3輪

よしっ。気持ち切り替えよう。

今日はバイトも休みだし、久しぶりに掃除しよう



時間はあっと間に過ぎ、気づけば20時を回ってた


~♪


玄関のチャイムが鳴る


海君かな?


『はーい。』


ガチャリと重い扉を開く


「よお。金は?」

『あっ...はい。』

二万円を渡そうとしてバッと取られる

「お前、こんだけ??」

『ごめん.....』

「はぁ...まあいいや。また明日来るわ」

『ご飯は?食べてく?』

「いやいい。じゃ」

スタスタと歩いて行ってしまう彼の背中を見送る。


『あっ。』

彼が無造作にポケットに入れたからだろう

渡した二万円の内一万円が、彼のポケットからひらひらと落ちる

彼は、携帯で何かしているのか気づいていない


『まって..!』

急いで一万円を拾って彼を追いかけようとした。


『かいk「あっ。もしもし~みきちゃん??今からあそぼーよ!」


誰??


「彼女なんていないよww居るのは金づるww」


とても、話しかけられなかった。

自分だと思いたくなかった。


「お金ならあるから遊ぼ~♪って、あれ?」

階段先で、彼がポケットをごそごそと探し始め一万円ないことに気づき

私の方に振りむく


「うお、ビビった。んだよてめぇかよ」


『わ、私の事じゃないよね?』


「あ?なにが?」


口になんて出したくなかった

『金づるって....』


だりぃと小声言いながら頭を掻く海君

「めんどくせーよ。お前。」


涙が出るのが分かる


『彼女だよね??』

「チッ。早くその手に持ってる金渡せや。」

取ろうとしてきた手を振り払った

「てめぇ!!んだよ!」

バッと今度こそお金はとられる


スタスタと階段を下りる彼


『待って!!お願い!いかないで!』

彼の腕を引っ張る

「っぶね!クソアマ!!離せや!」

振り払われるのと同時に私の体が下に落ちるのが分かった。


あぁ、これ死ぬな


本当はわかってたんだ。

わかってたの。


愛されてないなんてわかってた。

でも、それでも。”私は必要なんだと”思いたかった。


頬に伝っていた雫が宙に舞う


『誰か私を助けて』

今朝見た夢の幼き頃の私が、映った。


それが最後に見たもので

そこから私の意識は途絶えた




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