2021/07/08 悪役令嬢のオールナイト異世界
サラ「改めまして御機嫌よう、悪役令嬢の『悪』の令嬢、サラですわ」
ジーナ「悪役令嬢の『役』の令嬢、ジーナです」
サラ「えー、メールが届いてますわね。アレタトチ領在住、ラジオネーム『オークの小便、略してオークション』」
ジーナ「ありがとうございます〜」
サラ「サラ様ジーナ様、御機嫌麗しゅう」
ジーナ「麗しゅう〜」
サラ「オープニングでお2人が話していた、『この世界ってメインキャラ以外の人間の顔テキトーすぎない?』という問題なのですが、これ、僕は正直マジで困っています」
ジーナ「なるほど?」
サラ「というのも、我々オーク族は人間族やエルフ族と違って、ほとんど見た目の描き分けが設定されていないのです。族長の強いオークが唯一、他のオークたちより図体がデカくて装備が豪華だという程度で、ほとんど見分けがつきません。
人間がブタの見分けがつかないとかはまだ分かると思うのですが、オークがオークの見分けがつかないのです。僕にも親友と呼べる同族はいるのですが、正直言って、何体かのオークの中に親友が紛れ込んでいたとしても絶対に見分けがつきません。
我々オークは誰か特定のオークに用がある際、大勢の前で『この中に○○はいますかー!』と、まるで病院の呼び出しのように大声で名前を呼ばなければならないのです。
お2人とも、この悩みを少しでも分かってくれるなら我々オーク族に哀れみの言葉をかけてはくれないでしょうか。
……とのことでございますが」
ジーナ「哀れみの言葉」
サラ「はい、哀れみの言葉です」
ジーナ「あんまりないと思うんですけどね。こういうラジオでパーソナリティに、ストレートに哀れみの言葉を求めるって(笑)」
サラ「まぁまぁ、でもやっぱり皆様うすうす感じていらっしゃるのでしょうね。色んな異世界がありますけれども、大体魔王とか悪役令嬢とかメインキャラ以外は描き分けが雑ってことに」
ジーナ「まぁ……ねぇ。こればっかりはもう。誰に何言っても仕方ないことと言いますか」
サラ「単純に作画コストを抑えてるっていうのもあるのでしょうけれど。一番の理由として、メインキャラが目立つためにはモブを没個性にしないといけないんですわよね」
ジーナ「で、そのメインキャラの主人公やってる方々もけっこう地味な見た目してらっしゃるから。デフレが止まらないっていう」
サラ「こらこら(笑)」
ジーナ「でもそうは思いません? この番組が流れてる異世界っていっぱいあると思うんですけど、それぞれの世界の主人公身ぐるみ剥がして入れ替えたら、多分誰も気づきませんよ」
サラ「まぁーたこの子は悪いこと言って! いくら悪役令嬢でも言っていいことと悪いことがあるでしょう!?」
ジーナ「いやいやいやこれは事実ですから。7割キリ〇みたいな黒髪にカスタム〇イドの男性初期モデルみたいな童顔じゃないですか」
サラ「またですか。ジーナさんまた異フーニュース行きですか」
ジーナ「またって何ですか(笑) 好き好んで異フーニュースに取り上げられてるわけじゃないんですよ!」
サラ「もぉー最近しょっちゅうですわよ。ジーナさんがこのラジオで色んな方面にお喧嘩お売りになってネットニュースになるの」
ジーナ「いや、確かに攻めた発言してる自覚はありますよ?」
サラ「あるんですの!?」
ジーナ「ありますよそりゃ! そんな驚かないでくださいよ!」
サラ「ジーナさんの事だし、本当に言っていいことと悪いことの区別がついてないんだと思ってましたわ」
ジーナ「相方から全く信用されてないことが発覚しましたけどもね。いや、私も攻めた発言をしている自覚はあります。けど、これ1回もSNSとかで炎上はしてないじゃないですか」
