第13話ウチのオカンもかつて…

 うちのオカンは昔語りが多い。

 ので、聞き流していても覚えている話がチラチラある。

 あの当時は何も思わなかったけど、母方の祖父はゲスかった。

 そのゲスに育てられてしまった悲劇の成れの果てがウチのオカンだったのだろう。

 因みに祖父の何がゲスいって、男尊女卑をこじらせてるところ。

 例えば、オカンが生まれてきたとき祖父は男だと思ってた。しかし!オカンは女だった。

 祖父はショック。

 生まれてきた知らせを聞いたとき即電話を切ったそうだ。

 祝も禄にせず、名付けもそのへんの適当な名前をつけたのだとか。

 ふーん。

 マジカスじゃん。

 つーか、生まれてきた子供の性別でいちいちショック受けるとかメンタル弱すぎて引く。

 それから兄弟間差別もえげつなかった。

 聞けば一番好待遇だったのはおじさん母の弟でその次はおばさん母の妹そして、母は最底辺だったそうだ。序列が一番わかりやすかったのが食事の時間で、祖父のお気に入りのおかずはおじさんに次におばさんそして、祖父が嫌いなおかずを母に押しつけていた。母残飯処理乙。

 とか、手を握るのは母の弟のみであったらしいこと。

 それから、ホントーにクズだなって感じたのが母に向かってスコップを投げつけたらしいこと。クズだわ。九州男児以前に人としてまじ終わってる。

 そんな祖父だが、外面が大変宜しかったらしく、元部下の方々が葬式に来てくれたらしい。

 我が子は雑に扱ってた(娘限定)割にお外の自分の部下には優しく接していた模様。

 しかし、こんなエピソードよりよっぽドン引きしたのは、祖父を尊敬しているという母。

 なんていうか、祖父おめ。

 アンタは見事にオカンの調教に成功し自らの名誉のために何でもする奴隷を完成させましたネ。

 そしてその禍根を子孫にまで及ぼそうとしましたネ。

 母は祖父が天国に行っていると言っていたが、私は地獄だと思います。

 一応墓の前で手は合わせちゃいたけど、なんだろう…有難味がない?って言うか…うっかり男の子を産もうものなら執着されて祟られそう。

 もう墓仕舞いもしたし、手を合わせないで済むんで本当に良かったと思います。

 田嶋陽子さんではありませんが、

 男尊女卑は撲滅して然るべきだと思います。

 元々の男尊女卑だって出発は“男より力が弱い女は男が守ってやるものだ!”と福祉的観点も含んだ大変男気があったものだったと思うのです。ところが、人間は弱いですから都合の良い解釈をして“男以外に価値はなし!”等と極論を振りかざし本来の責任を放り投げ好き勝手してしてしまったんじゃないでしょうか?だって楽しいですからね。楽しいことは辞められない止まらないものです。そうしてゲスに成り下がったのでしょう。人間は弱い。もう悲しいほどに弱い。だからこそ持ちすぎる権力は良くないのだと思います。

 祖父を尊敬していると言う母も、最初はどうも祖父を憎んでいたらしいのですが、前述した葬式の件で見直したらしく尊敬しているのだとか。

 元々、性格的に祖父に似てしまった母。

 人に尊敬されるのは悪いこととは言わないが、母よあんた知ってたでしょ?ソイツの裏の顔。

 祖父はアンタを女だったという理由だけで散々な扱いをしてその他にはそんな素振り見せてなかった。

 そんなヤツ尊敬に値するんですかね?

 少なくとも私にはクズゲスにしか思えない。

 残念ですが、祖父は弱すぎて卑怯すぎたクズゲスだった。

 目を背けたんですかね?臭いものに蓋をしてしまったんですかね?腐って腐敗して自分も似たような人間になっちゃったんですかね?

 聞こうだなんて思いませんが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る