第6話 半径5メートルでしか生きられない
遠雷が鳴る あとかさき
かなかなひぐらし かなしんで
あの遠雷に帽子をかぶせたい
夏のしらせがたくさん奪っていった
なつのせみはるのせみ黙っていった
とおくとおくこえはとおくまたたき
遠い野に落ちる 遠雷 それは運命のようだ
遠い野にみちる蝉の声 ただ遠いだけなのだ
遠い野はただ遠い ただそれだけなのに遠い
かなかなひぐらし かなしんで
丘をひたりのぼり 鉄塔 のぼって
ひえたてつの温かさ こえもなく
手をのばせども手をのばせども
手に絡むのは蜘蛛の糸きれぎれに
雲間に消えていく こえの群れ
もういいのだ と
遠雷に帽子をかぶせて
なかなくていいのだと
遠い野からひきよせて
放ってやりたい
あの遠雷に帽子を被せたいのだ
かなかなひぐらし かなしんで
遠雷にゆれる鉄塔 とどかない
ひえたてつの温かさだけをつかみ
僕はそいつに 帽子をかぶせよう
そうしてこえもなく だれかのみ
みに おちてしまえ そこは遠い野だ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます