディドに命を捧げた身であろう…」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「うっ………そ、そうだった……な

わかった……やろう」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「我ら親愛なる使徒は、かの者に命を捧げたまう」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「この命を以て、その神勅に答えまする」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「総ては破滅の最終日ラストワンへと」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

刺客たちはポケットから小瓶を取り出す。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「なに?毒で自殺でもする気?」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

それを口にいれ一気に噛み砕いた。

その瞬間、三人は絶叫をあげながら苦しみ始める。



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「ぐっ……ぐわああぁぁぁぁああっつ!!!」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「うぅううつっつああがっがががが!!!」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「ああああぁぁあっ!!す、すばらしい!!!」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「なに?」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「はぁぁあああっつ!!」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「こ、これが……この力が……!!」



二宮 和鷹にのみやかずたか

眞比呂まひろよ、油断するな」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「はぁ?誰に向かって言ってんの」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「あの様子、ただ事ではない」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「視りゃわかるよ」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

刺客たちが悶えているが、徐々に落ち着きを取り戻すとゆっくりと顔をあげる。

その瞳はうすい黄緑色に変貌しており、カラーコンタクトを入れたような色になっていた。



二宮 和鷹にのみやかずたか

「あの目…………まさか?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「…で、それは何が起きたわけ?」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「これは…我らの信仰の証だ……」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「狂信者っていうんだっけか

信仰だのなんだのって…普通に話してくれない?

全く意味わかんないんだよね」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「説明をしたとて貴様には理解できぬであろう…これこそが人を超えた力だ…!」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「あっそ、それで勝てるならかかってきたら?」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

刺客らは同時に成瀬なるせ我動がどうへと武器を叩きつける。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「っ‥‥さっきより力が増した…?」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

我動がどうでその攻撃を受け止めるが、じりじりと成瀬なるせが押されていった。



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「どうだ…!これこそが…神の御力みちからである!!

恐れおののいたか!?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「そうか?ただ力がちょっと上がっただけだろ

それのどこが神なの?」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「つくづく愚かな男だ…ここで死ぬことが貴様への断罪となるであろう

だが死ぬのは一瞬だ…我らが神ガ形へその罪を悔い――――」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「はぁ……わかったわかった

もういいからさ

早く本気で来いって」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「いいだろう!死ねぇ!!!!」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「はぁああっつ!!」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「さらばだ!成瀬 眞比呂なるせまひろッ!!!」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

刺客らが一斉に踏み込み、各々が成瀬なるせを殺すべく攻撃する。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「さっきも言っただろ

芸がない奴らだな」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

成瀬なるせ我動がどうを強く握りしめ、必殺の一撃を放つ。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

唯我独尊ゆいがどくそん!』

「はぁぁぁぁあぁあああッ!!!」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

成瀬なるせは全員に向けて連続で攻撃を繰り出す。

大ぶりな剣から出せるスピードとは思えないような連撃は刺客らの反応速度を大きく超えており、攻撃を喰らい終わるまでその一撃を感知できなかった。



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「うっ…な、なんだ…今のは……」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「お、俺…らは……どうなった……んだ」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「こ……これほど…とは……計算外…だ」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

刺客らは一斉に倒れる。

先ほどの連撃を受けて3人の四肢のほとんどが断たれていた。



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「ぐあああぁぁぁっつ!!」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「い、痛ぇえええ!!」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「ぁあああああっ!!」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

後から来る痛みに苦しみながら地面に崩れ落ちる3人。

成瀬なるせはそれを冷めた視線で見下すと

刃先を一人の首元に向けながら二宮にのみやの方へと振り返る。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「カズのおっさん

こいつらどうすんの?尋問したりする?」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「わ、我らは……何も答えぬぞ…!」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「良かろう…我々に有益と思える情報を提供した者は命を保証しよう

答えるものはいるか?」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「そんな脅し文句で答えるわけが…なかろう」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「お、俺は……し、しに…死にたくない!!」



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「何を言っておるのだ!我らは既に命を捧げた身!」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「だからと言って実際に死ぬのとは違ぇんだよ!!

お!俺は…!すべて話します!!」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「だってさ、他の二人は?」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「貴様ッ!!我らを裏切るというのか!

許されぬぞ!!!貴様もわかっているだろう!!」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「お、俺だけ!!

俺だけは助けてくださいッ!!

お願いします!!!」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「情報次第だ」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「な、なんだと…貴様ッ!何か一つでも情報を与えてみろ!

この場で殺し―――」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「今、お前の喋る番じゃないだろ」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「ぎゃあああああっつ!!」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

成瀬なるせは器用に武器を振るう。

その一撃は刺客Cの足を更に太ももの中央ぐらいまでの短さに切断する。



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「ああぁぁぁっ!こ、こんな事で…我らは屈しない!!」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「だから喋んなって言ってんだろ」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「あぎゃあっつ!!!」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

刺客Cの腹部に我動がどうを突き刺す。

血が激しく吹き出し、痛みに耐えきれず暴れ出すが成瀬なるせは武器を抑えつけ逃げられないようにしていた。

そしてその様子をまるで死にかけの虫を見るような冷ややかな目で見続けている。

成瀬なるせのその瞳を見た刺客らは凍り付くような恐怖心が襲い震え出す。



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「あ……悪魔か……貴様は…」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「神だったり悪魔だったり…どっち信じてるわけ?」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「な、なにを…答えれば…た、た、助けてくれるんですか?」



二宮 和鷹にのみやかずたか

CARDIEDカディドの規模

その人数はどの程度いるのだ」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「わ……わたしが知ってる限りでは…」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「だ!!だまれ!!何も答えては――」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「お前が黙れ」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「がああぁぁぁ!!」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

再び成瀬なるせは武器を抜き、刺客Cの腕を短くしていく。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「あんまりうるさいと次は首にするからな」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「ぁぁぁぁぁぁ!!

