第11話 平和な朝
翌朝。
とくに夜は問題なく終わった。俺が叫ぶような事態も怒らなかったし。吉野が何か声をかけてくるとかそういうことは一切なかった。平和で静かな夜だった。
なので俺はいつも通り普通に起きた。うん。そしてちゃんと吉野がこの家にいることも忘れていない。
俺は制服に着替えてから吉野の様子を見に行った。
まあここが一番注意だな。何か起こる可能性が一番高いし。朝から叫ばれたり……まあいろいろあると疲れるし。それにこの部屋の中。鈍器というか。叩くためにいい感じの物がいくつか置いてあった気がするし――注意だな。
「—―吉野。起きてるか?」
俺はまずドアの前で声をかけたのだが。
「……」
返事なし。反応なしである。室内からは音すら聞こえない。
「——うん?吉野?寝てるのか?」
「……」
――やっぱり部屋からは返事なし。もしかしてこっそり帰った?とか思いつつ。
「吉野開けるぞ?言ったからな。着替え中とかで叫ぶなよ」
「……」
再度返事が無いことを確認してから俺はそっとドアをあけると。
ガチャ……。
「—―なるほど」
そこにはとっても平和な空間があった。
「そんなに寝心地よかったか?」
「……スゥ……スゥ……」
「まあしばらく、このままかね」
俺の視線の先には布団に丸まり気持ちよさそうに熟睡中の吉野。ちょうど寝顔が見えているのだが。普段ちゃんと寝ていなかったのだろうか。というか。まさかのこの布団、枕がジャストフィットしたのだろうか。ホント幸せそうに熟睡している。
もしかしたら、昨日はいろいろあって実はかなり疲れていたのかもしれない。結構元気そうに見えてのだが。まあ親と揉めて――叩かれて。ほとんど知らない人の家でなんやかんやと過ごしてだし。いろいろ疲れたか。もしかしたらもっと早く休みたかったのかもしれない。とか俺は思いつつ。
多分この感じは今日は学校に行かないだろうし。
このままにしておいてやるか。俺は静かにドアを閉めて、朝食の準備をするためにキッチンへと向かった。
そしていつも通り1人で食べて――あっ、いつもより静かにだな。多分普通に行動している分には吉野のところまでは響かないだろうが。なるべく静かにして、荷物を持ち学校へと向かったのだった。
そうそうあと一応リビングの机に置き手紙をした。
にしても吉野がこれに気が付くだろうか?そもそも俺が帰って来るまでに起きてくれていると良いが。なんか起きない気がするくらい良い寝顔だったからな。
とりあえず俺は朝からなんかいい気分で俺は学校へと向かったのだった。これが吉野にバレた時が……めっちゃ怖いが。まあバレないだろう。多分。
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