帰省⑤
1.愛じゃよ
カールの剛拳が風を切り迫る。
エリアスは両手で円を描くように拳を受ける……が、
「くっ……!?」
威力を完全に殺し切れず廻し受けをした両手から鮮血が撒き散らされた。
痛みを無視し攻撃へ転じようとするも、それは成らず。
拳をすかされた勢いで身体を捻ったカールが肩からぶつかって来たのだ。
体当たりによって押し込まれたエリアスは大木を背にしてしまう。
追い詰めたカールは体力の消耗を狙うべく小さく速い連打を繰り返しエリアスをその場に縫い付ける。
「まだ、続けるのかよ……!?」
「ったりまえじゃあッッ!!」
夜明け前に始まった師弟対決。
飲まず食わず休まずで戦い続け、既に十時間は経過していた。
当初こそ、エリアス有利の展開が続いていたが今は互角。
いいや、徐々にエリアス不利へと天秤は傾いていた。
気を用いた格闘技術のみならず高度な魔法も自由自在にこなすエリアスと、
気を用いた格闘技術オンリーだが無尽蔵に気が生成され続けるカール。
持久戦になれば活性の気を常に巡らせ続けているカールに軍配が上がるのは当然の帰結。
経験によって誤魔化し誤魔化しやっているが、結末は目に見えている。
ゆえにカールはまだ続けるのかと問うたが、答えはご覧の通り。
「こ、の……馬鹿野郎……ッッ」
カールにはエリアスが何を考えているか分からなかった。
彼に出来るのは衝動に抗い少しでも結末を先延ばしにすることだけ。
追い詰めている側が苦渋の表情を浮かべ、
追い詰められている側が闘志溢るる不敵な笑みを浮かべる。
実に不思議な構図だ。
「お主に言われたくはない――のう!!」
「!?」
つるり、と拳がエリアスの体表を滑る。
これまで伏せていたカードの一枚だろう。
それは見事にカールの意表をつくことに成功した。
エリアスは渾身の一撃を以ってカールの顔面を打ち抜こうとする――――が!
「…………ありかいな」
強化されたカールの動体視力はその拳を完全に捉えていた。
速度と距離の関係から回避は不可能。
しかし来る場所が分かっているのなら防ぐことは出来る。
顔の前面に気を用いた障壁を張りエリアスの一撃を防御……するだけでは終わらない。
積層構造の障壁は破壊される際、爆ぜるのだ。
攻防一体の障壁により見るも無惨な状態となったエリアスの右拳。
カールは躊躇なく壊れた右手を掴んで、力いっぱいエリアスを遠くへ放り投げる。
(これで、少しは時間を稼げると良いが)
怒りと憎しみのままにエリアスを殺そうとする心。
いや、別にジジイは憎い相手でも何でもないし殺す必要はねえと抗う心。
相反する精神状態、自我が崩壊していてもおかしくはない。
いやむしろ、崩壊していなければおかしいのだ。
なのに抗い続けている。
常人であれば邪法によって増幅された感情に染め尽くされてしまう。
だがカールはそれを偽物だと断じ、切り離し、素の心を保ち続けている。
道理に合わぬなら、納得ができぬなら、
世界にすらNOを突き付けられる彼だからこそ出来る芸当だ。
「……魔法」
肉体がすっ飛んで行ったエリアスに追撃をかけようとするが、
それを阻むように色とりどりの破壊光線が飛来し足を止める。
だが、止まっていたのはほんの数秒。
ドーム状の障壁を張るや、そのまま真っ直ぐ駆け出して行った。
先ほどとは違う防御に重きを置いた積層障壁。
割れる傍から新たな障壁が追加されていくので破壊は不可能だった。