サラ「まぁまぁ。そうですわね。ネットニュースに単発で取り上げられて終わりというか」
ジーナ「でしょ? ということは私の言説に少なからず賛同してくれてるリスナーが多数ってことなんですよ」
サラ「うん。うーん……? そう? そうですかこれ?」
ジーナ「そうですよ。だから今回も自信を持って、私は客観的に見た事実を言います。どの世界の主人公も地味すぎ! モブにしわ寄せが行くんだから、もっと特徴づけをしなさい!」
サラ「……わざわざエコーかけて言わなくても」
ジーナ「はい。もうお便りの内容は忘れましたが言いたいことは言えましたので。もう1枚くらい読みましょうか」
サラ「よくってよ。えー、スズシー領在住、ラジオネーム『ホケホケの実の全身包茎人間』」
ジーナ「出た! 常連さんですね〜」
サラ「先週、おふたりのコンビ結成秘話を熱く語っていらっしゃいましたが、正直言ってこのラジオのリスナーはコンビを結成した時の話なんてどうでもいいと思います」
ジーナ「お? 何ですか喧嘩ですか?」
サラ「リスナーが真に聞きたい話、それはズバリ、おふたりのどちらがどちらにどんなプロポーズをしたのか!! です!」
ジーナ「あっははははは!!」
サラ「正直気になりすぎて夜も眠れませんし下げたパンツを上げられません! 悪役令嬢リスナーのみんなの安眠のため、是非とも、前回くらいの熱量で熱く語って頂きたいです!
……はい。との事なのですけれど。あーあー、もうブースの外が大盛り上がりですわね」
ジーナ「いやぁー相変わらずアホですねぇー包茎人間……。あれ、そっか。私たちって喋ってませんでしたっけ、そこらへんの話」
サラ「そうーー……ですわねぇ。入籍したのが今からちょうど1年前くらいなのですけど」
ジーナ「異ライデーにね。ホテルから出てきたところをすっぱ抜かれまして。まぁプロポーズはその日より前に済ませてて時期をうかがってたって感じだったので、それなら今夜ラジオあるし、もうとりあえず籍入れちゃって、ラジオで正式に報告しちゃおうかって事になったんですよね〜」
サラ「おかげさまで昨年度は聴取率ナンバーワンのトロフィーも頂けまして」
ジーナ「ありがたいことにね。あれ何でしたっけ、何%だったかは忘れたんですけど確かオールナイト異世界史上最高聴取率だったんでしたっけ」
サラ「まぁまぁでも、そんな、ラジオでわざわざお時間を割いてまでお話するようなことじゃありませんわよ」
ジーナ「そうですねぇ。異ライデーに撮られる1か月前とかでしたっけ。仕事終わりに、明日は休みだしごはんに行こうーって言って。メチャキレー領に当時新しく出来たばかりのね、あのー夜景の見えるホテルレストランで食べて。いい雰囲気の時に指輪を出して」
サラ「こう話すとすごいベタですわね(笑)」
ジーナ「それは言わない約束でしょ(笑) 私も話してて恥ずかしいですよこんなの。……で、まぁ結婚しましょうって。今はお仕事も増えだして忙しい時期だし、式とかはまだ先になるだろうけどーって言ってね。サラさん泣いてたんですけど」
サラ「おいこらー!」
ジーナ「まぁそんな感じです。また機会があればね、もっと詳しく話したいと思いますけど」
サラ「もうほんと。ほんと許せない。信じられませんわ」
ジーナ「ごめんって〜(笑)」
サラ「はいうるさい。触らないでください。この後もリアクションメールどしどしお待ちしております。宛先は『SG@isekai.net』、『SG@isekai.net』。サラとジーナの頭文字を取ってSGです。メールの件名は『感想』でお願いします〜」
ジーナ「拗ねないでくださいよ〜」
サラ「知りませんっ」
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