第九話(翔太視点) 大好き
結局、翔太……帰ってこなかったなぁ……。
少し不安だ。
うらら先輩と………ううん、そんなことない!!
私は翔太を信じる!!
「春川さん?」
「は、はい!!」
「翔太のことよろしくな……」
そう耕平くんは少し寂しそうに言った。
「はい!」
そうだ。翔太への不安なんて別に気にしなくていい……ごめんね。
翔太……。
「じゃぁ、俺はこれで……」
「はい!」
「さよなら」
「さよなら」
耕平くんは私に手を振りながら去って行った──。
恋愛は大変だなぁ……少し、他の異性と一緒にいると変な妄想をしてしまう。
私にとって翔太ははじめての彼氏だ。
今まで私は好きな人なんていなかった。
というのも……私にとって男はみんな自分勝手と思っていたからだ……。
私は玄関を開けようと鍵を……。
あれ? 空いてる?
そんなはずはない。
絶対に学校に行く前に閉めたはずだ……。
そして、私は玄関を開けた次の瞬間、私は目を大きく開いた。
「え…………翔太………?」
そう、玄関に翔太の靴があったのだ。
なんで……あ………そう言うことか……。
翔太は緊急用の家の鍵のところを知っている。
多分それで中に入ったのだ。
でもおかしい………翔太は「先に帰ってて」と言っていたはずだ。
なのになぜいるの?
私はすぐに、LINEで電話した──。
「翔太……? 今私の家に……」
『ああ、いるよ。少し、用事があってさ……すぐに来てもらえる?』
「わかった……」
きっと、大事なことなんだ……。
○
『桜……帰ってきました……』
『やっと帰ってきたんだね……いい? 後輩くん? あの子を完全にあなたのものにして。そうしなきゃ、あの子、耕平くんに手を出すかもしれないでしょ?』
『わかりました……』
くやしい……くやしい、くやしい。
俺がなんでこんな目に遭わないといけないんだ……俺が何をしたって言うんだ?
ごめんよ……桜………俺、最低だ。
俺は桜より自分を大切にしたいんだ……。
俺は歯を食いしばり、ぐっと気持ちを抑えた。
そして、階段の音がし、無くなると扉が開いた──。
桜だ……。
「翔太……?」と姿を表した桜。
その瞬間、俺は桜の口を塞ぎ、両手を抑え、ベッドに倒した──。
「んん……んん……」と争う桜。
ごめん……ごめん……ごめん。
「なぁ……桜? そろそろさ、俺たちも次の段階に行くべきだと思うんだ……」
そう言うと俺は桜の口から手を離した。
「んんん……翔太!? え……なんで……」と声が震えている桜。
そんな桜に俺は舌を入れて熱くキスをした。
桜とのキスは初めてではない。
でも、このキスは初めてのような上手くは言えない感覚がした。
桜の目からは涙が一滴流れるが、俺はそんなの無視した──。
キスを終え、口を桜の口から離すと……。
「ねぇ……翔太……これって……」
ごめん、ごめん、ごめん。
「桜……しよ……」
俺は桜の両手を抑えながら桜のワイシャツのボタンを外し始めた。
こんな形でしたくはない。
ほんとはもっとお互いをしってからしたい。
これは今までになかった感情だ。
でも、早く桜としたい。
そんな複雑な気持ちが葛藤する。
「翔太……? 嘘だよね? なんでこのタイミング? ねぇ、何かあったの!?」
なんで、こうやって知った口で言うんだよ……何も知らないくせに。
俺の……この感情を知らないくせに──ッ!!
「うるせぇよ……うるせぇよ!! 俺がただしたいだけなんだよ!!」
やめろ……俺……。
「お前はただ、俺の言う通りにしてればいいんだよ」
止まれよ……俺……だめだ……このままじゃ……。
「嘘だよね………」
「ほんとだよ……」
その後は俺は桜と無理やりした。
途中から桜は耐えきれずに号泣をしていた。
でも………こうしなきゃ、俺は終わるんだ……。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
俺はそんな言葉を無視し続けた……。
心が焼けるように辛い。
でも、俺は耐えた。
「翔太………」
「…………」
「大好き………」
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