第二十五話 パセリ
消灯後、私は病院のベッドで一人天井を見ながら、これまでのことを考えた。
私は最近交通事故に二度あった。
一度目は二ヶ月前、原付きに乗っていた時。私が青信号を直進していた時に十字路で右折車に巻き込まれ私は宙を舞った。気付いたときには道路に寝転んでいたが奇跡的に無傷で済んだ。原付きはお釈迦だっが。
あと少し当たりどころが悪かったらタイヤに巻き込まれるところだったらしい。
二度目は昨日、軽自動車を運転中、車線変更しようとした時に後ろからトラックに突っ込まれ、道路の端まで車ごと吹っ飛んで路肩に乗り上げた。後ろの窓ガラスが粉々になりタイヤは全部パンクしていたがむち打ちだけで済んだ。
もし、反対車線に飛び出していたら命は無かっただろうと警察官から言われた。これは、本当に幸運だった。
これまた、軽自動車はお釈迦だったが。
どちらも、弾かれた瞬間は全く記憶になく一瞬の出来事が、頭の中では真っ暗な映像でしか思い出せない。
人生、最期は走馬灯を見るとか言うけど、交通事故では見ないのかもしれない。
どちらにせよ、私は生きている。明日には退院だ。
窓辺に置かれた植木鉢には、パセリの花が咲いている。
「誰だよ。お見舞いに最悪の花を持ってきたのは」
私はイライラした。
私がいない間に誰かがお見舞いでタブーとされている鉢植えを持ってきた。
病院に根付くのを意味するから鉢植えはタブーらしい。
挙げ句に花言葉も最悪だった。
『パセリ 花言葉 死の前兆』
私、狙われてるのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます