第39話 元気になって良いお年を(笑)

職場でとても仲の良かった友達と仕事を辞めてから会った。


何を話したらいいかわからなかった。


いつも話していたのは仕事の話で、その共通の話題がなくなってしまうと話すことが何もなかった。


日勤や夜勤のある仕事の場合は、同じ病棟にいるから勤務がわかるのだ。


夜勤明けで疲れて寝ているのに電話で叩き起こされたら迷惑だろう。


違うところに行ってしまうと電話一つメール一つできやしない。



それでもずっと気にかけている後輩がいる。


今は発熱外来にいるそうだ。


いつ終わるか分からないコロナ渦を孤独の中で戦っている。


私も病院で働いていた時に、一人でファミレスに行ったと話しただけで同僚に咎められたことがあったっけ。


彼女は食事に行くどころかスーパーにも行けなくて、3食ファミレスのご飯を食べているんだろうな。



ある時メールが来た。


「私にもできる仕事あるかしら?」

「私も甘酒屋さんで呼び込みをしてたことあるよ。牛丼屋さんとか普通に働けるんじゃない」

「うんうん。そうだね~」


転職を勧めているのではなく逃げ道があると言っている。


踏みとどまれと私は言わない。


頑張れなんて言わない。


誰にだって限界がある。


残されるのが私ならば、逃げていいと必ず言う。


でも頑張り屋の彼女はそれでも踏みとどまるのだ。



そんな彼女にプレゼントを送った。


手編みのベストと手作りのネックレス。


化粧品と成田山の煎餅。


とても喜んでくれて元気になったそう。


職場でいじめられているそうだが、いろいろ話を聞いたらすっきりしたそう。


少しでも元気になるのなら、送り続ける意味がある。



その昔、京都の観世音寺に行った時の事だ。


『暦は人の為にある』


菩薩様が仰った。


今年は苦しいこと辛いことがたくさんあった。でも来年こそは良い年を。


暦という節目を使って、人は来る年に希望を託す。


人ならば、人であるからこそ未来を願わずにいられない。



皆様 良いお年をお迎えください。



人ならば人であるからこそ、そう望まずにはいられない。



良いお年をお迎えください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る