「――――は囮か」
目が眩むような美しさと凶悪極まる破壊力を備えた光線はブラフ。
背後に回り込んだエリアスが脊椎に貫手を放とうとする。
だが強化された感覚はそれすらも察知していた。
視線も向けぬまま貫手を掴んだカールは力任せにその身体を振り回す。
「ジジイ」
地面に叩き付ける。大木に叩き付ける。巨岩に叩き付ける。
師の身体を武器のように扱うなんて、好んでやりたいことではない。
カールは苦虫を噛み潰したような表情のまま、エリアスに語り掛ける。
「そのドーピング、何時まで保つんだ?」
若返った当初こそ、精気溢るる肉体のまま果敢に攻めて来た。
だが徐々に徐々に若さゆえの力と老練な技術のバランスが崩れ始めていた。
理想的な比率だったのに、今ではあからさまに技術の比率が大きくなっている。
それは見た目通りの力を発揮できなくなっているということだ。
「……」
「これ以上は、止めとけよ」
あちこちにぶつけられながらも、
すかし、かわし、時折回復しつつ致命を避け続けるエリアス。
見事なものだ。
しかし、抜け出すことができないという事実が無情な現実を示している。
だから告げる、これ以上は止めておけと。
「老い先短いつっても、こんなくだらねえことで命を散らす必要はねえだろ」
だから、自分に施した邪法を解除しろ。
そう要求するカールだが、
「ハッ」
エリアスは弟子の言葉をせせら笑った。
「どうした、どうしたよカール!?
勝っとるお主が何故、そのような顔をする! 笑え、そら笑わんか!!
これじゃあどっちが負けておるか分からんぞい!? なあカール!!」
「テメェ……!」
ただでさえ怒りと憎しみで頭がどうにかなりそうなのだ。
その上で火に油を注ぐような言動をするとは舐めてんのか?
そう憤るカールだったが、同時に発言の裏に込められた意図も理解していた。
(止めるつもりはないってか)
カールは逃げられないから立ち合いを承諾した。
最初から消極的だったのだ。
だというのに邪法を施され無理にモチベーションを引き上げられてしまった。
戦いが始まってからもそう。
素の心は微塵もやる気がなかった。
この立ち合い――いやさ、死合いに何の意味も見出せなかったから。
だが、
「…………分かったよ」
ここに来て彼もまた覚悟を決めた。
エリアスは止まらない……いや、止まれないのかもしれない。
どちらにせよ、その心は定まっている。
師だから、戦う理由がないからと消極的だったがもうやめだ。
「俺も腹を括る。トコトンまでやる覚悟を今、決めた」
全力でエリアスを潰しにかかる――つもりはさらさらない。
当たり前だ。何で未だに納得できないのに付き合ってやらねばならないのか。
カールが覚悟を決めたのは他ならぬ己との戦いだ。
エリアスが向かって来るのなら、エリアスを殺そうとする心と戦う。
到底納得が出来ぬであろうエリアスの死に抗うため、
植え付けられた憤怒と憎悪に歯向かい続ける――トコトンまで。
「ああ、馬鹿馬鹿しい」
らしくないことをしていた。
戦いを止めるよう促したのはエリアスを殺したくないから。
このままでは抗い切れずに殺してしまうから、
自分の限界が見えて来ているから、そんな弱気が懇願へと繋がった。
だがそれはあまりにも”らしくない”。
エリアスは自分の信念に基づき、納得を得るために命を賭しているのだ。
自分が同じ立場だったら、どれだけ懇願されても止めるか?
