第34話 看護婦さんと女子高生

昔々、とある都会の病院にのんびりした看護婦さんがいました。


そんな看護婦さんと女子高生の小話です。




  其の一


ある日看護婦さんは女子校生に言いました。


「1時に手術室に行きます。その前に肩に注射をうちますね。少し痛いです」

「はい」


看護婦さんは女子高生に注射をしました。


「痛えぜっ! 畜生っ!!」


女子校生は目をつり上げて叫びました。


看護婦さんはビックリしました。


確かに痛い薬でしたが、叫ぶほど酷くはなかったはずです。


そして同僚に話したのです。


「今時の女子校生はそうなのかねぇ~」




  其の二


とても元気な女子高生が入院してきたので、看護婦さんは時々笑いながらおしゃべりをすることがありました。


ある日女子校生に面会が来てロビーで話していました。


看護婦さんはその前を通りかかりました。


「那由他さん。この子ね、男の子なんだよ!」


よく見ていなかったけど、きっと性同一性障害で女らしく装いたいとスカートを履いているのでしょう。


なんて不憫なのかしらと看護婦さんは悲しく頷き、何か慰めの言葉をとそのお友達を見ました。


「あれっ?!」


なんか胸あるしウエストは細いし、どこからどう見ても美少女にしか見えません。


「あれれっ?!」


「アハハハっ(笑)」


女子高生達は大爆笑を始めました。


「全く何でも信じちゃうんだから。嘘だよ。女の子に決まってるじゃん。そんなの信じるの那由他さんだけだよ」


みんな楽しそうなので、看護婦さんも一緒になって笑いました。


そして同僚に話したのです。


「今時の女子校生はそうなのかねぇ~」




看護師さんも同僚も同じ職場で働く人たちみんなも、その昔は「今時の女子校生」だったことを忘れてしまっているのでした(笑)


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