第31話 雷
ゴロゴロ。
吉野、古市が部屋へと向かってからすぐに俺はテレビをつけてみるとしばらくは雨らしい。朝はこんな天気予報じゃなかったよな?違ったか?あれ?今日は見なかっただけか。って古市が今日は曇りとか言ってなかったっけ?まあでも……もう遅いか。今更帰せないもんな。
ちなみになんか空き部屋では楽しそうな声が聞こえていた。主に古市の声だったがな。たまに悲鳴?ではないが。吉野の助けて。みたいな声があったような。なかったような。まあ仲良しってことだろう。
からの数分後—―。
「葛先輩。着替えを貸してください」
「はい?」
古市がそんなことを言ってきた。
「制服しかありませんから」
「……まあそうだわな」
俺の目の前には学校の時からずっと同じ服装の古市と吉野。まあ制服だわな。
「あっ、さすがに葛先輩が女物の下着を持っていたらお巡りさんを呼ばないとですが……制服のままだとですから。なんでもいいので上下貸してもらえませんか?」
「服言っても新品とかないぞ?」
「大丈夫ですよ。葛先輩のですから」
「先輩わたしも貸してください」
「……2人ならTシャツに短パン?くらいでよさそうな気がするが……長ズボンのジャージはこの前吉野が長くて大変そうだったからな」
「あー確かに。って、先輩今私たちがチビだと遠回しに言いませんでしたか?」
「気のせいだ」
「まあでも確かに先輩のサイズだと短パンがいいかな?この前動きにくかったから。あと……脱げちゃうから……」
「あっ、葛先輩体操服のズボンでもいいですよ?」
「わかったわかった。待ってろ」
自分の部屋に着替えを探しに行くのだが…… なんな後ろから足音が……。
「なんで2人とも付いてきた?」
「葛先輩の部屋気になるじゃないですか」
「うん。入ったことなかったから」
女子2人興味津々みたいな感じだったが――って、そうか吉野は何回か来ているがちゃんと入ったことはないんだっけか?まあ、用がなかったからか。
ゴロゴロ――。
うん。まだ天気が怪しいので着替えをとっとと渡して風呂に押しやろう。
「ほらさっさと風呂行け行け」
「葛先輩ケチですねー」
「意外と部屋綺麗だった」
「吉野はちゃんとチェックしてたか。一瞬で」
そんなこんなで女子2人は風呂へと消えた。
それから俺は再度テレビをみると――。
「……あれ?雲が消えた」
そういえば先ほど雷が少し鳴ってから急に雷の音がしなくなったな。と、今思っていたのだが。うん。たまたま天気予報をまたテレビでしていたのだが――。
先程まであった雷雨?をもたらした雲は跡形もなく消えていた。
一応外を確認すると――。
「月が見えてるよ……天気変わりすぎだろ」
普通に、普通に綺麗な月が見えていた。あれだな雨で空気中のチリが落ちたか。
「っか、じゃもう少し待っていたら……2人を泊める必要なかったのでは?」
俺がそんなことを思っていると。
「葛先輩ー。女の子2人のあとのお風呂が空きましたよー」
タオルで髪を拭きながら古市がやってきた。着替えのサイズは……問題なさそうだ。
「いろいろなんか言ってるが。って、吉野は?」
「髪乾かしてます」
「あー、そういや前も苦戦してたな」
「あっそうそうそういえば聞いてくださいよ」
「なんだ?」
古市はトコトコ俺の横にやってきて
「夜空ちゃん。なかなかなかわいいボディです」
こいつは何を言っているんだろうか……。
「……」
「まあ、そのうちわたしも成長しますからね!問題ありませんが」
「……」
「葛先輩?妄想しすぎですよ?」
無言だったからか。そんなことを古市に言われた俺だった。いやまあ少しは考えていたけどさ。と思いつつ。
「いや、2人ともスラッとしてるよなぁー。って、すらっと」
「ちょ!葛先輩。今絶対私の胸見て2回目言いましたよね?」
「いやいや、スタイル良い言っただけだが」
「むー」
いや、うん。まあ古市も吉野もまな板……おっと失言。いや、程よく各所は成長してるが。うんうん。俺は嫌いじゃないぞ?って服着てるからそんなにぺったんこには……ってこんなことを思っているとマジで刺されるな。
「うわー、絶対胸見て言いましたー。ひどーい。ひどーい」
「なんも言ってないんだが……」
「言ったじゃないですかー。そのうちびっくりなくらい成長しますからね!」
「……」
「何話してるの?」
すると髪を乾かし終えた吉野も戻ってきた、
「夜空ちゃん聞いてよー。葛先輩がぺったんこ言ってきた」
「おい、古市。勝手にいろいろ話を作るな」
まあ心の中では言った気がするが――。
「……古市さんわたしより――だったからね。ちょっと安心した」
「ちょっと!?夜空ちゃん!?」
古市。まさかの吉野に裏切られた。
って、うーん。見た感じ2人ともイーブンな気がするんだが……ちょっと吉野の方があるのだろうか……?まあ実際に見て吉野は勝った?とか思っているのだろうから……って、あまり見てるとお巡りさん呼ばれるからやめようかな?