止めない、止めるわけがない。
納得を得られるまで、自らの意思を完遂するまで心臓が止まっても戦い続けるだろう。
なのに懇願なんて……そもそもからして間違っていた。
「何もかもが馬鹿馬鹿しいぜ」
お前が好き勝手やるならそうすれば良い。
俺も好き勝手やらせてもらう。
「ここまで来るともう、笑うっきゃねえな」
エリアスは自らが作り出した憤怒と憎悪の化身と。
カールは己の中に生じた偽りの心と。
それぞれ戦うのだ。
何て、何てアホな独り相撲だろう? 滑稽過ぎて笑えてくる。
「でも、しょうがねえ」
その先に、自らの求めるものがあるのだから是非もない。
「「行くぞッッ!!」」
同時に叫び、再度交差。
そこから先は互いに無言だった。
無言で己の戦いに没頭し続けた。
カールは最早、エリアスの姿すら見ていない。
自らの裡に蔓延る偽りの心に抗うため――いやさ、殺すことに専心していたから。
そもそも、抗うというのがおかしな話なのだ。
例え自分の感情が増幅されたものだとしても、違うだろ。
自らの意思に拠らぬのならそいつは自分とは無関係。
無関係な奴が自分の身体を好き勝手動かしているのだ。
ならばそれはもう敵だ。敵なら、抗うだけじゃ駄目だろ。
話し合いが通じる相手でもないんだから殺す以外に道はない。
(死ね、死ね、死ね、死ね)
偽りの心を殺すことに集中するカール。
その意識が浮上し周囲の状況を把握するようになったのは夕立が降り始めてからのことだった。
「カールくん!!」
「兄様!!」
「カールさん!!」
少女らの声は己に埋没し切っていた心を、いとも簡単に呼び戻す。
カールは眼前のエリアスを裏拳で吹き飛ばし少女らに視線を向ける。
「お、お前ら……何で……」
「何ではこっちの台詞です! 兄様、こんなところで何を……」
はたと気付く。
そう言えば、随分と時間が経過していたなと。
何時までも顔を出さない自分を探して、ここまで来たのだろう。
何と説明したものかとカールが口ごもっていると、
「「ッッ!!」」
アンヘルとアーデルハイドの表情が一変する。
気付いたのだ、両者共に。
どうしてそうなったのか。
どうやってやったのか。
経緯も手段も分からないがカールの精神が干渉されていることに。
下手人は……考えるまでもないだろう。
「よくも、カールくんに……!!」
「エリアス・ヴォルフぅうううううう!!」
心に関する件でトラウマを負っている二人だ。
想い人の心を蹂躙されたという事実に耐えられるわけがない。
即座に臨戦態勢に入る魔法少女たち。
「ま、待て! とりあえず落ち着けい!!」
カールはギョっとして二人を制止する。
しかし二人は揃って落ち着けるわけがないと叫ぶ。
「えーっと……ああ、説明するのもめんどくせえ! 兎に角手を出すな!」
事の発端と今に至るまでの事情はややこし過ぎるのだ。
心配そうな顔で自分を見る三人に罪悪感を覚えつつ、
どうしたものかとカールが頭を悩ませていると元凶が口を開く。
「……なるほど」
「あぁ゛!? ジジイ、テメェ……! テメェのせいでややこしいことになってんだぞ!?」
何が成るほどだ、殺すぞマジでとエリアスを罵るカール。
罵倒を受けたエリアスはと言えば、
「ククク、なるほど、なるほどのう」
これまでとは明らかに様子が違っていた。
闘気こそ満ちているが、これまでのように張り詰めた様子は一切ない。
どこか楽しげに笑っている。
「いや参った。老人の予想なぞ軽々と越えて往く……若人の特権よなあ」
「あぁ? 何一人で納得してんだよ」
誰のせいでこうなったと思ってんだ殺すぞクソジジイ。
そう罵倒を投げ付けようとするよりも早く、エリアスは言葉を続ける。
「見極めは終わった」
その一言にキョトンと目を見開くカール。
「当初はともかく、途中からはわしを一方的に殺せるだけの状態であった。
にも関わらず、わしは生きておる。散々嬲られはしたが、致命には至らず。
