第四十話 マーガレット
「好き、嫌い、好き、嫌い……」
「もう一回! 好き、嫌い……好き……嫌い……」
「もう一回! 好き……嫌い……好き……。やったぁ! やっと好きが出た!」
白のマーガレットで絵理子は花占いをしていた。マーガレットは花言葉に『花占い』があるほど花弁が多いので花占いに適しているそうだ。
「絵理子……っ! ちょっと……やだ! 何してるの?!」
母がぎょっとした顔で駆け寄ってきた。
「涼太くんが私のこと好きか占ってるの」
「止めなさい!」
お母さんは絵理子の手を掴んだ。
「あのね、棺桶の花で遊んだらだめでしょ!」
「だってぇ……退屈だったんだもん」
散らばった花弁がお爺ちゃんの顔に乗っている。幼い絵理子はお爺ちゃんが天国に行ったとか、空から見守ってくれているとかそんなことを言われてもピンと来なかった。
葬儀の前のバタバタしている間に一人で取り残されたので退屈しお爺ちゃんに飾ってある花で遊んでしまった。
その後、無事に葬儀は終わったが親族も両親も絵理子に対して怒っていた。
怒っていなかったのは、お爺ちゃんくらいだろう。
『マーガレット 花言葉 花占い』
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