「夜空ちゃんよりあるから!」
「古市。頼むから変な話で盛り上がるな」
「葛先輩がスタートですよ?」
「違うからな?」
「古市さん。先輩は――変態だからその気にさせると危ないよ?」
「ちょっと待て?吉野も何を言い出す?」
「わー、わー、まさかの先輩そんなキャラ?」
「黙りなさい」
「わー」
「……私のパンツ何回も見た」
「あれは吉野が無防備だったからでは?」
「おっ、スクープスクープ」
「古市よ。頼むからちょっと静かにな?あれか?お泊りの日はテンション上がるタイプなのか?」
「って……自爆した……」
吉野が急に顔を赤くしてその場に座り込んだ。うん。まあ自爆だな。今普通に過去の事バラしたな。こいつも実はテンションが上がっているのだろうか……見た感じはいつも通りなんだがな。
まあなんか数分でびっくりするくらい疲れた。
とりあえずなんやかんやで話を切り。俺は風呂場へと避難した。
で、頭から水をかぶり頭を冷やした。うん。めっちゃ冷たかった。って、俺は何してるんだか。まあ水のあとはちゃんとシャワー浴びて出ましたとさ。
「そういえば今度の遠足もこんな感じかな?」
「休みたい」
「えー、夜空ちゃん来てよ?」
「う……うん」
「吉野。嫌がりすぎだろ」
「先輩だって自由参加なら」
「休む」
「ほら」
「葛先輩?休んだらわかってますか?セクハラバラしますからね?」
「いつの間に俺はそんな弱みを握られたんだ?」
「つい先程ですね。ぺったんこ言ってきました」
「……何も言ってないんだが――」
「先輩。最低ー」
「おい。吉野よ。おまえ見てたよな?現場知ってるよな?って、吉野も余計なこといってなかったか?」
「……」
俺が言うと吉野は急に黙った。
「無視したよ。オバケちゃん」
「ムキー。先輩。オバケ言った!」
「夜空ちゃんが吠えた」
「吠えたな」
「う、う……うー……」
どうやら古市が居るため。さようなら。飛び降りますにはならないらしい。うんうん。古市居るといいかも。って、現在はなぜか俺の部屋に2人がいる。
俺はベッドにもたれており。そのベッドに腰掛けている女子2人である。
「っか、ほんと晴れたんだから帰れたのに」
「もう夜中ですから」
「まだそこまで遅くないだろ?」
「先輩は私たちが襲われてもいいと」
「言ってない。言ってない」
「先輩ひどい」
「吉野よ。なんか俺の評価下げに来てないか?」
「……」
俺が言うと吉野は俺を見つつ……黙った。と俺が思っていると――。
「まあまあ夜空ちゃん」
「まあまあ言っている古市は古市でいろいろ爆弾落としてくるが――」
「えー。って、さっきも言いましたが。多分遠足もこんな感じですから練習ですよ。練習」
「練習するようなものなんかね?って、遠足が泊りがけとか未だに理解できん。普通日帰り近場で。じゃないのか?」
「私に言わないでくださいよ」
「生徒会だろ?」
「夜空ちゃん。葛先輩がいじめてくるー」
「……古市さん生徒の代表だよね?」
「わー、夜空ちゃんも先輩側だったー」
「古市めっちゃテンション高いな」
「先輩先輩」
「うん?なんだ吉野」
「その、遠足にもし……行くなら私も一緒で……大丈夫ですか?」
「えっ?まあいいが」
「……よかった」
吉野もなんか俺のグループ?というか。前の校外学習と同じグループに……って讃大がいないか。っか、讃大がいると……前みたいになりそうだなぁー。とか思っていると。
「……あっ」
「うん?どうした?吉野」
吉野の声が聞こえたので吉野の方を見てみると……寝ていた。
「いやいや古市って――今さっきまで起きてたよな?」
「うん……起きてた」
「充電……切れ?」
うん。古市が吉野にもたれながら寝ていた。あれか?スタミナ切れか?あんなにテンション高かったのに。変に高くて体力使い切った?急に寝たよこいつ。
「古市ー」
「……」
うん。ダメだ完全に夢の中だ。
「吉野。任せた」
「え、え?む、無理っす」
「っす?」
「無理っす」
ほんとに無理なのか。吉野が変な口癖になっていた。みんなテンションがおかしくなったのだろうか……って、みんなじゃないな。2人か。俺?普通だ普通。多分。
「はぁ、古市。寝るならちゃんと寝ろ」
「……起きて……まーす」
「寝ながら言うな」
それから寝ている?古市を起こして、とりあえず強制的に立たせて部屋を移動。吉野と古市に貸す部屋まで古市を運び……というか吉野と引っ張り――。
「じゃ」
「あ、先輩。1人にしないで古市さん。起きて。乗らないでー」
吉野に丸投げして部屋にもどってきた。なんか俺が部屋に入りすぐに吉野にパスしたからか。吉野に古市がのしかかるみたいになっていたが……まあじゃれているのだろう。
まあ、それからしばらくしたが……まあ静かだから大丈夫なんだろう。多分。とか思っている俺だった。
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