それはお主が現状に納得がいっておらぬから。
そしてわしがお主にとって線の内側に位置する存在だったからじゃろう」
だがそれでも確証は得られなかった。
軽々しく結論を出すにはカールという男の精神性はあまりにも強く大き過ぎたのだ。
「世界を焼く魔性に堕するか。世界を照らす光となるか。
お主という人間がどちらの道に転ぶのか、どうしても確証が持てなんだ。
じゃが今、確信したよ。お嬢さんらのお陰でのう」
エリアスは三人の顔を見渡し、深く頷いた。
「お主が魔に堕ちるとすれば……それは何もかもを失い悲しい身軽さを得た時じゃ。
愛する者と共に在る限り、お主は必ずや踏み止まろう。その証明は既に成された」
「何を……」
「まさか、顔を見るだけであっさりと邪法の侵食を押し退けてみせるとはのう」
言われて、気付く。
そう言えば普通に会話が出来ていることに。
未だ怒りと憎悪は消えていない、変わらず燃え続けている。
だがカールは完全に主導権を取り戻していた。
「相反する二つの心。本来の心はむしろ劣勢に在った」
エリアスの指摘は的を射ている。
覚悟を決める以前は言わずもがな。
覚悟を決めてからも周りが見えなくなるほど戦いに没頭していた。
没頭していたが、それでも尚、完全に押し切ることは出来なかった。
六:四、或いは七:三程度が関の山だろう。
「じゃが、お嬢さん方が現れたことで拍子抜けするほど簡単に捻じ伏せてみせた」
彼女らへの愛が何にも上回ることの証明だ。
とはいえ、それは諸刃の剣でもある。
そこまで深く愛しているがゆえに、喪失の痛みも大きいのだ。
彼女ら全員が理不尽に命を奪われでもしたら……エリアスの危惧は現実のものとなろう。
だが、一人でも生きていたのなら事情は変わって来る。
復讐は果たすだろう、必ず果たす。
しかし、生き残った誰かとの”未来”がカールに最悪の一線を越えさせない。
「アンヘルさん、庵さん、アーデルハイドさん。君たちはカールを愛しているかね?」
「当然」
「心の底から」
「誰よりも、何よりも」
迷いのない瞳、迷いのない言葉。
カールは少し照れ臭くなった。
「そうか。ならば、これだけは言っておこう。
君らの存在そのものがカールを陽だまりへ繋ぎ止める楔なのじゃ」
努々忘れるな。
エリアスの言葉に少女らは、少し戸惑いながらもしっかり頷いた。
「結構」
安堵したような笑み。
だが、カールには一つ疑問があった。
「……おいジジイ」
「何じゃい」
「俺にはまったく分からんが、アンタの目的は果たせたんだろう?」
これは自分を見極めるための戦いだった。
ならば、
「何で未だにやる気満々なんだよ」
使命感や殺意は消えた。
だが、エリアスの五体に漲る闘志は微塵も衰えていない。
カールの言葉を受けてエリアスはニヤリと笑う。
「どんな事情であれ、一度始まった戦い。白黒つけずにはおれんじゃろう?」
「……武人の性か」
「お主にも分かろう?」
「いや別に」
「つれないのう」
家に帰って寝たいというのがカールの本音だ。
だがそれも仕方のないこと。
夜明け前に叩き起こされて半日近く戦わされているのだ。
さっさと終わらせたいと思うのが普通だろう。
だが、
「…………でもまあ、今日の俺は敬老精神に溢れてるからなあ」
首に手を当てバキベキと骨を鳴らす。
小康状態にあった気をこれまでのように……いいや、これまで以上に高め、巡らせる。
「しょうがねえから付き合ってやるよ」
ここまで付き合ったのだ。あと少しぐらいは誤差だろう。
それに気持ち良く終われるのならそれに越したことはないのだから。
あとはまあ、何の憂いもない状態でエリアスをブン殴ってやりたいという本音もある。
事情はあれども散々迷惑をかけられたわけだし、その顔面に拳を叩き込んでスッキリしたいのだ。
「終わったらキッチリ邪法とやらを解除しろよな」
「クク……それでこそじゃ。ああ、ついでに最強無敵流の最終奥義を伝授しておくかのう」
