第3話 クラスメイト
それから時は流れ。現在は高校2年生になった。
季節は春。
特に何もなく家で過ごしていたゴールデンウィークがちょうど終わったところだ。あれ?ゴールデンウイーク明けって春ってより初夏?とかもう夏とか言うのだろうか。うーん。まあ大きな問題じゃないからそんな気に気にしなくていいか。
つまりのところこんなことを考えている俺はまだちゃんと生きている。
転落事故?飛べるか実験?から数年。さすがに助かったとはいえなかなかの高さから落ちたので無傷ではなかった。今も腕などにその時に出来た傷が深く残っている。
いやー、木って凶器だわ。ちゃんと刺さるし。
そこらへんに生えている木あれは凶器だ。でも――クッション?でもあるか。まあいいか。うん。とにかく気を付けろ。ってやつだな。
ちなみに俺は腕の傷が目立つため、基本一年中長袖を着ていることが多い。なので夏になると……めっちゃ暑いんだよ。
そうそう学校には一応言ってあるから通年長袖のシャツを着ているのだが……今年も暑くなるのが早いよ。ホント。
まあ別に俺は見られてもいいんだが……その周りがね。
知らない奴は毎回俺の傷を見るとなんだよそれ?って感じで、まあグロっ。みたいな感じで聞いたり。見たりしてくるからな。
俺も同じことを何度も言わなくていいようにやらやらで一応長袖を着ている。
ちなみにだが先程も言ったようにみんなは転落事故と思っている。
でも高校まで来るとそれを知っているのはごく一部だ。うん。そもそも俺の事なんか知らないというやつばかりだろう。
ってそんな少数派の中には1人だけ転落事故と思ってなかった奴も居たか。
1人が誰かって?それは――おっ、噂をすればか。さすがというか。毎度毎度タイミングがいいことで。いつもなら逃げたいが、今日のところは大人しく居ることにしようか。
ちなみに今はとくになにもない普通の平日。なので1日学校で授業を受けて放課後になったところである。
俺の頭の中ではとっとと帰ってゲームか……あー、でも晩御飯どうしようか。
冷蔵庫の中に何があったかなー。とか考えつつ。荷物を片付けて家に帰ろうとしている時だった。
その時、俺へと向かってきていた人物から声が聞こえてきた。
「よっ、久遠。暇か?暇だよな?」
よく知った顔が俺の目の前に……声をかけながらやってきた。
実はどっかのアイドルグループ所属でテレビやらで歌って踊ってそうな好青年というのか。爽やか青年というのか。まあとりあえずこの学校では人気ナンバーワンの人物だ。
そんな人物が俺なんかのところにやって来たのである。
ちなみに俺の周りにいた女子らがざわついている。
ちょっと写真を撮ろうとかしている女子もいる気がするが。待て待て。お前ら同じクラスだよな?このクラス始まって1か月くらい経過してるのになんでこいつの注目度は変わらないのか。ホント不思議である。
とか俺はまわりの事を見つつ。話かけてきた人気者に返事をしたのだった。
「……見てわかるかと思うが。帰ろうとしてるな」
「なら、生徒会室来いよ」
「いや呼ばれてないが」
「今呼んだ」
「……意味がわからん。っか最近そんなんばかりだな」
「まあまあ、いつも人員不足言ってるだろ?部活入ってない久遠は使い放題だからな。どうせ帰ってもゲームだろ?」
「探せば他にも帰宅部はたくさん居ると思うのだが……この学校部活必須だったのが校則変わって自由になったからな。今年の1年とかならたくさん帰宅部いるんじゃないか?ってか……失礼だな。ゲームばかりはしていない。今日はな……」
俺が言いだす前にまた人気者さんが話し出した。
「まあまあ、いいから今日も暇つぶしと思ってよ。助けてくれ」
「話を聞けよ」
俺に話しかけてきた人気者は、急に話しかけてきて。そして俺の話を最後まで聞かずに要件を言い終えると向きを変えて、来た方向に歩き出した。
とりあえず……人物について少し説明しておくと。
小中高と偶然同じ学校になった同級生で、今はクラスメイト。さらにこの学校の生徒会長。
ホント周りに居た女子がキャーキャーうるさい。さらに写真を撮ってる生徒も居るし。ってだからお前ら同じクラスだよな?さっきも言ったが既に1か月くらいこのクラスになってから経過してるからな?どうなってるんだよ。ホント。
ちなみにこの生徒会長様が俺の転落事故を唯一……理解というか。まあ知っている?うーん。飛び降りた?を確信していた?って、まあうん。他の人とは違う反応をした奴だ。
まあ讃大は毎日ではないが……いや訂正。ほぼ毎日かも。とにかく頻繁に俺に話しかけてくるというか。良く一緒に居る生徒。まあ友人?だな。
そういえば同級生では唯一、病院に見舞いに来てくれた人物でもある。
まあ見舞いに讃大が来た時はまだ俺と讃大は今みたいな感じで、よく話す?友人ではななかったんだがな。
一応讃大の事は昔から好青年が居るやらで有名だったから俺も知ってはいた。常に人が集まっている人。って認識だったな。
まああの時。小学6年の時はクラスも違ったし。讃大は勉強も出来てスポーツも得意の学年一の人気者。あの時から誰かに教えてもらったりしていたのか。自分でしていたのかは知らないが。おしゃれでイケメンというか。アイドルみたいな感じだったからな。
そして俺は真逆の人間。勉強もスポーツも苦手な小学生だった。
それなのにあの時、何故讃大が病院に見舞いに来てくれたのか。俺は不思議だった。
俺が退院してからは急に俺と頻繁に一緒に居るようになった。
そういえばこのことに関しても未だにちゃんと理由は聞けてないがはっきりしているのは俺を監視している。と、でもいえばいいか。
まあ俺なんかを気にしてくれているということか。
いや、確か小学校の時も学級委員か何かだったから……しばらく入院で休んだ俺の様子見というか。そんなことをしていたのかもしれない。
そして、あれは中学に入ってすぐのことか。
◆
「っか久遠。次は死ぬかもしれないぞ。まああれだ。なんかあったらまず俺に言えよ。なんとなくあの時の事は……そう周りから情報集めて俺なりの答えにたどり着いたからな。わかったか?とりあえず監視だな」
讃大が俺の家にたまたま遊びに来た時に笑いながら言った言葉だ。
まあ重要な言葉とかはわざと言わなかった感じか。まあここで俺がどこまでわかっている。理解しているのかなどを聞くということもできたが……そんなことしても……なので。
「……何言ってるんだ?」
俺が聞き返すと。
「まあ過去の事だ。今の久遠を見ていれば……だが。なんとなくあの時の久遠の心境はわかったはずだ」
「何故俺の過去を気にする?」
「はっきり言えば、あれは――自殺だろうと俺は確信した」
「……」
どこまで知っているのかということなどを俺が確認以前に断言してきたよ。であった。
……どっから情報が漏れたのか……と俺は思いつつ。って、いやいや、漏れるはずはない。だって俺が誰にも何も言ってないから。
あの時の事は……窓から落ちた。になっているし。親ですらそう思っているはずだ。
なのに、どこでどう調べれば自信満々にその答えにたどり着いたのか。こいつは……ある意味危険なやつだ。あの時の俺はそのように認識したのだった。
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