第八話(桜視点)
「じゃぁね、耕平くん……」と私は耕平くんに手を振った。
「あぁ……じゃね……春川さん……」
そう言うと私は翔太と手を繋いで校門を出た。
「なぁ? 桜………」
「ん〜? どうしたの翔太〜?」
最近、翔太と帰っていないからとても楽しみだ。
どこで何をしているのかはあまり聞かないようにしている。
浮気とかしてないよね? 私は翔太を信じるから………。
「俺さ、実行委員に勝手になってほんと悪いと思ってる!!」と私の手を離して私の前に立って両手でごめん、ごめんと謝る翔太。
なんだ、そんなことか……別にいいよ、そんなこと……。
私はふん! とそんなの無視して翔太を横切った。
「マジでごめんて!!」と走って私の肩をポンと置く翔太。
その様子に私は「ふふ」っと笑った。
その様子に「え? え?」と困惑する翔太。
「うそうそ、別に気にしてないし〜」
「え〜ほんとか? まじでごめんよ!!」
「いや、ほんとに怒ってないから………」
それでも必死に謝る翔太。
私は間違っていたのかもしれない。
別に翔太は浮気をするような人じゃない……。
翔太は優しい人だ……きっと、いろんな人を助けて忙しいんだ。
私は翔太の方を振り向いて笑顔で。
「ならさ、帰りにアイス屋さんいこ」
「お、おう………」
「奢りで……」
「っ、わかったよ!!」
久しぶりに翔太と帰ったし……少しくらい……。
そう思うと私は翔太の右腕に抱きついた。
甘えてもいいよね?
「ちょっ──……甘えん坊め……」とやれやれと私を見る翔太。
「ふふ」
いつか翔太としたい。
そうすれば、翔太は私だけのモノになってくれる。
だから、頑張ってするところまで……行かなければ……。
○
私と翔太は都内で一番大きいショッピングモールへ来た。
というのも、ここが一番学校から近いからだ。
そして、私と翔太がアイス屋さんに着くと──。
「あ、翔太と春川さん……」
そこにはうらら先輩と耕平くんがいた。
たまたまなのだろうか………翔太が仕組んだり……そんなはずないか。
すると、うらら先輩が私に近づき。
「あなたが桜さん?」
「はい、そうです……」
うわ、これが耕平くんの彼女か……遠くから見たことあるけど近くで見るとほんとに学園一と呼ばれる理由がわかるほど可愛い。
これから私は……耕平くんを………。
あれ? 違う違う………。
なぜだろう、気づけば私はうらら先輩に嫉妬をしていた。
私、疲れてるんだ……きっと。
「へぇ〜可愛いね!!」
「あ、ありがとうございます……うらら先輩こそ……」
「そ、そう!?」
「は、はい……私なんかより、うらら先輩の方が……」
「そんなことないよ……」と笑顔で言ううらら先輩。
自分が可愛いことを自覚していないところもまた、美しかった。
私は翔太の方を向くと翔太は少し汗をながらしながら凍っていた。
え………。
そんな翔太に心配になった私は翔太の裾を揺すった。
「あ、ごめん………」
「翔太くんもこんなところで会うなんてね……二人とももしかして……デート中?」
「は、はい………そちらも……」
「そうだよ!」
私、何当たり前のこと聞いてるんだろ……二人は付き合ってるなんて知ってるのに。
「耕平くんもまさか会うなんてね……びっくりだよ」
「ほんとだな。てか、俺たちの方が遅く帰ったのに俺たちの方が早いとは」と笑いながら言う耕平くん。
「はは、ほんとだね!!」
すると、うらら先輩が話に割り込んで。
「少し翔太くんと実行委員のことで話したいことあるからいい?」
「え? うらら先輩も……」
「そう、実行委員〜」
そういうと翔太とうらら先輩はどこかへ行ってしまった。
きっと、実行委員だけの秘密について話すからだろう。
「いっちゃったね……」
「そうだね……まだ、アイス食べてないし頼も」
「ううん……そうだね」
結局その日は自分でアイスを買った──。
その後、「話が長引くから先に帰ってくれ」と翔太からLINEが来たため、耕平くんと一緒に帰った──。
○
多目的トイレにて……。
「予定通り来たね、後輩♪」
「はい……うらら先輩……」
そう、あの時、俺はうらら先輩にアイス屋に行くことを伝えたのだ。
「桜さんってもっと喋らないイメージあったけど結構喋るよね……」
「はい………」
俺がそう言うとうらら先輩は俺の前髪を握り。
「あの子さぁ〜私の耕平くんを取ろうとしてるよね?」
そう俺の目を睨みながら言う、うらら先輩。
「わからないです……」
「そう……」と安心した顔をして俺の前髪を離すうらら先輩。
たしかに最近、耕平と距離を縮めている。
でも、それは俺が桜とするためだ。
「じゃぁさ、しよ………」
「はい………」
その後、俺は多目的トイレでした。
「ねぇ、やっぱりあの子ムカつくからさ? 痛い目あわしていい?」
突如言うそんな言葉に俺は。
「そ、それだけは……」と必死に止めた。
桜まで不幸にさせないでくれ……不幸なのは俺だけで十分だ。
「何いってんの? あなたは私の道具なんだよ? 道具が反論するな!! あ……いいこと考えちゃった……ならさ、君が彼女を不幸にしてよ」
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