ふっ…ふふ……ふふふふふふふふふ」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「え、なに?なんで笑ってんの気持ち悪っ」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「やはり…我らは……間違っていなかった」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「どういうことだ」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「貴様のような……種族は…やはり下賤そのもの……

生まれるべきではなかったのだ……」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「僕が汚いって?

そりゃ光栄だな

清く正しく真っ当に生きるなんて真っ平ゴメンだからね」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「…ふふふ、CARDIEDカディドの行く先に

光あらん事を……正しき道は……最終の――」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

その言葉を言い終わるや否や刺客たちは一斉に苦しみだした。



CARDIEDカディドの刺客A(谷津 慶長やづけいちょう兼任)

「うがああああ!!」



CARDIEDカディドの刺客B(窪田 譲三くぼたじょうぞう兼任)

「ぐっああああぁあ!!ま、ま…お待ちを…そ、そんなつもりでは!!」



CARDIEDカディドの刺客C(琴吹 那奈ことぶきなな兼任)

「ふふふっ!!あははははは!!

地獄で……待っているぞ!

……成瀬 眞比呂なるせまひろ!!」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

途端に刺客たちの身体がまるで氷が解けるように崩れていく。

成瀬なるせは武器を持ったまま後方に下がり距離を取る。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「なに…これ?」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「……これは」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「カズ!!離れろ!!」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「ぐっ!!!」



N→乙坂 媛子おとさかひめこ

成瀬なるせ二宮にのみやを突き飛ばして後方に飛び下がる。

死体は最後に小規模の爆発を起こし、死体をバラバラの状態に破損させた。



二宮 和鷹にのみやかずたか

「口封じ…させたというところか」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「どういうこと?カズのおっさん

もしかしてだけど、なんか知ってるだろ?」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「何のことだ?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「こっちが聞きたいんだけど…まぁいいや

カズのおっさんは秘匿主義だしね

わかった。僕は僕の仕事をするよ」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「答えることはできない

すまないな」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「いいよ、後の事は僕と乙坂おとさかがやるから

カズのおっさんは安全なところ行っててよ」



二宮 和鷹にのみやかずたか

「頼むぞ眞比呂まひろ



N→谷津 慶長やづけいちょう

成瀬なるせ二宮 和鷹にのみやかずたかが離れたのを見ると電話をかける。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

乙坂おとさか、こっち来れる」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「はい、ただちに」



N→谷津 慶長やづけいちょう

乙坂おとさかがすぐに駆け付けると状況を軽く説明した。



乙坂 媛子おとさかひめこ

CARDIEDカディド……私たちの予想以上に謎めいた勢力ですね」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「そうだね~

こんなに尻尾が掴めないなんて面倒くさい」



乙坂 媛子おとさかひめこ

「勝てる自信がありませんか?」



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「まさか…」



N→谷津 慶長やづけいちょう

成瀬なるせはフーセンガムを膨らませながら答える。



成瀬 眞比呂なるせまひろ

「言ったろ?全部僕がぶっ潰す」



N→谷津 慶長やづけいちょう

今回のクラスターは民間人の犠牲もなく

世間に報道され再びV.H.A.ぶいえいちえーの信頼を上げていった。




突如世界に現れた「魔怪まかい」と呼ばれる怪物を駆除するために設立された私設軍

V.H.A.ぶいえいちえーと呼ばれる組織は

自衛隊や警察組織と違い、独立した権力を持つ。

一般人や兵士育成学園機構卒業者の中で実力保有者が入隊することができる。

そんな彼らV.H.A.ぶいえいちえー兵を防衛隊の隊員と区別化するため兵員と総称されている。


その兵員の中でも特に優れた実力を持っている

成瀬 眞比呂なるせまひろ

乙坂 媛子おとさかひめこ

窪田 譲三くぼたじょうぞう

琴吹 那奈ことぶきなな

谷津 慶長やづけいちょう

彼らはこれからも戦いの最中に切り込み続ける。


CARDIEDカディド魔怪まかいを滅ぼすのが先か

それとも人類が滅ぶのが先か

破滅の最終日ラストワンを迎えるその日

全てが決するであろう。


断ち切れぬ運命に抗いし者たち

彼らの戦いは命尽き果てるまで終わらない。











断チ切レヌ運命二抗イシ者タチ 完

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そのある程度の境界線は他の演者様たちとの話し合いに委ねます


・特殊なものについて

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言語を変える、明らかに台本無視と取れる

特殊な行為をするものは認めていません

流石に読み込んで普通に演技してください

多分そうじゃないとこの台本は演じれないです


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