第二十五話(桜視点)

 あの時、殺さなかった……なら今殺せばいい。


 私はうらら先輩のいる病室のドアを開けた──。


「なんで翔太がいるの?」


 うらら先輩の寝ているベッドの隣で翔太は椅子に座り、無表情でうらら先輩を見ていた。


 完全に壊れてる……。


 そんなの見れば一瞬にしてわかる。


 今更私の前で何をされようがなんとも思わない。


 私はフルーツナイフを強く握り、まずは……。


「ねぇ、翔太?」


 そんな言葉に、翔太は私に振り向く──。


 次の瞬間、私は翔太の○にフルーツナイフを○した──。


 返り○が飛んだ──。


 苦しみ、声を上げないように、私は素早く何度も何度も何度も翔太を刺した。


 本来、刺していればなんらかの感情が出るはずだ。

 なんせ、私が大好きだった人なのだ。

 でも……何も感じなかった。


 気づけば、真っ白い患者服が翔太の血で真っ赤だ。

 私は顔についた血を舐めてうらら先輩に近づく──。


 そして──。


「さようなら」


 そうひと声かけるとまず最初に、喉にフルーツナイフを○した。


 途中で起きた時に悲鳴を上げられては困る。

 だから、喉を潰した。


 それと同時に何か、警報らしいものが鳴り響く──。


 多分、私のことでだ。


 それでも、私は止まらない。


「うっ──」


 刺すたびに、返り○が飛んだ。


 それでも、私は止まらない。


 死んでいる……そんなのは見ればわかる。


 人の死なんてあっという間だ──。


 それでも、私は止まらない。


「ふふふ、はははっ──!!」


 笑いが止まらなかった。


 刺せば刺すほど、○が溢れる。

 

 もうすぐ、誰かが来てもおかしくない。


 それでも、私は止まらない。


「死ね死ね死ね死ね──っ!!」


 殺すことがこんなに気持ちいいなんて……セックスと比ではないほどに気持ちがいい。


 何度も何度も私はうらら先輩を○した──。


 罪悪感だとかそんな感情はない。

 とにかく殺せたことへの気持ちよさのみがあった。


 人を○す、こんなに気持ちがいいことなんてあるんだ……。


 もっと○したい……。


 気づけば、そんな感情が湧いていた。


 自分でもおかしいことぐらい気づいている、でも……。


「もう、止められないよぉ……こんなに気持ちいいことを知ってしまったら!!」


 私はついている。


 病室のドアが開くと三人ほど、医師と看護師がやってきた──。


 それは、まるで私に○されたいかのように……。


 愕然とこの光景を見てする一人の医師と二人の看護師。

 

 一人の女性は地面に両膝をつけて、恐怖のあまり漏らしていた。


 もっと見たい……。


 私は看護師に近付き──。


「や、やめてください」と泣きながら言う看護師。

「もう遅〜い!!」


 看護師にフルーツナイフを刺した──。


 その後は一瞬の隙も与えずに私は三人を○した。

 

 逃げなきゃだ──。


 警報が鳴り響いている。

 多分、見つかったのだ。


 私は急いで、うらら先輩の○○を医師が持っていたメスで切○落とし、手に持ち走り出す──。


 ああ、なんて人の命を奪うって気持ちがいいのだ。

 下腹部が濡れる。

 もう……性では満たされないよぉ……。


 途中、人と出くわした。


 でも、私の姿にみんな、一瞬愕然とする。


 だから、その間に私は笑顔で──。


「私に殺○されるために生まれてきてくれてありがとう」


 そう言って、うなじを○した──。


 気持ちがいい、気持ちがいい。


 みんな死んだ……あの二人も……。


「これで、耕平くん、あなたは私しか見ないよね。私のこと好きだよね!!」


 外を出ると雨が降っていた。


 今の気持ちとは真反対だ。


 どうせなら、晴れていて欲しかったなぁ……。


 目の前からは無数の光る車が視界に入る──。


 私は走り、近くの山へと逃げた──。


 警察だ。

 多分、誰かが通報したのだろう。

 こんなところ、すぐにバレる……。


「ねぇ、耕平くん。あなたが私を最初に見つけてくれるよね」

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