第49話 ケーススタディ① Dr&Ns&Phへ
「もっと考えろ!知識を総動員して病の原因を考えて考えて考え尽くせ!」
総合病院に受診した時 部長が 研修医に向かって言っていた。
研修医は下を向く ばかりである。
熱血だ。
だが命を預かるということはそれだけの責任である。
患者が受診した病名はカンジタ性口内炎。
臨床看護技術法 を読んでいたら ステロイド性 吸入薬を使用した後によくうがいをしないとカンジタ性口内炎にかかるだと書いてあった↘
もちろん そのまま受診をやめた。
いくら考えようとも 一人の思考形態では 行き詰まりがあるのだろう。
親の介護をしていたのだが 最近 夜間 せん妄が酷い。
医者は睡眠薬を増やした。
ある夜間、座らせてペットボトルで水を飲ませたら ムセ込みがひどい。
ベッドアップして匙で一口ずつ飲ませるとムセ込みがなく5cc で満足する。
これは病的な口渇では?
私もまた原因について考え尽くしていない。
生化学的薬理動態は?
考えるのだ 調べるのだ
ベンゾジアゼピン受容体に作動する薬は脂肪内に蓄積し代謝するまでに数日かかる。
高齢による代謝の遅延により脂肪内の蓄積量が増え 副作用が増強しているのではないか?
文献を調べた。
高齢者におけるベンゾジアゼピンの半減期は最長で 96時間 ←コロラド大学より
普通の容量が高齢化により 中毒量となり 意識障害を起こし 救急搬送をされた症例が3件ある←北里大学より
では今回の親の症状も薬の 量が原因ではないか?
夜間せん妄
筋弛緩による嚥下障害 呂律障害 呼吸機能低下
日中の入眠傾向による昼夜逆転と運動機能の低下
だが筋弛緩により痛みが軽減している状態ではある。
レポートを書いて提出し さらに 数箇所 配っておこう。
医者が新しく処方した睡眠薬は オレキシン受容体拮抗薬である。
睡眠と覚醒を制御するオレキシンは近年日本人が発見した
覚醒を維持する オレキシンに拮抗する薬が睡眠薬となる。
そして食事を味わいながら 規則正しく取ることは オレキシン活性を促し 血糖値上昇を抑制し 筋肉での糖利用が向上する。
生理学としても 生化学としても非常に面白い。
その昔 北里柴三郎は
「脚気菌が原因である」といった東大の上司の主張に反対して医学会を追放された 。
史実なのだ。
「白い巨塔」は昔からあるんだな。
そこで 私費を通じて 研究所を建てたのか 福沢諭吉である。
偉人が偉人足るべき人としての大きさはそこなのだな。
医学は日進月歩だ。
もうすっかり置いてかれてる(笑)
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