第4話 真夜中の出来事
◆
あれは――小学校3年あたりからいじめ。嫌がらせにあっていた俺。まあ勉強もダメ。スポーツもダメな俺はいじめやすかった。ターゲットにしやすかったのだろう。友達もほとんど居なかったし。あとこれは変えようがないが……苗字もちょっとだったかもな。
まあ上履きを隠されたり。教科書がなくなったり。ノートには落書き。朝学校に行くと自分の机に花が置いてあることもあった。
ちなみに小学3年の時は讃大とはクラスが一緒だったらしい。らしい。というのは中学の時に讃大から聞いたから。
まああの頃の俺はホント友達が居なかったため。周りにはほぼ興味がなかった。なのでクラスの事などは全く覚えてなかった。あとその後の小学4年、5年の時は讃大とクラスが違ったとかいうのもその時に聞いたな。うん。俺の記憶には全くなかったが。福神讃大という学校の人気者が居たというレベルでなら何となく覚えているが。
話を戻すと俺へのいじめは先生などにバレないように上手に行われていた。
5年生になると、クラス替えがあったからか。他のクラスからもわざわざやってくる奴もいた。
あれだな。やっとクラス替えで嫌な奴と別れた思ったら。別のクラスでわざわざ仲間つくってまたこちらにやってくるっていうやつだった。ある意味素晴らしい。というやつだ。
みんな俺のこと好きすぎだろ。興味持ちすぎだろ。とか、違う捉え方ができればまた結果は違ったのかもしれないが。
その時の俺が考えついた。思ったことは。
◆
「……そっか。俺が居なくなればいいのか」
だった。
◆
そんなある日だったと思う。ふと夜中に目が覚めた俺。何故か目がさえてすぐには再度寝れそうになかった。
ちなみに月の綺麗な日だった。何時頃とかはあまり覚えてないが。その時窓の方が明るかったので窓を開けて外を確認したら月がとって綺麗だったので月が綺麗な夜だった。ということはしっかり覚えている。
月を見た後の俺は何かに呼ばれるような気がして。いや多分気のせいなんだがな。眠くないし。ちょっと気分転換に――という感じか。
俺は月明かりを頼りに部屋を出た。
そして玄関からも出た。まあ月を見たいなら外だからな。そのあとは非常階段の方へ向かった。
俺の住んでいるマンションの非常階段は別に鍵とかないところだったので普通に入ることは出来る。って非常階段に鍵があったら。非常時に使えないか。
まあなんか普段は行ったら使ったらダメ。みたいな感じだったので頻繁には利用していないが。まあこう言うと使っていたのがバレるのでもう先にばらしておくと。俺はちょくちょく屋上へ行けるこの階段を使っていた。
非常階段へのドアを開けると階段は上と下に続いている。まあ階段だからそうか。で、下はマンション裏のところへつながっている。
この時の俺は迷うことなく上への階段を進んだ。
最上部まで階段を進むと頑丈そうなドアがあり……このドアもとくに鍵などはなかったのでノブをまわして力一杯押してみると……。
ギイィ……と、なかなかな音をたててドアが開いた。
多分周りには響いただろうが……幸いにも誰かが来る。様子を見に来る。とかいうことはなかった。
ドアの先は……皆さんの予想通り屋上だ。
ちなみに今更だが。なぜ小学生の俺が夜中に親に気が付かれずに家の外に出れたか。
理由は簡単。
俺の親は夜でも留守にしていることが多かったから。
まあ居る時は居るが居ない時はいない。あの頃は今よりはマシだったらしいがそれでも仕事が忙しかったらしいからな。
なのでその日も俺は1人だった。
ちなみに何故あんなことを決行しようとしたかは……もう覚えてないが。
とりあえず何かがパンクしたのだろう。気持ちが。または疲れたのかもしれないとか今では思っている。でも思い出せないのでもしかしたら夢?を見つつ実際に出歩いてしまった?とか思ったこともあったが。
なんとなく覚えているのは玄関から外に出た。
深夜なので外は静かだった。
玄関の鍵は自動で閉まるタイプなので気にせず俺はそのまま非常階段へと向かった。
そしてさすが真夜中。
ホントに静かだったので、俺は音をたてないように非常階段を上がり屋上へ向かった。まあそんな感じか。
屋上に出てみると、空一面の星空。ではなかった。満月だからか月が完全に1人勝ちしているような状態だった。1人勝ちってより。1人しかいないか。
でも……。
「……月めっちゃ綺麗だな」
とか思いつつ俺は前に歩いて行き。とくに何も考えず屋上の淵にあった段差を乗り越えた。
あっ訂正。確か。この直前に「あっ、そういえば人って飛べるのかな?」とはちょっと思った気がする。
◆
ちなみに空を飛べなかった俺へのいじめはその後急激に減った。
しばらくして学校復帰の際の傷跡やらでクラス全員が黙ったからな。
この時の俺はまだ隠すとかそんなこと考えたりもしてなかったのでね。
片腕の傷跡丸出しで数週間学校へと行っていた。そんなこともあったからか。
あいつはヤバイ。
とかで人がさらに離れたのだと思う。
ってか俺は何も言ってないのにかなりいろいろな噂が飛び交っていたからな。
周りは勝手に話を盛り上がるのが好きな人が多かったらしい。
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