「うぉい!? それ今か?! 今やるべきことなのか!?」
カールのツッコミを無視し、深呼吸を一つ。
エリアスは自らの右手を眼前に掲げ、語り始める。
「拳の作り方じゃ」
小指から順に折り曲げ、今度は逆。人差し指から握り締め最後は親指で固める。
カールはそれを見て頬を引き攣らせた。
「おいジジイ、まさか……」
「開祖曰く、最後に辿り着いたのは結局ここだった」
「男が己の総てを乗せ、全霊を以って振るう拳以上に強いものはないってか」
「その通り」
頭が痛い、そんな顔をしながらもカールは師に倣いゆっくりと拳を握り始めた。
何を握る? 己だ。この掌の中に己の全てを握り締めるのだ。
「構える必要はない。身体に任せよ、お主の肉体は既にそれを知っておる」
血と汗で綴られた鍛錬の日々。
考える必要なんてない。
積み重ねたものが力となる。
それに身を任せれば良いだけ。
「「……」」
ほんの一瞬の、静寂。
そして、
「「――――ッッ!!!!!!」」
まじりっけのない拳が、交差する。
2.埒外の観客
技もなく、飾りもない。
極限まで削ぎ落とされたシンプルな殴り合いが展開されている森の中。
二人の戦いを見守るのはカールを愛する少女たちだけ――――ではなかった。
「……」
これでもかと目を見開き二人を、
いいや、カール・ベルンシュタインを凝視する男とも女とも取れぬ人物が居た。
自らの名すら”曖昧”になってしまったそいつは
真実男は呼吸も忘れ、カールに見入っていた。見蕩れていた。
十五歳のあの日。
祝福という名の呪いを授かり己の真実を見失った真実男。
終わりの見えぬ放浪の始まり。
きっと、きっと何処かにあるはずだ。居るはずだ。
この呪いはそれを見つけられる、見つけてくれる。
「ああ」
英雄と呼ばれる者と出会った。
大悪党と蔑まれる者と出会った。
皆、皆、強い”真実”の輝きに満ちていた。
その輝きに照らされれば、見つかると思っていた。
でも、駄目だった。誰も彼も、見つけてくれなかった。
だが、だが、
「すごい、すごいなあ」
あの少年は違った。
対峙している人外の翁も中々のものだが、比べ物にならない。
これまで出会った誰と比べても一際強く輝いている。
「き、キヒヒ……クフフハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
醜悪で、悲痛な、されども歓喜に満ち満ちた笑顔。
「か、かかかかかかか彼は……彼なら、彼が……」
何て、何て輝きだろうか。
きっと彼は自らの
いいや違う、既に挑んだことがあるのだ。
そんな、そんな彼となら見つけられるかもしれない。
「駄目、駄目だよ……僕は、まだ駄目だから……駄目だって言ってるから……」
今直ぐにでもあの場に乱入し、彼と交わりたい。
だけど駄目。我慢だ我慢。
ここじゃない、自分と彼の対峙する真なる場所はここではない。
呪いがそう告げている。
忌々しい力だが、こと真実に関する事柄で狂いはない。
だから堪える。正しい時と場所まで我慢しよう。
「こ、こここれ以上は……ね? ね?」
名残惜しげに、戦いに背を向け歩き出す。
これ以上この場に留まっていれば、頭がどうにかなりそうだったから。
「ま、ままままずは調べよう」
どんな道を歩いて来たのか、これからどこへ向かうのか。
彼を調べ、場を整えよう。
そうすればきっと、見えて来る。何時かの対峙が。
「た、楽しみ……楽しみだなあ……」
真実男は夢想する。
カールと対峙するその瞬間を。
彼と相対し、交わったその時こそ、きっとこの旅が終わるのだと疑いもなく信じている。
「また……ね?」
花のかんばせが綻ぶ。
再会を願った言葉はカールには届かない。
だが、そう遠くない未来、彼らの道は交わることになるだろう。
カールからすれば酷く迷惑な形で……。
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