第十五話(桜視点) 復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐

 翔太の家で──。


「お前の身体じゃ……俺はもう満たされないんだよ……」


 その日、翔太からの一言で私は目を覚ました。


「俺にはさうらら先輩がいるんだよ……」


 翔太がこの話をするのは時間の問題だと思っていた。

 まさか、このタイミングなんだね……。


 私は涙を流しながら。


「うん! 知ってたよ!! ずっーと前から……うらら先輩としてたの!!」


 笑顔でそう言った。


 これが、正解なんだ。

 翔太もうらら先輩も全て壊したい。

 壊したいけど……私一人じゃ……できないんだ。


 そんなのはやる前からわかっている。

 わざわざ結果がわかっているのに突っ込むやつはただのバカだ。


 すると、翔太は涙を流しながら制服を脱ぎ始めた。


「え…………」


 そして、私に飛びかかって──。


 私は目を瞑る。


 しかし、私には飛びかかって来なかった……。


 ガチャリとドアが開き、中に入ってきた人に翔太は抱きついたのだ。


「うらら先輩……今全て伝えました……だから、だから、俺としてください!!」


 え……。


 私は後ろを振り向き、目を大きく開いた。


 そう、そこには……。


「久しぶり、桜さん」


 うらら先輩が裸でいた。


「え………」


 そして、私の前でキスをしだす二人……。


 どうなってるの。

 まるで、野獣のようにキスをする翔太。


 そこで、私はわかった……ほんとに壊れていたのは翔太だと。


 私はその場で両膝をつけた。


 言葉にできない、こんな気持ちは初めてだ。


 二人はキスを終えると、長い唾液が糸を引いた。


 うらら先輩は私を笑いながら見て。


「後輩くん、いい感じに壊れてくれたの……これで、私のおもちゃは完成した」


 私に近づいてきて、うらら先輩は私の顎をカクリと手で掴む。


「ほんとにありがとね……あなたが壊れてくれたおかげよ!!」


 あれ……翔太が悪くないのかな……。

 うらら先輩ってこんな感じだったっけ……。


「ねぇ、桜さん?」

「……」

「あなたに、耕平くんをあげるからさ」


 うらら先輩に私にキスをした。


 それと同時に涙が流れる。


 うらら先輩のキスはとてもうまかった。

 キスだけで濡れてしまった。

 こんな経験、初めてだった。


「これは、最後に後輩くんとの間接キスね……それでだけど、耕平くんをあげるからさ……私にこの子を頂戴……待って、もう少しでヤるからさ……あと少し待ってね」


 そう、翔太に言い聞かせる、うらら先輩。


 耕平くんって……うらら先輩と付き合ってたよね……。


 でも、そんなこと言えなかった。

 怖かった……翔太の姿を見て、私もこうされると思ってしまった。


「実はね、前にさ二人で一日中ヤったらしいじゃん? その日に、後輩くんは気持ちよさを感じなかったんだって……なんでって、私が彼を気持ちよくさせてやってたのだもの。あなたとは違うんだよ……桜さん。ほら、翔太たも……」


 翔太は一滴涙を流し──。


「ごめん、桜……俺は……うらら先輩が大好きだ」


 その姿は本気だった。


 あ……私振られたんだ……。


 そして、二人は私の前に激しく始めた──。


 その後のことは何一つ記憶になかった。


 ただ、うらら先輩の喘ぎ声だけが耳に残った。


 復讐してやる……。

 復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐、復讐。


 あれ……。


 私は涙を流しながら、二人を睨んだ。


 そして── 復讐しやる。


 そんなことは思っていなかった。

 でも、気づけば思っていた。


 へんな感覚だ。

 思ってないのに思うということは。



 そこからは私なのに私の思考ではない行動をとっていた。


 まず最初になぜか、家に帰るとすぐに、耕平くんを妄想しながら下腹部に手を──。


 いや、思考ではない行動なのではない。

 私は誰かに依存がしたかった。

 ただそれだけだったのだ。


 そして、私は耕平くんにLINEを送った。

『ねぇ、耕平くん……私と復讐しよ』と──。


───────────────────────


次回から耕平たちの復讐が始まります

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