第二話 黄色いカーネーション
『こんにちは。花言葉屋です。お花のお届けに参りました』
「はい?」
「こんにちは! お花のお届けです。サインをよろしくお願いします」
志津子は、眉間にシワを寄せながらボールペンで殴り書きをして箱を受け取るとバタンッと思い切りドアを閉めた。
志津子は送り主を見ると目を見開いた。
酒井 唯
志津子の娘だ。
もう十年は会っていない。最後に大声で怒鳴った日から娘は家を出て、一度も帰ってきていない。
箱を開けると中に黄色のカーネーションの花束。黄色のラッピングがされており、リボンも黄色。
まさか
志津子は目を見張った。
涙がこぼれた。
許してくれた……!
何度も叩いたり、蹴ったり、怒鳴ったりしても娘はやっぱり私を愛してくれてる。
今日は母の日だったことを思い出し、志津子は幸せな気持ちで花束をテーブルへと移動させた。
だから、箱の底に入っていた紙なんて気付かなかった。
『黄色のカーネーション 花言葉 軽蔑』
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