第32話 3人の天使たち👼
スコップで庭を掘っていた。
いつのまにかフェンスに塗りあげて私をじっと見ていた幼稚園ぐらいの女の子が聞いた。
「何をしているの?」
「これは U 字溝を掘っているの。雨が降るとこの庭は水溜りになっちゃう。だから水が流れてるようにしているの」
「「「ふーん」」」
一緒に遊んでいた二人の少女も寄ってきた。
「ここはね雑草だらけの荒地だったの。一生懸命手でてお花畑にしたのよ」
「「「すごいね」」」
「ここにはニンニクが植わっているの。これがニンニクの芽よ。一個のニンニクを一房一房ずつ分けて植えたから50個ぐらいのにんにくができるのよ」
「ニンニク好き〜」
「お野菜を作ればいい」
「昔トマトを植えたの私の作ったトマトはとてもとてもまずかったのお野菜は買うほうがいいわねぇ」
私の苦い顔に少女たちが笑った。
「お花いる?」
「欲しい!」
「わかったわ」
「自分で切りたい」
私は花切ハサミと少女たちの手を見比べた。
「このハサミは小さなお手々だと握れないハサミなの」
五つほど切ってあげた。
「ありがとう😀」
満面の笑みが嬉しい。
「かけっこが好きなの?ダンスは踊らない?これはヒップホップダンス。ポップコーンって言うの」
好きな番組やアニメや歌の話を聞いてから、おもむろにダンスを教えだした。
「できない」
「できない」
「できる!」
おおっ!ポップコーンだ!!
「こんなのもできるよ」
「すごい!才能あるわ!」
複雑なステップで踊り出した小学生の女の子に私は拍手した。
「でも本当は歌の方が好きなの」
「まぁ、歌ってくれるの?」
「歌うより聞く方が好き」
「えっ、私?!」
「うん!」
期待に目を輝かせた少女達が私を見つめる。
「こんなところで歌ったら周り一面に聞こえちゃうじゃない」
キラキラが止まらない。
♪上を向いて歩こう
涙がこぼれないように♪
海外で一発芸を求められる時に歌うのが「上を向いて歩こう」である。
まさかこんなところで歌う羽目になるとは(笑)
やがて少女たちの母親がお礼を言いに来て、とても嬉しそうに帰って行った。
子供達は好奇心旺盛でいろんなことを知りたがる。
新しい世界に瞳をキラキラさせて。
実は最近、自分の書いている小説の少女達の事で頭を悩ませていた。
修道院で暮らす3人の少女たち。
貴族令嬢にネグレクトされた商家の少女。祖父の看病をしてきた村育ちの少女。
知っていることが幼稚園レベルなら、これから何を彼女たちに学ばせていくべきなのだろうか?
多分ニンニクは丸ごとじゃなくて、一房一房分けて植える所からだな(笑)
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